絶食

2005年
伊藤匡史 監督
楳図かずお 原作
高橋洋 脚本
上野未来 、、、知子
中川翔子 、、、理恵
辻本祐樹 、、、あきら
貝塚直美 、、、知子(肥満体)
津田寛治 、、、刑事
小品であるが、過去に見ているので、書いておきたい。
ここは備忘録として書いているところでもあり。
わたしは、原作となる楳図かずおの漫画はほとんど見てこなかったことに気づく。
まことちゃんの姿には結構馴染んできたこともあり、漫画も見たような気でいたが、まともに読み切ったものはなかった。

最初は、上野未来が知子であると思い、あきらに振られてから、負の幻想で肥満体の醜い自分が生まれ出たように観ていたが、亡くなった妹の部屋で鏡を見ながら顔のマッサージをしていて母親にたしなまれたところから、こっちが本体(貝塚直美)なのだということが分かる。
それまでは、自分を可愛らしい妹に同一視した幻想の中で生きていたようだ。
現実の和子は貝塚直美の演じる女子高生なのだった。
これでは、あきらがちょっと無理~やんわりお断り、というのも分かると言うもの。
自分(という現実)に戻ると和子は途端に吐き気を催し、食べたものは戻し、食欲も無くなる。
そして結果的に絶食状態を招く。
ここは詳しく描かれないが、そのようだ。
(絶食の苦闘も描かれてもよかったか)。

そしてある時、何やら起きて鏡を見ると、自分が上野未来版和子となっていた為、実は覚醒したのではなく、余りの空腹からの妄想で理想のプロポーションを得たと思い込んでいるだけかと観ていたのだが、どういうわけかホントに亡き妹のように可愛らしい姿になっていたようなのだ。
その足で、妹の服を着こみ、散策に出掛け、あきらを見つけて思い切ってデートに誘う。
あきらも見た目がスッキリ爽やかで可憐な和子になっていた為、すんなり誘いに乗る。
(見た目が良ければ誰でもよいという男らしい)。

それから暫くは、かつて和子の経験したくとも出来なかった甘酸っぱい青春のひと時を最愛の彼と共に過ごす。
まさに青春ラブコメ風に進むが、、、
ラブホテルに二人で行ったところで、まさか和子にあきらは食べられてしまう、、、。
和子は空腹から狂気の心理状態でずっとそこまでやって来たのであった。
舌を食べるところから、猟奇的ホラーにはなっている。
そして警察の調べで、すでに母親は死んでおり、まず母親を喰ってからのお出かけであったらしい。
(つまりドレス選びの時は、喰った後であろう。そうでなければ服は血だらけ)。
最後に和子を取り調べる警官役に津田寛治という贅沢である。
特に凝った捻りもどんでん返しもなく、ストレートに思春期女子の貪欲な欲望がグロテスクに描き出されている。
それにしても、貝塚直美の和子そのものの生々しくも即物的な破壊力が圧倒的であった。
上野未来も少しばかり太り気味に感じられた。
もう女優は2006年ごろを最後に止めてしまったそうだ。
とても勿体ない。
キャパを感じさせる女優であるのに。
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明日はカップリングで入っていた「蟲たちの家」を。
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