whales

2018年
ハワードホール監督
アランウイリアムス音楽
初雪である。ここのところ気持ちも過飽和をきたしていた。
目に見えぬ塵を核にして水の分子が凝結してゆく、、、
白く煌めいて。ハラハラと。
そのうえ今日は風もあった。
車で午前中買い物があるという娘たちを乗せてデパートまで走ったが、雪がフロントガラスめがけて斜めに飛んでくる景色はそうは観ることが出来ない。
普段雪とは無縁の土地に住んでると、こんな経験が何かとても貴重なことに思える。
雪はひとつも同じ結晶の形はないという。
神秘だ。
昔、同じ結晶の形はないと聞き、5角形の結晶を絵に描いてみたら、すかさず友達から6角形以外の形がないことを教えられた。
酸素原子に結び付く3つの水素原子がそれぞれ120度の角度を作りそれが6角形の基本構造を作るとか何とか言っていた。
物理的にしっかり決まっているのだと分かったものだが、6角形で無限のバリエーションというのも凄いものだと、自然の奥深さにちょっと震撼したのを覚えている。
雪の中を家に帰り、、、
娘ふたりと一緒にこれ”whales”を見た。
わたしが観た当シリーズの他の2つと比べて、実に地味なものであった。
地味とはいっても、奥深い重々しい地味さ加減である。
昨日観た映像のように、奇想天外で物珍しい煌びやかなところは微塵もない、というレベルにおいて。
クジラと聞いてすぐ思い浮かぶ見慣れた形ではなく、如何にも生々しい本物のクジラを観た思いである。
とても武骨で、愛想の良いクジラのイメージから遠い、かなり異物感と即物性を覚える他の生き物がそこにいた。
何より量感が凄い。何か名状しがたい塊である。最初、娘たちがこれ何?と聞いてきたのも無理もない。
ふたりが、水の中に縦に浮かんだウンチみたい、とかシワシワのさつまいもだ、とかいっていたが、そんな感じにも思える。
とてもゆっくり動き、鳴き声が聴こえて、彼女らも真似をして少しの間は楽しんだか、、、。
ゆっくりさは、ほんとうに心配になるくらいにゆっくりで、娘たちが、そのクジラ死んだの?と聞いてくるくらいであった。
それから暫く経って、上に向けてこれまたゆっくり泳ぎ始めるという具合である。
このペースに、癒しというよりストレスを覚えはじめるふたりであった。
しかしこれ~この時間がきっと自然の姿なのだ。
見やすく編集していない感じに好感が持てた。
寧ろわれわれの日常の時間性を解体するような動きにこそ触れる価値があると思う。
ふたりは、後何分で終わるの~とそわそわしてくる始末。
映像としては、これにこちらが慣れてみることが大事なエクササイズともなると感じた。
わたしはだいぶ前、クジラの鳴き声のCDを夜、流しながら寝ていたものだ。
ただひたすら、海流の音に交じり、クジラの多様な鳴き声がしっかり捉えられており、飽きることなく聞き続けることが出来た。
最初ちょっと耳障りに聴こえたところが、次第にまた違う感触を感じるようになったものだ。
この映像には、BGMが絡み続けクジラの声が打ち消される感じである。
(BGMも如何にもと言う感じのヒーリング調の紋切り型だ)。
クジラの声を何より大切にしてもらいたかった。
映像を観る価値はあると思う。
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