パラサイト 半地下の家族 -1

Parasite
2020
韓国
ポン・ジュノ監督・脚本
ハン・ジンウォン脚本
ソン・ガンホ、、、キム・ギテク (半地下に棲むキム一家の父)
チェ・ウシク、、、キム・ギウ(ギテクの長男、4年間大学受験をしている)
パク・ソダム、、、キム・ギジョン(ギテクの長女、美大を受験希望)
チャン・ヘジン、、、チュンスク(ギテクの妻、元ハンマー投げメダリスト)
イ・ソンギュン 、、、パク・ドンイク(高台の豪邸に住むIT企業の社長)
チョ・ヨジョン、、、ヨンギョ(ドンイクの美人妻)
チョン・ジソ、、、パク・ダヘ(ドンイクの長女、受験生)
チョン・ヒョンジュン、、、パク・ダソン(ドンイクの長男、ADHD的)
イ・ジョンウン、、、ムングァン(パク宅の家政婦)
パク・ミョンフン、、、グンセ(ムングァンの夫)
パク・ソジュン、、、ミニョク(ギウの友人、大学生でアメリカに留学)
アート作品を堪能した。韓国語のものを観た。
無論、わたしは分からない。妻が英語、韓国語、中国語に堪能なので、今何言った?といちいち聞きながら鑑賞した(爆。
キム一家は半地下に住んでおり、全員無職である。
半地下の家は明り取りガラスが上部に位置し、それは丁度歩道の高さに等しい。つまり酔っ払いが立ちしょんをそこめがけてしてしまうこともある。
採光も換気も悪く湿気が強くトイレは天井近くに位置する。
Wifiも他人の家のものを勝手に借用して乗っかっている(それでもスマフォだけは全員やっているのは韓国らしい)。
住環境としては劣悪であるが、家賃は安い(日本円に換算して月4万が相場とのこと)。

ピザの箱を組み立てる内職を家族でやるが、4分の1は不良品を出してしまう。
父ギテクの作業が投げやりなのだ。
彼は計画を立てない主義である。
何をやっても計画通りにはならないという経験則からだ。
過去に「台湾カステラ」で失敗しているのだが、4人のなかで1人だけ資質~能力が異質である。
あるとき、ギウに家庭教師の仕事が舞い込む。
親友の名門大学に通うミニョクがアメリカ留学のため今教えている女子高生を引き続きみてほしいということだ。
ミニョクの頼みは断れないことと、大金持ちということでかなりの収入が期待できた。
ミニョクの魂胆は、自分が好意を寄せるその娘を他の大学生に任せると心配なのだが、ギウなら安心と踏んでの依頼であった。
ギウは学力には自信があり、入学証明書などの書類関係は美大を狙う妹ギジョンが、精巧なものを難なく偽造してくれる。
(ギウもギジョンも実力は充分持っており、金の関係で大学に行けないだけなのだ)。
ミニョクはその際、幸運を齎すという高価な「石」の飾りをギウに土産として置いてゆく。
(この「石」が後に果たす役割に驚愕する)。

ギウは高台の大豪邸に戸惑うが、世間知らずの美しい奥さんを直ぐに丸め込み、娘も巧妙な手練手管で直ぐに虜にしてしまう。
彼が豪邸に入るや否やインディアンの格好で弓をいってきた幼い少年が、母の悩みの種のトラウマを抱えた落ち着きのない長男であった。ギウは少年の絵を評価し、アートセラピーで彼を治癒出来る人間を紹介しようと持ち掛け、すっかり信じ込んでしまっている母はそれにも飛びつく。渡りに舟とはよく言ったものだ。想定外の高給も約束される。
当然、妹ギジョンを赤の他人として紹介する。
彼女はギウよりも上手で全く落ち着きを持たない少年をすっかり手懐けてしまう。同時に母も権威的な姿勢で圧倒し一目置かせる。
ギウも腕をいきなり握るなどの行為でダヘを惹き付けたが、ギジョンも少年を膝に乗せて絵を描かせるなど、身体の接触を有効に使う。
ヨンギョ夫人は、綺麗な犬を3匹も飼っており胸に抱いてはいるが、自分の子供に接する場面は一度も劇中にはない。
子供との間に愛着障害のあることがはっきり見て取れる。子育てはこれまでメイド任せで、パーティーなどの社交にうつつをぬかしてきたような雰囲気が容易に受け取れる。料理もまるで出来ない。綺麗なのが取り柄みたいな人だ。
恐らくそれを窺い、有効な手立てを講じたと謂えよう。

キム一家から子供が2人、まんまと大富豪の邸宅に収入源(と快適な居場所)を確保してしまった。
父ギテクが、金持ちほど騙し易いものはないと謂うように、その後、運転手と古参の家政婦の2人を子供たちの姦計により絶妙の連係プレイで追い出し、そのポジションに父と母が収まることにあっさり成功してしまう。
つまり貧困一家全員が大富豪の家にそのままパラサイトしてしまうのだ。
勿論、一人一人は全くの他人として。
何もかもとんとん拍子にギテクの子供たちの立てた計画が実るこの過程は、とても痛快なコメディでしかない。
貧困家族に比べ、富豪一家の隙だらけのこの無防備さは何なのか。
ギウとギジョンの2人は相当優秀な能力をもつが、富豪家族では、感覚~感性の飛びぬけたダソン以外は凡庸な感じである。
単に富豪の血筋を継いでいるというだけで、今のステイタスを維持しているのか(韓国の実情が垣間見える)。
ここで整理すると、代役とすでにあったポジションの人間を蹴落として、入り込んだメンバーがギウ(家庭教師)、ギテク(運転手)、チュンスク(家政婦)であり、新たな役柄を創設して入り込んだのがギジョン(アートセラピスト)である。
きっちり役を熟しているのは、2人の子供と母親だが、父はちょっと危ない。ボロが出るとすればここからという感じが強い。
ともかくハラハラする場面は続く。
そして、大きな心配事が立ち現れる。
感覚の鋭い幼いダソン少年が、他人として振舞うパラサイト皆を「同じ匂いがする」と両親に訴えるのだ。
それから、ドンイク社長も車内や家で、「生ごみのような匂い」がするとか、表情をしかめて言うようになる。
ギテクはそれに過剰に反応するようになり、頻りに自分の匂いを確認しはじめる。
家に戻りギテク一家は、それぞれ違う洗剤で服を洗おうなどと相談し始めるが、ギジョンの鋭い一声がそれを制する。
「半地下から抜け出さないとその匂いは消えないのよ!」
まさに。彼女はいつも一番、覚醒している。
この「匂い」が終始大きなキイとなり、最後にとんでもないトリガーとなってゆく。
後半、全く物語の雰囲気、様相が変わってゆく。
パラサイト 半地下の家族 -2
明日に続く。
- 関連記事
-
- ヴィオレッタ
- パラサイト 半地下の家族 -2
- パラサイト 半地下の家族 -1
- 翔んで埼玉
- アイ・フィール・プリティ! 人生最高のハプニング