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GOMA28

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ル・コルビュジエの家

El hombre de al lado001

El hombre de al lado
2009年
アルゼンチン

マリアノ・コーン 、 ガストン・ドゥプラット監督・撮影
アンドレス・ドゥプラット脚本
セルヒオ・パンガロ音楽


ダニエル・アラオス、、、ビクター
ラファエル・スプレゲルブルト、、、レオナルド
エウヘニア・アランソ、、、妻


「ル・コルビュジエの家」に興味惹かれて観た。
クルチェット邸というル・コルビュジエが唯一建てた私邸だそうだ。
全体像は掴めないが、何となく雰囲気は感じ取れた。
人間工学的にも住みやすい空間に思える。開放的な雰囲気の建造物である。
特に大きな窓辺に嵌め込まれた矩形の枠など娘も入って憩う姿が素敵であった。
原題は「隣人」のようだ。
ならば特にル・コルビュジエ設計の家でなくても良かった気もするが、、、。
椅子のデザインで成功を収めた高名なデザイナーであるレオナルドの裕福な環境は充分伝わって来るものだ。

El hombre de al lado002

強面で粘着質だが柔軟性と受容性も持ち合わせたユニークな隣人ビクターとの出逢いが彼が壁に空けた穴~窓によって生まれる。
ビクターの家の窓が開けば、窓同士が面と向かって出来てしまうことになり、プライバシーが保てない。
レオナルドの奥さんの拒否反応は凄まじかった。
娘は面白がっていたが。

壁に穴を開けるというのも気持ちよさそう。
同一画面で開ける側と開けられる側が映されるオープニングからして惹き付けられる。
構図・カメラワーク・インテリア・部屋に流れる音楽どれもとてもセンスが良い。
勿論、噺そのものもコミュニケーションの本質をコミカル(アイロニカル)なタッチで突いていてとても面白い。


壁に開けられた穴~窓を巡ってお隣り同士の奇妙な関係が生まれる。
片やプライバシーの侵害だと法的根拠を振りかざしてそれを阻止しようとする。
片や法はともかく、自分の家にも陽光を分けてくれという主張である。
普通に考えれば、視線が合わない位置で透明でない明り取り窓を設置すれば問題はでないのでは、と思うが。
その辺のアイデアを建設的に出すことはなかなかしない。本来ならレオナルドはデザインの専門家なのだから双方が納得できる妥協案をデザイン的に提示するべきではないか。
だが、レオナルド側にコミュニケーションをとる意思がそもそもない。

El hombre de al lado003

初っ端からずっと、その窓の設置を巡っての隣人同士(レオナルドvsビクター)の諍いが続く。
(壁を叩く騒音にかんしても)。
レオナルドはともかく壁を元通り塞ぎたい。
ビクターはレオナルドの言い分を呑みながらも何とか光を自宅に取り込みたい意志を様々な角度で伝える。
これがとてもしぶとい。押しも強い。
終盤で、摺ガラスの細い窓をかなり上方に作ることで妥協を得ることが出来たかに見えたのだが、、、
レオナルドの妻が頑として譲らずそれもダメになる。
夫婦仲も悪くなる。
娘は、両親から距離を置きヘッドフォンで自分の世界に籠っている。
どこもみんな断絶状態ではないか。
ル・コルビュジエの家の大きな窓の多い開放性に対して住む人間の閉鎖性が際立つ。

レオナルドはビクターと小さな摺ガラス窓で妥協を図りこの件を終わらせようとしたが、全てを拒絶する妻との仲を何とか戻したい。
間に挟まれ仕事もまともに手に付かなくなる。
納品の期日にも間に合わなくなり、困り果てる。

El hombre de al lado004

ここにあるのは、ディスコミュニケーションの問題と謂えるか。
同じ言語を喋りながらも思いはまったく共有できない。
よくある隣人同士の諍いと謂えばそれまでだが。
感情的にレオナルド側がビクターの存在自体を端から拒絶している。
これは階級意識と謂える。特に妻である。
(娘にとっては関係ない為、彼女はビクターのやることを面白がっている)。

先入観と価値観とその拘りが排他的に作用するだけ。
相手を理解しようという気持ちが微塵もない為、言葉はまるで噛み合わない。
多少でもその気持ちがあれば、妥協点はどこかに見いだせるものなのだが。
皮肉にも塞ぐ直前の窓から娘がギャングに拉致されるところを確認したビクターが彼女を助けに入ったところで撃たれてしまう。

外出から戻ったレオナルドは、ただビクターの傍らで手をこまねいているうちに彼は息を引き取る。
そして、ビクターの開けた穴は閉じられる。
何もなかったかのように。


とても良くできた噺だ。
最後はショッキングであったが、こう来たかと唸ってしまった。
センスの良いスタイリッシュな映画であった。






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COMMENT

コルビジエのデザイン

人工衛星がお好きなgomaさん(とお呼びしていいのでしょうか??)なら、コルビジエのスタイリッシュさはさぞかし好みだろうなあと勝手に納得^^。あの時代特有の美、ってありますね…!
ところでそういえばこの音楽ももしかしたら気に入っていただけるのではないかとふと思い出したyoutube動画があります☆ご存知かもしれませんが。ハウルの動く城のテーマをジャズピアノにアレンジした落ち着いたナンバーですが、音楽だけでなく映像もおそらくgomaさんの世界観と通じるものがありそうな♪
https://www.youtube.com/watch?v=h0t8Qs8fuw8&list=PL5S3zzrEmLY2uAcfymLmAb86QOCgJ89HM

Re: コルビジエのデザイン

いつもありがとうございます。
> 人工衛星がお好きなgomaさん(とお呼びしていいのでしょうか??)
はい!結構です(笑。
大好きですから、、、。

なら、コルビジエのスタイリッシュさはさぞかし好みだろうなあと勝手に納得^^。あの時代特有の美、ってありますね…!
なるほど。確かに。映画にもでてきましたが、「神は細部に宿る」のミース・ファン・デル・ローエのファンではあります。
でもコルビジエもグロピウスもフランク・ロイド・ライトも興味はとてもあります。
見ていると飽きないですよね。
惹き込まれます。中で寛いでみたい(笑。いえ、ホントに。

> ハウルの動く城のテーマをジャズピアノにアレンジした落ち着いたナンバーですが、音楽だけでなく映像もおそらくgomaさんの世界観と通じるものがありそうな♪
> https://www.youtube.com/watch?v=h0t8Qs8fuw8&list=PL5S3zzrEmLY2uAcfymLmAb86QOCgJ89HM

早速、聴いてみました。
ハイセンスなアレンジとムーディーな画像ですね。
お洒落な食事に合う感じで素敵です。
こういう時間に浸る余裕が欲しいです(笑。

また宜しくお願いします。

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