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GOMA28

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アクト・オブ・キリング

The Act of Killing001

The Act of Killing
2012年
イギリス・デンマーク・ノルウェー

ジョシュア・オッペンハイマー監督

プレマン(ゴロツキ)たち多数




いきなり魚のオブジェが登場。かと思って見ていると、口から女性ダンサー?が次々に出て来て緩く踊り出す。
滝を背景に踊り子たちに交じり、主演の殺人者コンビが幻想的な風情で両手をあげ天を仰いでいる。
マイクでしきりに「平和だ」の声がリフレインする。この光景はファンタジックなパラダイスのよう(大変キッチュだが)。

1965年インドネシアにおける大量虐殺に実際に関わった者が沢山出演するドキュメンタリー。
昨日の「ルック・オブ・サイレンス」の前に発表された作品。
とても長い(3時間近い尺である)。
90%くらい進むまでは、ただ只管かつて殺戮に関与した男たちが次々に登場しては自らの武勇伝を誇り具体的な状況などを解説してみせたりしてゆく、うんざりする胸糞悪いものが続く。これが長い。

最初の魚から踊り子など奇妙なシチュエーションがちょっとリンチ監督を思わせる演出で戸惑うが、その後は「ルック・オブ・サイレンス」が違う角度からこの世界を切り取ったものだなということが分かる。色調は同じ。事件の背景とかこの作品の方が分かりやすく述べている。ほぼインドネシアの普通の人間すべてがパンチャシラ青年団のような暴力組織(民兵)の傘下で暮らしている印象を受け、とてもインドネシアに遊びに行きたいとは思えない国に自分の中ではなっている。恐喝と搾取、賄賂などが日常の風景である。
軍隊、警察、知事これらが全て無法者の集まりプレマンによって構成されるパンチャシラ青年団と深く繋がっているのだ。
だが、彼らからは監督はとても親密に扱われており、おいジョシュアと迎えられ余程信頼関係をしっかり築いておいたことが分かる。
単に憧れのアメリカ人ということだけではなかろう。
彼らは民主主義の世に暮らしているとは言え、基本的に軍部独裁当時と何も変わってはいない。

スカルノ大統領からクーデターにより政権を奪った将軍が軍事政権を打ち立て、前大統領側近をはじめ前政権関係者や支持者や軍の独裁を認めぬ者を全て共産党員として粛清をした。
組合員、小作農、知識人、華僑たちが捕らえられ尋問されて虐殺される。
彼らは共産主義と闘って民主主義を勝ち取ったのでは全くない。
彼らが殺した者の中に果たして共産主義者が何人いたものか?
それでも彼らは大義を果たしたというプライドを持ち、罪悪感すらない。
(軍部の作った恐ろしい共産党員の映画を拠り所としている者もいた。その白々しい内容に縋って)。
処刑場所は街中の普通の事務所だ。

殺された人数は全体で100万人を超える。
しかしアメリカや日本はその事実を黙認あるいは支持しており、大量虐殺の事実は隠蔽された(デヴィ夫人が怒っていたらしい。虐殺などなかったと言われては、そりゃ当然だ)。
これはその動かぬ証拠として当時の事を精確に残したい人々の協力の下、製作された映画である。
自分たちの武勇伝を後々まで伝えたい殺人者たちの協力で成立したものだ。
実際彼らは、自分たちの工夫した道具ややり方をとても丁寧に説明し、役には真剣に打ち込んでいた。
監督は彼らが中心となり映画を製作する過程を追い、その成り行きを映画でじっくり伝えてゆく。

冒頭にファンタジックな絵の中で陶酔の表情を浮かべていたプレマン(語源は自由人つまり無法者)のリーダーのふたりが3時間近いドキュメンタリー映画の最後まですっと深く関わって行くのだが、文字通りThe Act of Killingで実際の殺戮を再現するロールプレイのうちに自分が惨殺した被害者の経験を追体験することとなる。
役をやり深みに嵌って行くことで、被害者という他者の気持ちに同調してしまう。

他者の気持ちが分かるということ自体矛盾だが、演技に嵌ることは憑依的な面は大きいはずで、その無意識的な身体性から意識レベルに立ち上るものは確かにあろう。演技の上とは言え尊厳を踏みにじられ、恐怖の場面に身を浸してみると当時の深層の記憶が身体から蘇る面はかなりあるはずだ。
実際、彼は終盤において自分のやって来たこと(1000人ほど殺してきたこと)を対象化してゆく。
おれに報いが来るのか、、、。おれは殺した。殺すしかなかった、、、。前半の余裕の表情を浮かべながら威圧感を持って自慢気に話す姿とはずいぶん異なる。

自分のやったことに慄き、苦し気に嘔吐する。一言二言、自問自答しながら激しく嘔吐する。
嘔吐を繰り返す。
それは自分が抑圧・隠蔽してきた深層から突き上がって来る思いそのものである。
その不気味な異物がいまや容赦なく突き挙げてくる。

ちなみに映画の最後は、冒頭の滝の場面に戻り、そのプレマンのリーダーが自分の殺害した男から自分を殺し天国に送ってくれてありがとうと言われ手を握るものである。
ギャグにもならぬ。

完成を観たその夜、事務所屋上の殺害に使っていたスペースに独りやって来て、内省と遡行に及ぶ。
嘔吐の場面である。

最後の最後でブーツストラップしてきた。
これをドキュメンタリーに入れる事が出来たところで、この映画がしっかり成立した、と謂える。









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