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GOMA28

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最初で最後のキス

UN BACIO001

UN BACIO

2018年
イタリア

イヴァン・コトロネーオ監督・脚本・原案

リウマ・グリッロ・リッツベルガー、、、ロレンツォ(ゲイの高校生)
ヴァレンティーナ・ロマーニ、、、ブルー(ロレンツォのクラスメイト、親友)
レオナルド・パッザッリ、、、アントニオ(ロレンツォのクラスメイト、親友)
トーマス・トラバッキ、、、レナト(ロレンツォの父)
スージー・ラウデ、、、ステファニア(ロレンツォの母)
ジョルジョ・マルケージ、、、ダビデ(ブルーの父)
シモネッタ・ソルデル、、、ニナ(ブルーの母)
セルジョ・ロマーノ、、、ヴィンツェンゾ(アントニオの父)
ラウラ・マッツィ、、、イネス(アントニオの母)
エウジェニオ・フランティスキーニ、、、ジョバンニ(ブルーの彼氏)
アレッサンドロ・スペルドゥーティ、、、マッシモ(亡くなったアントニオの兄)
デニス・ファゾーロ、、、サントロ先生


”キスを一つ~じゃあ、またね”
「最初で最後のキス」は、ない。相も変わらず、、、

UN BACIO002

こういう展開なのか、、、
しかし自然だと思った。
勿論、最後に蛇足で加えられたあのシーンのような”事態”の引き延ばしはあり得たとは思うが。
どっちみち結末は同じではないか。
アントニオはその道の人ではなく、ブルーのことが好きな男子なのだ。

好き嫌いの問題はどうにもならない。
生理的な(無意識~身体性の)レベルにあり、修正は効かない。
その人間の思想に触れ、尊敬することはあっても、好きとか嫌いは別のこと。
理性~理解の問題ではなく感性の領域だ。

最後の悲劇的結末を回避する知恵ということなら、ロレンツォはゲイの恋人を他に探すべきであった。
このトリオで関係が深まることはない。深まると悲劇しかない。
学校(街)で浮いた者同士が自然に寄り添うことはあっても、お互いに深い親密な関係性が築けるかは別問題だ。
アントニオはブルーと付き合えるかと謂えば、彼女の趣味とは思えない。
結局、この3人は仲の良い友人として付き合いつつ、恋人は外に持つのがよいはず。
ブルーはジョバンニみたいな軽薄なプレイボーイではない彼氏を見つけて。

UN BACIO003

その辺は、しかし実生活のくびきを逃れ俯瞰的に考えるのは難しいものだ。
まして行動に出ようにも相手のある事であり、運もあり上手く行くとは限らない。
寧ろ、ロレンツォのように現実を逃避して自分に都合の良い妄想に浸って誤魔化そうとしてしまう。
しかしその結果、当然日常生活の軋轢を増すことになる。
様々な嫌がらせ行為や誹謗中傷も覚悟しなければならない。
長年の経験からロレンツォはそれらに対する耐性は持っていたが、あからさまにアントニオに拒絶されたことは、こたえた。

元々彼らはトラウマを引きずり自分の本当の問題に直面することを避けていた。
アントニオは、時折現れる亡くなった聡明な兄の幻影が語る言葉こそが彼の深層の想いの表出に相違なかった。
しかしそれを彼は自分の本当の想いとして受け容れずにいた。
かなり早い時期に、彼の兄の幻は、ブルーは好きだがロレンツォは嫌いだと伝えている。
内奥の声には、しっかり耳を貸すべきであった。
アントニオは、優秀な兄ではなく自分が本当は死ぬべきだったのではないかというコンプレックスに悩んでいた。
それが邪魔をしていた。

UN BACIO004

ロレンツォは、性の問題に根差す現実の生き難さを妄想による逃避と殊更挑発的な素振りで強引に渡って来た。
しかしそれは軋轢を増すだけである。
彼も現実的な問題解決を先送りしているだけであった。
自分ならではの幸せを掴むつもりなら、戦略をしっかり練るべきである。

ブルーは、ジョバンニを彼氏として慕っているつもりでいたが、寧ろ彼から受けた深いこころの傷を隠蔽する目的で付き合っていたようだ。
しかし、それがどうにも誤魔化せなくなる。
ある夜、母に泣きつき、付き添ってもらい警察に被害届を出す。

3者共に、自分を偽り、それに直面することを避けるために、とても歪で突飛な行動をとって逃げ続けていたと言える。
逃げる者同士で出来た、はみ出しトリオであった。

結果、生まれた生理的嫌悪は大きい。
これはよく分かる。
アントニオは、父としょっちゅう猟に出ている。
銃の使用は自然に思いつく。

UN BACIO005

3人のそれぞれの親(ロレンツォは里親)は、子供に充分な忍耐と愛情をもって寄り添う努力を惜しまなかった。
この点では、大変恵まれている(羨ましい限りだ)。
しかし、それでも救えないケースはある。
残酷な運命に絡めとられるしかないような。
ある意味、ぎりぎりで救われたのはブルーだけであったが、いつも一緒にいた友人を2人失った傷は深い。

軽いテンポで進んでいた甘酸っぱい青春ものみたいであったが、シビアでリアルな結末に収斂される物語であった。


実際に、この手の事件はあって不思議ではない。
(恐らく似た話は幾つもあるはず)。


レディ・ガガの曲が実にマッチしていた。














LGBTに限らず、異能者、単独者となってしまう人間に対する想像力が一般に欠如している。
感覚的に受容できなくても理解し許容することは可能なはず。
知的な好奇心は、寧ろ刺激されることが少なくない。
彼らを排除して得をする者など実はいないのだが。
それにも拘らず、無自覚に彼らを追い込んでしまう。
SNSなどにより更にそれは激化してきた。
自分と違う者を認められないという市井の気風は子供の世界に生な形で如実に顕われている。

この物語では、他者に対する想像力を働かせ、彼らに寄り添いあれこれ葛藤する大人がいたが、多くの大人はそうした姿勢すらもっていない。

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