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GOMA28

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独裁者

The Great Dictator001

The Great Dictator
1940年
アメリカ

チャールズ・チャップリン監督、脚本、製作
メレディス・ウィルソン音楽

チャールズ・チャップリン、、、トメニア国の独裁者アデノイド・ヒンケル、ユダヤ人の床屋
ポーレット・ゴダード、、、ハンナ(床屋の彼女)
ジャック・オーキー、、、バクテリア国の独裁者ベンツィーノ・ナパロニ
ヘンリー・ダニエル、、、内相兼宣伝相ガービッチ
レジナルド・ガーディナー、、、シュルツ司令官
ビリー・ギルバート、、、戦争相ヘリング元帥
フローレンス・ライト、、、ヒンケルの秘書


ホロコーストのことを知っていたらこの映画は作れなかったと思う、と後に述べているチャップリンであったが、確かにヒトラーまんまのヒンケルでかなり危ういおちょくりをしている。1940年という時期が実に微妙な風刺だ。
床屋の方は、これまでの無声映画における放浪者の風合いを保っている(つまり2度美味しいということか)。
公開に当たり、各方面からの圧力(妨害)はかなりあったようだ。
架空のトメイニア国の独裁者とゲットーに住むユダヤ人の床屋にそれらを繋ぐシュルツ司令官で回り出す。
(あの訳の分からぬ言語はトメイニア語なのだろう、、、ちょっとドイツ語っぽい)。

後にローワン・アトキンソンに受け継がれる動きを幾つか見るが、他のチャップリン映画に比べるとその面で笑える箇所は少なめだ。だが(放浪者部分が少し抑えられているが)アイロニカルでニンマリするところは、かなりある。
ヒトラーは彼にとっては、パントマイムやバーレスクの要素も充分に生かせる題材でありとても美味しかったはず。
思う存分自分の技を生かせる。その象徴のような、独り地球儀(風船)で優雅に滑稽に戯れる夢見心地なシーン。
突然地球が割れてしまい子供みたいに泣くところまで、見事な流れ~演出であった。

The Great Dictator002

ゲットーでは突撃隊が嫌がらせや暴力を振るう日常が続いていたが、視察に来たシュルツ司令官がかつて戦場で自分の命を救った床屋がリンチに遭っているところに出くわし、その一角の暴力行為を抑える。
しかしヒンケルは自分の党への資金援助をユダヤ人資本家が断ったことに怒り、その腹いせにゲットーは壊滅される。
オスタリッチ国が彼らユダヤ人にとって最後の希望の地となり、床屋の彼女であるハンナらはその国に逃げ込む。
だが平穏な日々を送るオスタリッチ国に、ヒンケルは侵攻を決めるのだった。
そこへ一足先にバクテリア国のナパロニがオスタリッチ国境まで侵攻していたことを知らされる。
明らかにイタリアのムッソリーニであろう。実に尊大である。ガービッチ(何という名前だ)の進言でヒンケルが一生懸命相手を威圧しようと試みるシーンも滑稽で面白い。スタイルだけローワン・アトキンソンが取り入れていた。
ここで交わされる独裁者同士の誇張された滑稽な牽制の様~会談はまさにチャップリンの本領発揮というところだ。
イチゴとパンに大量のマスタードで両者ともに話すことすら出来なくなるところなど、どれだけ日本のドリフに使われたものだろう。
そう、ペンキ缶を被るところやフライパンで頭を打つところも、、、。

シュルツ司令官は、ユダヤに対する政策を批判した為、ヒンケルの不興を買い床屋と共に強制収容所に送られてしまう。
ハンナは、オスタリッチ国から床屋に向けて手紙を書く。ここはとても良い所なので、収容所を出たら早くこちらに来てね、と言った内容のものだ。このように、収容所がどういう場所であったのかの認識は持っていなかったことが分かる。

The Great Dictator003

有名な最後の演説にまで行く流れがやはりスリリングでもあり面白い。
やはりどこか長閑な強制収容所をシュルツ司令官と共に脱走して軍服で歩けば、理髪屋はもうヒンケルそっくりなので、そのまま成り済ませる。シュルツもその傍らを歩けば恩赦を得たのだと誰からも自然に受け取られる。
一方、ヒンケルは侵攻作戦で鴨を撃って潜んでいる最中に軍服で無かった為、間違って捕えられてしまう(笑。よくあるパタン。
床屋たちの脱出は、完璧であったが、後は大集会における総統としての演説である。床屋は司令官に無理だと伝えるが、演説すること以外にこの場を逃れる方法はないと言われ、意を決する。

無声映画時代とは全く異なる形式で、彼はメッセージをストレートに訴える。
「ことば」(の身体性)をフルに使うのだ。身体は直立して動かず真正面から切々と語り、終盤に向っても声の抑揚で表情を付けるのみ。ジェスチャーは最後の最後に腕を振り上げたときだけだ。無声映画からずっと身体~ことばの研究を続けて来た彼にだけ出来るスピーチへの収斂であった。

ことばの物質性が顕わとなり、ダダイストのパフォーマンス~実験のようなアナーキーなパワーを見せつけた。
本来の言葉とはどういうものか考えさせるところでもある。
ヒンケルはことばというモノの暴力~煽動的側面を大変効果的に使用していた。
(詩人は、それとはまた異質な物質性~リズムに気づいた人であろう)。
彼の言葉を拾う秘書のタイプライターの動きも絶妙で愉しめた、、、言葉数に同期しない打ち方。内容はほとんど無いのだ(笑。

The Great Dictator004

床屋の語りは、明瞭でこころを打つ誠実なものであった。
その後での優しいトーンでのハンナへの労りの言葉も。

受け取る側のポジションによって妙な解釈をして批判する向きは少なくなかったようだが、ユダヤ人受けは特に良かったようだ。
ハリウッドの映画会社創設者は皆ユダヤ人であるところからも、彼らの支配力~影響力は無視できるものでは無かろう。

この映画がその時期に上映できた事は大きいものであったはず、だが。

The Great Dictator005










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