光のノスタルジア

Nostalgia de la luz
2010年
フランス、ドイツ、チリ
パトリシオ・グスマン監督・脚本
カテル・ジアン撮影
勉強しない子を勉強させることの難しさをヒシヒシと感じる今日この頃、、、。
スペイン語が終始聴こえるドキュメンタリー映画であり、映像がとても美しかった。
その為の心地よさからか途中二度も眠ってしまった(疲れによるところも小さくない)。
チリと謂えば宇宙望遠鏡以外では、いつも何かと話題になるアルマ望遠鏡。乾いた気象条件が星の観測にはうってつけ。
ミリ波やサブミリ波という波長の電波で天体観測をする超高解像度の望遠鏡だ。
口径12メートルおよび7メートルの合計66台のパラボラで巨大電波望遠鏡を構成するその景観は圧巻。


TVをあまり見ないわたしが例外的によく観ているコズミックフロントネクスト(NHK)では、登場回数も多いお馴染み望遠鏡である。
(次によく見るのが、デザイントークス+だが、これも実に各方面に広がりがあって良い)。
この映画では、天文学、考古学、独裁政権の深い爪痕が並行して描かれ、それら全てが過去の探求であり、砂漠(乾いた空気)とCa繋がりとしても語られる。
アタカマ高地とアタカマ砂漠で、片や宇宙の歴史(生命の誕生)を探求し、片やチリの闇に押し隠された虐殺の真実を暴こうとする~政治犯として殺された肉親の遺骨を砂漠の中を放浪して探し続ける人々が交錯して映し出される。
そこに考古学者の人類の歴史の探求も絡む。何とも生々しいミイラ、、、。
彼らは呟く。遠い過去の歴史は探索されて問題にされず、何故、近い過去はそれを禁じられているのか、と。
ピノチェト軍治独裁政権が大量虐殺した一般市民の死体をアタカマ砂漠に埋めたが後に掘り起こし何処に捨てたか定かではない。
海に捨てたという幹部もいるが信じる人は少ない。砂漠の何処かと見て、残りの人生のすべてをかけて遺族は探し続けている。


誰もがそれは星の美しい空の下、真実~過去を探し求める。
自らに課せられた使命として。
とりわけ広大な砂漠の砂粒の中に肉親の骨の破片を探して歩く女性(老婦人)たち。
われわれ個々の探索~運命も、この作業に象徴されるように思えてくる。

最後に彼女らが望遠鏡を覗く姿が何とも印象的であった、、、。

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