ごっこ

2018年
熊澤尚人 監督
小路啓之『ごっこ』原作
熊澤尚人、高橋泉 脚本
安川午朗 音楽
indigo la End「ほころびごっこ」主題歌
千原ジュニア、、、城宮
優香、、、マチ (婦人警官、城宮の幼馴染)
平尾菜々花、、、5歳のヨヨ子
ちすん、、、ヨヨ子の母
清水富美加、、、18歳のヨヨ子
これもコミックの原作なのか、、、邦画はそれが多い。
(この映画については、これで充分なので原作は見なくても良い気がする)。
キャストの力量で、微笑ましい場面にも常にフラジリティが潜み、緊張感の走る映画であった。
所々の演出上の問題を感じるが、熱気と狂気で一気に持って行った感がある。
そう、このような社会問題としても取り上げられる引き籠り、ニート、幼女誘拐、自殺、虐待、難病の娘を抱えたシングルマザー等々のテーマが揃っているとき、何がリアリティの重みを感じさせるものかと謂えば、狂気であると思う。
運びや演出に多少の問題~不自然さを感じても、 この秘められた狂気その過剰さで真に迫るリアリティを勝ち得た作品と謂えよう。
千原ジュニア氏の演技は超ド級であり、その顔面芸は恐らく右に出る人はいまい。
その狂気と緊張感には終始、圧倒された。
平尾菜々花という天才には驚くばかり。
幼さの中にハッとする凛々しさを表現する辺り、只者とは言えない(どういう女優になるのか末恐ろしい)。
ちすんの深い闇を抱えた母の狂気も千原氏に負けない凄みを湛えていて説得力があった。
(彼女の気持ちは、不条理に見えてよく分かるものだ)。
優香の婦人警官の設定が少々甘いというか弱いところが残念であったが、好演はしていた。
清水富美加、確か今は千眼 美子という法名の女優がこの映画以降、普通の映画には出ないというのは、とても惜しい。
彼女と獄中の城宮との対話はまさに圧巻であった(危うく号泣しかけた)。これを他の女優で出来るかと思うとやはり惜しい。
この人の知性を感じさせる品格のある演技は、なかなか。芦田愛菜は知性はあるが、まだ若いし。
(今のところ、小松奈々と浜辺美波が頑張って引っ張って行くしかないか)。

瀬戸際にいた二人、城宮とヨヨ子の邂逅から始まる。
傷だらけの幼い彼女は、城宮に手を差し出し、いきなり「パパ」と呼ぶ。
何かの呪文か?
全く新たな時間流に二人は乗ってしまう。
とても危うい非現実的な生活が始まり、二人はそこで互いに目覚めてゆく、、、。
それがほどほどの安定した日常に落ち着くものではなかった。

何よりも、「ごっこ」が普通の父娘を越えた「ごっこ」になってしまうことが、悲劇であった。
その純粋さが、究極まで~不条理と謂えるところまで行ってしまうのだ。
だがその強度~狂気がとてもリアリティを生んで衝撃的であった。
充分に分かるところであり、共感しっぱなしではあった。
そして結末はこうならざるを得ないはず。
廃園となった遊園地のシーンはとても印象的。
狂気の行き着いた廃墟である。
マチが駆け付けた時、ヨヨ子はティーカップの中で眠っており、これまでの事をとりあえず全てリセットしてしまうのだ。
18歳になったヨヨ子は京大法学部に合格し、獄中の城宮を訪ねる。
5歳の頃の記憶をほとんど失っていた彼女であるが、城宮に語る中でやがて多くを思い出してゆく。
「わたしは常に誰かに見守られていることを感じていました」
彼女が一時期施設に引取られていた時、誰からか送られてくるコミックが全てカラーであったことを思い出す。
すべての記憶が今に繋がって来た~パパ捕まえた、である。
壁に隔てられていても、ヨヨ子と城宮の絆が確かなものになったことは、救いである。
基本的なストーリーとキャストはとても良かったと思う。
もう少し演出を見直して欲しかった。

破格の値段で5つ★ホテルと豪華な食事の愉しめる旅を! 東京オリンピックまでに自由を手にする無料動画