ファースト・マン

First Man
2018年
アメリカ
デイミアン・チャゼル監督
ジョシュ・シンガー脚本
ジェームズ・R・ハンセン『ファーストマン: ニール・アームストロングの人生』
ジャスティン・ハーウィッツ音楽
リヌス・サンドグレン撮影
ライアン・ゴズリング、、、ニール・アームストロング(ジェミニ8号・アポロ11号の船長)
クレア・フォイ、、、ジャネット・アームストロング(ニールの妻)
ジェイソン・クラーク、、、エド・ホワイト(アメリカ人初の宇宙遊泳をしたニールの友人。アポロ1号で事故死)
カイル・チャンドラー、、、ディーク・ストレイン(元テストパイロット兼エンジニア)
コリー・ストール、、、バズ・オルドリン(アポロ11号のパイロット)
クリストファー・アボット、、、デイヴ・スコット(ジェミニ8号のパイロット)
キアラン・ハインズ、、、ボブ・ギルルース(NASAのファースト・ディレクター)
パトリック・フュジット、、、エリオット・シー(ニールの友人。フライトテストエンジニア)
ルーカス・ハース、、、マイケル・コリンズ(アポロ11号の司令モジュールのパイロット)
デイミアン・チャゼル監督、あの大ヒット作『ラ・ラ・ランド』に続きライアン・ゴズリングとのタッグである。
ライアンは「ブレードランナー2049」の主役でもある。
監督の方は『セッション』も凄かったが、『10 クローバーフィールド・レーン』も撮っている。
それぞれ全く違う作り方だ。とても幅が広い監督だと思う。
この映画は、エンターテイメントな観易さを一切狙わない。
あくまでもドキュメンタリータッチでニール・アームストロングの目線で描き尽くす。
(ライアン・ゴズリングが寡黙で内省的な彼になりきっている)。
誰一人過剰な演技はしない。
大変リアルで(コクピット内などの)臨場感は半端ではない。
X-15の飛行実験など過酷さが直接伝わって来る(気がする)。
何と言うかドキュメントを新たに撮り直したような感覚だ。
宇宙空間の、光か漆黒かという過酷な光景が続いたところで、眼前に露わになった月面には、はハッとした。
寂寞感もよく出ている。そして地平線上に浮かぶ地球。そりゃあ世界観も揺らぐはず。
星条旗を立てるシーンが無かったとか(旗の立っているシーンはあったが)、ライアン・ゴズリングはアメリカ人ではないとか皮相なナショナリズムを喚起するところはあったらしいが。
ともかく、ソ連に宇宙では、アメリカはそれまで連戦連敗を喫し、何とか一矢報いる目的で多額の予算を投入したアポロ計画であることは間違いない。税金をそんなことに使うのか、という批判はかなりのものであったのは事実である。
終始ニール・アームストロングの視座で描かれる。
彼の内面が感じ取れる。
常に死と隣り合わせの生であった。
X-15では、命からがらに帰還することになるし、最愛の娘には2歳で先立たれ、これがある意味彼の人生観や仕事の目的を決定したように思われる。
そして仲の良かった同僚の相次ぐ死。
特にアポロ1号の悲劇は衝撃的であった(わたしたちにとっても)。
エド・ホワイトは隣人でもあり、アームストロング家が火災になった時、駆け付けて家族を助けてくれた友人ではないか。
(この際、夭折した娘カレンの写真、遺品など全てが焼失してしまったらしい)。
こういった経験が人格に与える影響は小さくはないだろう。
ニールが寡黙な分、映画も実に寡黙に淡々と進む。
船内の暗く冷たく荒涼とした光景。激しい振動。思わぬトラブル。制御出来なくなった際のジェミニ8号など生きた心地ではなかった。だが、彼は冷静沈着に幾度となく危機を脱する(映画を観た範囲でも3回は死んでいてもおかしくはない)。
カレンを失ってから、彼はアポロ計画にのめり込む。
月面に降り立ち、地球上の誰もが聴いたあの名言を吐いた後の、例の「空白の10分間」がひっそりと描写されている。
脳幹腫瘍で他界した長女の腕輪を彼はそっと谷に投げ入れる。
そのころバズ・オルドリンは陽気にピョンピョン弾みながらかなり遠くまで散歩に出ていた。
ちなみに、2人が月面で作業などをしてる間、月周回軌道上で司令船の操縦や月面の写真を撮影していたマイケル・コリンズは、彼らがトラブルで司令船まで戻れないときは、独りで地球に帰還することも任務として与えられていた。その恐怖も抱えていた。
ちょっとしたやりとり、おい、食べ物どうだ、ガム持って行くか、などにその辺の気持ちも窺える。
紛れもない傑作である。
画像に集中するには、この吹き替え版が好ましく思われた。
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