おろち

近所の蔦屋が潰れてしまってから、AmazonPrimeの便利さが実感される。
そう度々ソフトを買うわけにもいかないし、BSに入って来る過去の名画は、気分に乗らないとちょっと無理。
2008年
鶴田法男 監督
楳図かずお 「おろち」原作
木村佳乃 、、、門前葵/門前一草
中越典子 、、、門前理沙
谷村美月 、、、おろち/佳子
嶋田久作 、、、西条
山本太郎 、、、大西弘
山田夏海 、、、少女時代の理沙
佐藤初 、、、少女時代の一草
楳図かずお原作の映画はこれまでに「まだらの少女」、「ねがい」、「蟲たちの家」、「絶食」を観たことがあるが、この作品はなかでも際立った仕上がりの傑作と言ってもよいと思う。
おろちとは、「人の営みのあるところ、わたしがいる」というのだから、何らかの普遍的な存在らしい。
普遍的に潜在する何者か。
ISILがそれになっては困るが。
100年に一度よく眠れば歳も取らず、ずっと生きていられるという。
様々な人の業を見てゆくには好都合な体質だ。
この映画では、狂言回しの立場であった。
物語そのものへの介入はほぼない。
門前葵を庇って自動車事故で怪我を負った時は、まだその時期になっていないにも関わらず睡魔が襲ってきて、眠りに落ちるときに洞穴(洞窟か?)の中に落ちてそこで気を失っている。
(怪我などをした際には、睡眠で治癒するのか)。

この物語で彼女は、佳子という薄幸の娘に知らずに憑依して門前家の運命に寄り添うこととなる。
奇遇に思えるも、眠る前に、この門前家の運命を見届けたいと念じていたからか?
それにしてもまさか、親子流しと来るとは、、、。
何とも言えぬ昭和初期みたいな色合いがまた趣深い。
どうにもならぬ業と薄幸とが何ともノスタルジックに描かれる。
噺としてはとてもよく出来ている。
最後のどんでん返しも見事。
綺麗で直向きな門前理沙が最後の最後でそう来るか、である。

この流れはやはり人間の業の成せるものとしか謂いようもない。
受け容れられない運命と言うものはある。
29歳になると飛び切りの美貌が醜く崩れてゆく遺伝病など、当事者であれば翻弄されないわけはない。
(執事の西条が葵の主治医であったとしても、最先端医療を持つ病院に行く選択が何故ないのか?葵が大女優であった為秘密裡に内輪で解決するしかなかったのか)。
そして代々、大きな洋館の上の部屋に閉じこもって最期を迎える。
こういう血筋の宿命であると。
おろちでなくとも、そりゃ興味深々となるに無理はなかろう。
時折、外の世界にも出るが、ほとんどはお屋敷内の空間が中心である。
空間的にも時間的にも強い閉塞性に息苦しさは増すばかり。時折現れる映画関係者の大西弘もここに風穴を開けることは到底出来ない。余りにチンピラ臭がきつ過ぎた。
母娘3代に渡る濃密で壮絶な運命は結局、変えようがなかった。

それにしても、血筋の繋がりのない娘を姉妹として生まれた時から一緒に育て、我が子を疎み他人の子に希望を託す母に育てられた娘(たち)の精神も安らかな関係であるはずもない。
その血の繋がりのない娘が長じて母そっくりとなり、女優を継ぐというのも皮肉である。
絵として観ても名作だと思う。
演出も的確であった。
子役も含め、キャストは申し分ない。
特に中越典子の美しさが際立った。
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