映画けいおん! その2

山田尚子 監督
吉田玲子 脚本
かきふらい 原作「けいおん!」
(声
平沢唯 、、、 豊崎愛生(放課後ティータイムメンバー、卒業を控えた3年)
秋山澪 、、、 日笠陽子(放課後ティータイムメンバー、卒業を控えた3年)
田井中律 、、、 佐藤聡美(放課後ティータイムメンバー、卒業を控えた3年)
琴吹紬 、、、 寿美菜子(放課後ティータイムメンバー、卒業を控えた3年)
中野梓 、、、 竹達彩奈(放課後ティータイムメンバー、在校生)
山中さわ子 、、、 真田アサミ(軽音部顧問)
平沢憂 、、、 米澤円(唯の妹)
ストーリーはこの上なく禁欲的で日常的である。
大袈裟な事件などは一切排除されている。
ただ導入部の、顧問の先生が現役時代に結成したバンドの曲に合わせて弾き真似をしてから、音楽的な対立からバンド内で揉めるという小芝居を打って梓を面白がらせようとしていたところは、妙に面白かった。このまさに小芝居によってスッと物語にのめり込めた。
アフタヌーンティーを愉しむのが目的のような軽音楽部「放課後ティータイム」の卒業旅行がものの弾みで(すっぽんもどきのドンちゃんが選んだ)ロンドンに決まり、在校生の梓~アズにゃんも一緒に連れて行くことになる。
と言っても先輩が皆頼りないため、ただ一人の後輩の梓が色々調べてコーディネーター役に自主的につく。

ロンドンでも和気あいあいのゆるいペースは変わらない。初っ端で予約したホテルを間違え、ゴージャスな回転寿司屋に入ったら他のバンドと間違えられ、そこで法被を着せられ演奏する羽目に(これはちょっとうれしいハプニング)。梓が靴擦れで新しい靴を買ったりと、チェックインするまでに如何にもといった珍道中を愉しむ。
途中で何も食べられなかった(食べそこなった)ため、ホテルで持ってきたカップ麺などを食し、卒業生の4人は独り部活を継ぐ梓にプレゼントする曲作りを内緒で進める。
先輩として何か残せるものを作っておきたい。
と言うよりアズにゃんが喜ぶ事をして卒業したいという気持ちか。
とても自然なものである。
最終日、先輩から突然舞い込んできたライブの誘いを受け、日本の女子高生バンドとして出演。
これまで彼女らがしっかり音楽活動をして来たことが、わたしにも分る展開となる。
なかなか上手いし、キャッチーなチューンを聴かせ盛り上げて、帰国の便にギリギリ間に合う。
実に充実した3泊5日の旅ではないか。
日本に戻って、完成したものをアズにゃんに皆で演奏して聴かせる。
彼女の拍手まではそのままダイレクトに見せるが、その後の語らいは窓越しに引いて窺わせ想像の余地と余韻を残す。
そして夕日の中で、卒業生たちがやるべきことを終え、大学生活への展望を、彼女らの細やかな脚の動きだけを追って饒舌に語ってゆく。この絵による演出自体がとても洗練されている(こうした場面は多い)。
新鮮であった。このように殺人事件もなければ、争いも闘いも虐めもなく、ちょっとした冒険と友情を深める、日常をほとんどはみ出さない気負いのない噺であるが、充分に愉しめるのだ。
学園ものとは、元々こういうものだと言われればそれまでだが、日常をそのまま描いて魅せる映像作品となっているのは、この「絵」によるところが大きい。
ストーリーを具体化~表現するレベルで極めて質の高い仕事がなされていることは確かだ。

熟練した職人技を感じるもので、この安定性~品質を頼みに仕事が寄せられる側面は大きいと思う。
だが同時にこれは高度な表現であり、芸術でもある。
集団の制作であり、伝統工芸的な側面を求められると、自在性は難しいとは言え、やはり表現における進展~進化も続いていると感じられる。ピカソのような単独者であれば、その自在性~自由な発想は無制限に発揮できるが、この集団も自らのコピーを垂れ流すようなことはしていないはず。意匠を凝らすことで絶えず前進して来たに違いない。
(よくどこの制作チームによるものかを調べるだけで、その出来を一律に推し量る向きがあるが、そんな判で押したような制作しかしないのなら、早晩AIが大部分を肩代わりする流れとなろう)。
今後の京都アニの復活と増々進展してゆく様を見てゆきたい。
声優陣(キャスト)もキャラへの溶け込みは申し分ないものであった。

京都アニメーションの他の作品も是非、観てみたい。
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