フィレンツェ、メディチ家の至宝 ウフィツィ美術館
2015年
イタリア
ルカ・ヴィオット監督
プライムビデオで鑑賞。
昨日と違い、解説がしっかりしていた(ウフィツィ美術館長アントニオ・ナターリによる)。
質の高いドキュメンタリー映画になっていた。
そして語り部~主人公がロレンツォ・デ・メディチである。
フィレンツェをこよなく愛した男である。
役者もフィットしている。彫刻で見た彼に似ている。しかし服装は現代のラフな服を着ている。
「フィレンツェが生んだ芸術を輝かせること。永遠に!」
「芸術がフィレンツェを形作り、フィレンツェが芸術を生み出す」
これが説得力を持つドキュメンタリー映画だ。
ロレンツォ・デ・メディチは卓越した政治家でもあるが、どれほど学問・芸術に肩入れしていたかが分る。
審美眼も一流だ。
そして権力を持つと、優れた美術品を収集したくなるのも自然だろう。それらがひとつの場所に会すると確かに凄まじい相乗効果が得られる。
自分だけの鑑賞室を持つ夢を実現したフランチェスコ一世など、何と贅沢な男だ。
ブルネレスキ(建築)~ドナテルロ(彫刻)~マサッチオ(絵画)の3人の天才の紹介から始まるが、ブルネレスキの斬新なドーム設計の説明を聞いても改めてその才能に感心するが、何よりドナテルロである。
ダヴィデはすこぶる魅惑的で、ミケランジェロとはまた異なるタイプの天才の彫刻であることを再認識する場となった。
そしてここから、レオナルド~ミケランジェロと流れる展開にはゾクゾクする。
(ひとつの映画でドナテルロとミケランジェロのダヴィデが見られるのもホントに贅沢である)。
ブルネレスキ設計の二重構造のドームを持つサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂とミケランジェロのダビデ像(レプリカ)が立っているシニョーリア広場などもしっかり眺める事が出来、ドキュメンタリーとしてちゃんと機能している。ヴェッキオ宮殿内の絵画の並びにも惹かれた。そして何よりウフィツィ美術館。ミケランジェロの「聖家族」やボッティチェリのプリマベーラ~春が拝める。「ヴィーナスの誕生」は改めてじっくり観てみたい。
うちの近くの高校では、美術部に入ると、夏休み合宿で、この辺をしっかり見学できるそうだ。何と羨ましい。
レオナルドの「受胎告知」で解説者がこの絵の主役はあの山(遠近法の消失点)であると言っていたのは慧眼と思う。
まずわれわれの目は、あの海からせり上がって来た幻のような山に惹き付けられるはずなのだ。
「アンギアーリの戦い」は感慨深い。そう実験が過ぎて壊滅したのだった。
ボッティチェリの解読しなさいと突き付けてくるような寓意画がこれまで苦手であったが、時代背景も考えると制作する必然性も見えてくる。
寓意的神秘に達している「春」は改めて見事に思う。
新プラトン主義の意匠でもあるのだ。植物が500種類も描かれているのには参った。
レオナルドの「東方三博士の礼拝」の修復後の画面がかなり観れた。
レオナルドの絵は、未完と兎角謂われるが、それ自体が至高の構造図みたいな作品になっていることを実感する。
アルテミジア・ジェンティレスキを初めて知った。怨念を感じる程の迫力の「ユーディット」は印象に深い。
ミケランジェロの弟子であり美術史家として高名なジョルジョ・ヴァザーリのフレスコ画も見られ建築家としての働きにも触れられた。
ベンベヌート・チェッリーニの「メデューサの頭を持つペルセウス」も初めて知る。
これらは収穫。
ティツィアーノの「ウルビーノのヴィーナス」までの射程があった。
確かにこの作品、品格があって美しい。
やはりレオナルドとミケランジェロのふたりが天才のなかでも飛び抜けた存在であることも彼らの作品を目にしながら流れの中で再認識できる。
そしてジョットがルネサンスの父と言ってもよい存在であることをしっかり確認できた。
とりとめもないことを並べてしまった。
色々と思うことが錯綜し、なかなかまとまらない。
この映画は観て損はない充実した内容に思う。
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