涼宮ハルヒの憂鬱-Ⅱ

The Melancholy of Haruhi Suzumiya
2006年
石原立也 監督
谷川流 原作
(声:
キョン 、、、杉田智和
涼宮ハルヒ 、、、平野綾
長門有希 、、、茅原実里
朝比奈みくる - 後藤邑子
古泉一樹 、、、小野大輔
朝倉涼子 、、、桑谷夏子
不思議なことには敏感。
しかしそれは三面記事の野次馬的なレベルを出ない。
だが、本人の気づかぬ次元で宇宙~時空改変を知らず行っている、という特異点であるハルヒ。
微妙で思い切った設定である。
望むことを彼女はいつの間にか実現してしまうのだが、そのことに全く気付かない。
途轍もない絶妙な凄いことをやっている事実には無自覚で、意識は常識的に面白いことをいつも探している始末。
単にお祭り騒ぎをしたいだけのようにも映る。
だが、彼女が実現した(想像もせずに創造した)世界を彼女自身が観測せずに果たしてその世界は存在したと謂えるのか!
それは無いに等しいではないか。
宇宙は自身の生んだ観測者を前提として初めて存在する。
いま、この世でもっとも不思議でワクワクできるのは、科学的な発見などではないか。
最近の大きな出来事として、ヒッグス粒子の発見(2012)、重力波の直接検出(2016)、ブラックホール撮影(2019)などが特別感慨深い。だが日々宇宙(惑星間)観測機により孤独のうちに続けられていた調査・発見のニュース~情報には胸が躍る。
ここのところ、主にカッシーニによる土星と土星周辺の探査であった。
その余りに美しく神々しい冒険。あのグランドフィナーレのビデオは何度見ても、こみ上げる涙を抑えられない、、、。
それはあくまでもメディア(編集・製作)を通して享受できる情報であることは違いない。
それでも、こんな情報以上のものが、他で得られるとは思えない、、、
そしてこれが観測者あっての宇宙なのだ。リルケの言うように、ことばの数だけ宇宙は深まり広がってゆく。
絶妙なチューニングによって辛うじて存在し得た観測者。
それが初めて宇宙を存在せしめる。この表裏一体。
であるから、映画「メランコリア」で地球が天体衝突により破壊され宇宙の藻屑と消えたときに、同時に宇宙は死んだのだ。
(人間原理の重要な要素のひとつ、地球に向かう他天体の軌道を自らの強大な重力で逸らしてしまう木星の力がこの時は及ばなかった)。
一次情報や所謂情報化される前のデータ~事象に触れる機会はさすがにわれわれ市井の人間には制約が多すぎる。というより接する手立てが限られている。身体的限界も含めて。
ハルヒはともかく素手で直接何か途轍もないものを掴んでみせたいのか。あくまでも自分の手で。仲間と一緒に、、、。
気持ちは分かる。神になりたいのか?(本当になってしまっているが気づかないだけなのだが)。
当然彼女の現実においては、到底何を企てようが満足できるところまでは届かない。
その執念~無意識的欲動が、情報爆発~時間大震動~閉鎖空間(次元断層)の生成などを引き起こすというのか。
とんでもない規模の危うい祭りである。
ハルヒの望む世界を彼女自身が創り、彼女はその世界内にいながらその世界がなんであるかを知らない。
いやこれはわれわれにも言えることではないか?
彼女に必要なのは、観測者なのだ。
彼女の世界を見てくれるもの。それがあって初めて彼女も真に存在しうる。
自分の小ささを自覚させられるのではなく、自分の無限の可能性をその広がりを見届けてくれる存在が必要なのだ。
それが彼女に選ばれた普通の人キョンなのではないか。
そして彼女の望みであった宇宙人の長門有希に未来人の朝比奈みくるに超能力者の古泉一樹がそれぞれの目で見守る。
キョンはハルヒに選ばれた。とみんなが言う。一番の謎。それは何故キョンが選ばれたのか?
キョンこそハルヒの観測者なのだ。
ハルヒが消失したときにも、彼は天文学者のように彼女を見つけ出した。
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