二つの真実、三つの嘘

Proxy
2013年
アメリカ
ザック・パーカー監督
アレクシア・ラスムッセン、、、エスター
アレクサ・ハビンズ、、、メラニー
クリスティーナ・クリーブ、、、アニカ(エスターの恋人)
ジョー・スワンバーグ、、、パトリック(メラニーの夫)
「代理人」である。代理にたてられた方はたまったもんじゃない。わたしの実感でもある。
わたしも実に酷い目に逢った。
相変わらず何だかわからない邦題。
昨日のマーク・ランディス氏の場合、色々と病名は付けられてはいたが、さほど周りで騒ぐほどの病気に祭り上げる必要は感じない。
個展まで開いてもらい、本人も動き辛くなったであろうし。
だが、しっかり精神疾患を炙り出さないと子供をはじめ、周囲が大変なことになる病気はある。
表向きはごく普通の人に見えて、極めて危険な障害者である。
「ミュンヒハウゼン症候群」人々からの注目を呼ぶために自らを傷つけたりする虚偽性障害に当たる。
妊娠しその妊婦の体形で人の善意を引き寄せ、恋人にお腹を蹴らせ流産することで、同情をかうなど、かなりコアなものだ。
とても表情からして暗い猫背のエスターである。
彼女に同じ類の人間と評された金髪女性メラニーの方は「代理ミュンヒハウゼン症候群」の兆候があり、エスターによってそれが呼び覚まされたと言えよう。それにしても「あなたの代わりにしてあげたのよ」と、ヒトの息子をシラっと殺せるエスターとは、かなりの重症と言えよう(ちゃんと見抜いていたにせよ)。「もっと素直になっていいのよ」これで確かにメラニーは素直に覚醒する。
メラニーのタイプは主に子供や伴侶などの近親者への虐待の特殊型として知られる。
子供を病気にしてその子をかいがいしく面倒を見ることで、自分のこころの安定を図るケース等々、、、。
この手の母親は結構いるが、酷い場合は子供を死に至らしめる。
子供の死を悲しむ母親として自分を愛おしむ。
世間からも同情されて。
それにしても、親子ほど面倒なものはない、とつくづく思う。
いや、人間そのものが厄介なのだ。
他者(彼女にとっては所有物)は自分の身勝手な願望を満たす道具に過ぎない。
子供は、全くの道具であり、代理のモノだ。
子供を亡くした親の会で、我が子を失った経緯などの辛い話をし合っていたが、彼女にとってはとても落ち着く憩いの場であった。
メラニーは、子供が殺される1年も前から、この会に参加している。
すでに息子は、誘拐されていたり、交通事故で亡くなっているのだ。
(早くここの正規メンバーとなりたい)。
ここにレズビアンを絡ませてくるのも、代理の象徴としてなのか。
メラニーは無意識的な願望通りにエスターに自分の子供を殺させ、我が子を殺した殺人犯として夫にエスターを殺させ、仇を取りに来たエスターのレズビアンの恋人を、すでに自分が殺しておいた夫の殺人犯に仕立てて正当防衛の形で殺す。
上手くすべての代理を使いこなし、TVを通して、自分が一躍悲劇のヒロインに祭り上げられ恍惚の表情のまま物語は終わる。
最初ヒロインはエスターかと思っていたが中盤で撃ち殺され、準主役級で登場したメラニーが主人公代理として最後に勝利する。
とても拘って作られた徹底して代理の物語であった。
面白いとは言えないが、よく出来た噺である。
これで女性キャストにもう少し魅力があれば、もっと毒の利いた傑作になっていたように思うが。
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