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GOMA28

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薔薇の名前 その2

IL NOME DELLA ROSA007

IL NOME DELLA ROSA
1986年
フランス、イタリア、西ドイツ

ジャン=ジャック・アノー監督
ウンベルト・エーコ原作

ショーン・コネリー 、、、バスカヴィルのウィリアム
F・マーレイ・エイブラハム 、、、ベルナール・ギー異端審問官
クリスチャン・スレイター 、、、メルクのアドソ(ウィリアムの弟子)
エリヤ・バスキン 、、、セヴェリナス(薬草係)
フェオドール・シャリアピン・Jr 、、、ブルゴスのホルヘ(盲目の師)
ヴォルカー・プレクテル、、、 マラキア(図書館管理者)
ミシェル・ロンズデール 、、、アッボーネ修道院長
ロン・パールマン 、、、サルヴァトーレ(異教徒)
ヴァレンティナ・ヴァルガス、、、少女


この映画なら何度だって観られる。というものはそう多くはない。
「薔薇の名前」は間違いなくそれに入る。
「映画」の苦手なわたしでも、観る快楽に浸れる貴重な作品なのだ。

ロケ地が凄い。
このような場所がまだ地球上にあることに驚愕する。
そして修道院の閉塞性である。
蔵書の山を呑み込んだ図書館はエッシャーの構図で閉ざされている。

IL NOME DELLA ROSA003

原作はその構造に圧倒され幻惑されるものだが、映画もその内容~ストーリーの部分を非常に精緻に重厚な形で再現に成功している。
筋は追うつもりはないが、一つだけわたしの特に好きなところが、図書館の秘密の入り口を開き、その階段を降りて迷い込んだウィリアムとアドソ師弟の張り詰めたシーンである。
迷宮に迷い恐れ、お互いを見失ったりもするが、片や師の方は、蔵書の山に歓喜して奇声を上げあれやこれやと読み耽る。
片や弟子の方は不安と恐怖でただお師匠様を頼り探すのみ。
相手の存在を響き渡る声で確認し合う。
ここには仕掛けの落とし穴、鏡、薬草まであり、暗号を解いて核心の本の秘蔵された部屋に進まなければならない。
(お目当てはアリストテレスのギリシャ語による写本である)。
所謂彼らの日常世界をグロテスクに象徴した悪夢のようだ。

何故、これはどの蔵書を誰にも閲覧させずに迷宮の果てに隠蔽するのか。
アリストテレスの詩学の第二部にあっては、その存在を否定したホルヘが毒まで塗って封印し続けていた。
ウィリアムにとり知は探求するものであるがホルヘにとっては保存するものである。
ホルヘに必要なのは、崇高な反復のみなのだ。

しかし基本的に考えることは疑うことであり、当然神もその対象の一つに過ぎず、教会にとっては脅威でしかない。
ましてやキリスト教の根幹も担うアリストテレスの説となればその影響力は甚大である。
アリストテレスの詩学第二部は、笑いが恐れを殺せばもはや神を必要とせず信仰の成立しない危険性を孕む。
次々にそれを読まんとした僧を毒殺したその書物を千切って口に押し込んでゆくホルヘの鬼気迫る執念。
そして松明を書物の只中に落として自らと共に知の迷宮全てを焼き払うのだ。
清貧の意味を取り違えた異端のドルチーノ派もそうだが、まさにウィリアムの語る信仰と狂信は紙一重の差である。
その差による狂気の沙汰の極みがありありと窺える。

IL NOME DELLA ROSA002


胸をときめかせて(異端の)知の山々に打ち震えたばかりのウィリアムは呆然とし、アドソを燃え盛る塔から逃がした後、力なく書物を守るように覆い被さる。
この時のウィリアムの絶望にひしがれた姿には深く感じ入った。
(わたしにとってはここが山場である)。

深夜に外で3人の異端者をベルナール・ギー指揮の下で火炙りにしている最中に背後の修道院の塔が凄まじい炎に包まれ丸焼けになって行く。それを見た修道僧たちや日頃虐げられている農民たちが火に向け一斉に集まる。
農民たちは無実の娘を魔女として焼こうとした僧たちを許すことが出来ない(彼女のところにはまだ火が回っていない)。
僧たちは黙示録の予言に恐れ戦き混乱を極めまずは火を消しにかかる。農民たちは暴動に出る。
ベルナール・ギーはさっさとその場を離れ立ち去ってゆく。怒りを隠さずその後を追うアドソ。
ベルナール・ギーにとって、僧殺しの真犯人などどうでもよいのだ。
しかし、帰り際に馬車の車輪が脱輪したところを農民たちの手にかかり馬車毎谷に落とされ彼は絶命する。

燃え盛る書物の塔を見て師匠の名を呼ぶアドソの前に手に持てる限りの貴重な蔵書を抱え煤だらけになったウィリアムが降りてくる。アドソは歓び駆けよって抱き着く。
命が助かろうとウィリアムにとっては大落胆以外の何ものでもない。
ホルヘについ先ごろ謂われた、君はさぞ優秀な司書となったろうに。が想い起される。
世界中の集められる限りの貴重な書籍群に取り囲まれ至福に浸った時は一瞬で奪われた。

最後に濃い霧のなか、師匠と馬で修道院から去る道すがらで、、トワイライトゾーンか?厩であの夜が明けたかのように目の前に現れ結ばれた娘が、この度の難を逃れてアドソを待っていた。ほんのひと時ではあるが、ふたりは手を握り合うだけで愛を確かめ合う。
そしてそのままアドソはウィリアムの後を追い、娘を置いて去って行く。
「何の後悔もない」と自分に言い聞かせ。
もう永遠に知ることもないたった一人の恋人である彼女の名前。

IL NOME DELLA ROSA008






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終盤は原作から大きく改変されているが、これはこれで良い余韻を残したと思う。
わたしとしては文句なし。
傑作と言う他ない。

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