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GOMA28

Author:GOMA28
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ヤン・ファン・エイク

Jan van Eyck003

Jan van Eyck

先日ヤン・ファン・エイクの開閉式パネル絵24枚からなるゲントの祭壇画の特集を日美でやっていた。
少し前から話題にはなっていたが、あの中央に立つ”子羊”の顔が人面(異星人にも見える)であったとは、、、。
TVで見て、改めてびっくりした。
修復があたかも秘宝の発掘に思えるのだ。
ヤン・ファン・エイクの文字通り再発見であろう。
(番組ではファン・エイクの情報が出て来たと言っていたが)。
しかし肝心なところで、かなり微妙な感覚を味わう、、、

Jan van Eyck002

どう見ても、加筆修正されてしまったついこの間までの子羊の方が「羊」であった。
普通の羊にしては神聖で凛々しかったが、所謂羊には違いなかった。
それが分厚い修正層を剥ぎ取る修復作業により、全く異なる子羊が立ち現れたではないか。
修復に当たった人の驚きの表情が目に浮かぶ。

しかし、あの超写実主義のヤン・ファン・エイクがよりによって何で羊を人面化~擬人化するのか、、、。
勿論宗教的な意味等あるのだろうが、やはりその他のモノの描き方から謂ってもそこだけが際立つ。
驚くべき細密描写に加え、空気遠近法による空間表現も、金属や鏡の反射、反映、光学を研究した上での光の屈折を正確に描き込むなどにより、世界の質感を余すことなく描写し尽くすヤン・ファン・エイクである。
ここで改めてTVでも充分わかる遠方の空は明らかに空気遠近法の先駆をなしていた。
レオナルドより早い。
透明絵の具の塗り重ねで光の乱反射を呼ぶ層の効果は、バルテュスに多用される。
軽い筆さばきで、ある距離で驚くべき質感を現出する技法は、ベラスケス、フェルメールへと繋がる。
見ることの科学を追求した最初の画家と謂えようか。後継者がレオナルドとも謂えるか。
だが、単に科学的な追及だけでないことが、この羊に表れていた。
意図はまだ分からない。

Jan van Eyck001


そもそも、、、
このヤン・ファン・エイクの描いたベルギー、ゲントの聖バーフ大聖堂の祭壇画「神秘の子羊」が600年を経て70%まで加筆されてきたということ自体脅威である。
ナポレオンに奪われ、ヒトラーに略奪され、酷い損傷を受けながら修復を繰り返されてきたが、時代の風潮に合わせて図像まで描き替えられしまっていたのだ。
日本でも自然災害で水にやられ黴の生えた絵画の修復が細心の注意を払い最新の技術によって進められているが、それはオリジナル(原画)を守り維持するための作業である。

今回の修復で多くの加筆修正箇所が露わにされた。
風景の遠景の建造物の一角が丸ごと消されていたり、馬の顔が変わっているとか、かなり加筆修正が成されていたが、主役の子羊の変貌にはただただ唖然とする。
冒涜(犯罪)とも謂えるほどの描き替えだ。

Jan van Eyck005

後世の人間によって手を加えられたものを「それ」と思ってきた者にとって、制作当初の姿が出現することによる当惑は小さくない。
単なる感動とは異質の何かであったりする。

この新たな子羊は取り分け、趣深い。
大概、後世に加筆された部分は醜く、剥ぎ取られたことでオリジナルの神々しさが解き放たれるのだが、この微妙な感覚はなんだ。
間違いなく、ヒトの目である。両眼視差の可能な、前面に配置された目になっている。
彼はここに何を込めたのか、、、

Jan van Eyck004


丸い凸面鏡に自画像を大きく映り込ませている。
超絶技巧を愉しむかのような絵画。
わたしにとって、ヤン・ファン・エイクと謂えば小学校時代から、この絵であった。




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