たまこラブストーリー その2

Tamako Love Story
2014年
山田尚子 監督
吉田玲子 脚本
片岡知子、マニュアル・オブ・エラーズ 音楽
洲崎綾「プリンシプル」主題歌
ダイナマイトビーンズ「恋の歌」劇中歌
声):
洲崎綾 、、、北白川たまこ(餅屋「たまや」の娘、バトン部)
田丸篤志 、、、大路もち蔵(餅屋「大路屋」の息子、たまこと同級生、映画研究会)
金子有希 、、、常盤みどり(たまこの親友、バトン部部長、たまこと同級生)
長妻樹里 、、、牧野かんな(たまこの親友、バトン部、たまこと同級生)
山下百合恵 、、、朝霧史織(たまこの親友、バトン部、たまこと同級生)
日高里菜 、、、北白川あんこ(たまこの妹)
藤原啓治 、、、北白川豆大(たまこの父)
日笠陽子 、、、北白川ひなこ(たまこの亡き母)
西村知道 、、、北白川 福(たまこの祖父)
この物語の肝としてあげられるところは、、、
たまこともち蔵の幼馴染の意味合いの違いと幼くして母を亡くしたたまこの拠り所が商店街に置かれているところか。
これは、たまこの自ら無意識に作り上げた柵からの脱却と自立への物語として捉えられる。
大路もち蔵はどうやら初期から北白川たまこに一定の距離を置き、しっかりよその子として彼女と関わってきたようだ。
片や北白川たまこは、彼をファミリーの一員みたいな存在(兄妹)として捉えていたか。
少なくとも、もち蔵から告白されるまで、たまこは微塵ももち蔵に対して恋愛感情などもっていなかったのは事実であろう。
最終的に、糸電話のコップをいつもキャッチできなかったたまこが、東京行き新幹線のホームで初めてキャッチできたところで、こころが繋がる~アクロバティックな飛躍~着地が見えたところだが、ほんとうにそうだったのかどうかは怪しい。
周囲からそういうありきたりな物語へと誘導された雰囲気は消し難い。
だが、別に客観的に見て、王子であっても大路もち蔵であっても、とても良い人物~相手だとは思うが。

たまこにとって「うさぎ山商店街」が母親代わりであろうことは容易に想像がつく。
彼女はその場所に不変を要請する。日常の円環構造を維持しようとする。
精神的な後ろ盾は誰にとっても必要だ(しかしそれを商店街が引き受けてくれるのは極めて稀有なことだろう)。
だが、いつまでも生暖かい巣の中で保護され続けて過ごす訳にはいかない。
高校三年で、進路が目の前に控えていることと、更に告白されその相手を選ぶかどうかという、主体的な選択を迫られる。
自立~自己対象化を不可避に要請される流れは止まらない。
もち蔵は、東京へ出てゆく。映像の勉強を本格的にしたい。目的が円環構造を破る。
たまこのこころを揺るがし解体させたまま、彼は外部に出ようとする。
しかしたまこの状況は周囲の親友との関係もありもう不可避的にもち蔵の方向へと流れ着くしかない。
後は、たまこ自らがほんとうにそれを欲するかである。
ノーという立場も理屈の上からは残されてはいようが、周囲の流れから言ってそれは難しい。
(結局、恋愛というものは、このような政治的局面でその気になって行くところは小さくないと思われる)。
そのタイムリミットが常盤みどりによって謀られる(牧野かんなもそれを推す)。

恐らくこれまで漠然と将来は実家の餅屋を継ぎ、不気味に心地よい商店街に安住しようとしていただろう。
もち蔵の告白は、たまこの殻を破り自立を促すトリガーとして作用した。
これがなければ、外に意識を向けることが随分と遅れたように思われる。
もち蔵を意識の外にある他者として捉えなおす~書き換える。
同時に商店街の外部に意識を馳せる。
外の世界=自分の世界に。
しかし急速に自我の形成は図れない。
これからはもち蔵という他者と共にそれを行ってゆけばよいか。
どうなのだろう。こんな風にしか受け取り難い作品であった。
かなり革新的な。
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