シャチ~優しい殺し屋~

Killer Whales
2013年
イギリスBBC
クリス・コール監督
”Killer Whales”という異名をとる血生臭いイメージをもつシャチであるが、実際はどのような存在なのか、、、
専門家たちの詳細な調査・研究によるBBCドキュメンタリーには興味を惹かれた。
音響カメラをシャチに取り付け海中で何が行われているかを魚群探知機で調べてゆく。
声~言葉のパタン収集もしデーターも蓄積された(シャチのことばの辞書を作るという科学者もいる)。
彼らは声も言葉~コミュニケーションと効果的な威嚇~狩りに使い分けている。
それから犬に水面に浮かぶ彼らの糞を探させてその水域に棲むシャチの健康~環境状態を細かく調べた。
(観光船のストレスや栄養不足と汚染などが発覚し、シャチにとって環境はかなり過酷なものであることが分かる)。
一頭ずつ背びれの形が違いその後ろの色~サドルパッチの形も異なることで、個体識別が可能である。
名前をひとりひとりに付けて、かなり研究も深まって来た。
シャチは文化を持っている。
家族単位の群れで暮らし、率いるのは雌の家長である。
雌は14歳で成熟し平均3頭の子を産むという。
基本的に雌も雄も同じ群れで一生を過ごす。
群れ特有のことば(映画では方言という)を持ち、狩る獲物も群れによって異なる。
(血縁が近いと言葉も似てくるが、離れていると全く異なる言葉となるようだ。人間もそうなるが)。
シャチは狩る対象が他のグループと重ならないようにして争いを避けて来たことが分かった。
ここは、人間より賢い(人はしょっちゅう漁場を巡る問題を起こしている)。

シャチは魚を食べる定住型(レジデント)と哺乳類を狩る回遊型(トランジエント)とその他の2つの4つの共同体に大きく分かれ、世界におよそ10グループあることが知られている。人類に次いで広い範囲に生息する哺乳類なのだ。
そして生息地によって異なる食性を持つ。
(特殊例として、南極大陸には異なるタイプのグループが3つ重なり合って生息しているが、主食が違うためその為の接触は起きず共存共栄している)。
エイを狩ったり、トドを狩ったり、ミンククジラを狩ったり、ゾウアザラシやペンギンだったり、、、そして見事に統制の取れた無敵のチームプレイを展開するが、そのやり方もグループごとに異なる。
ニュージーランドのシャチはエイを狩るのだが、エイの尻尾の毒を封じるためにひっくり返して咥えて動きを止めるなど、対象に特化したテクニックを磨いている。
獲物を追う時も、単に獲物の後を追うのではなく、隊列のフォーメーションを変えながら迫り、囲い込んで溺れさせる技術を持つ。
その他にも全員でシンクロして泳いで大波を起こし、対象を水中に引き落として捕獲するなど、、。
伝統を継承しつつより洗練させ~効率化もそれぞれ独自に図っているらしい。
パタゴニアのシャチに至っては「シャチアタック」という岸辺にいるトドを仕留める必殺技などを開発している、、、そういったものをそれぞれがもっているのだ。
まさに文化である。
群れの中に病気のものや怪我のものがいるときは、成員皆で世話をする体制も組まれる。
体の障害で狩りの出来ないシャチがずっと元気でいられるのも、食物を仲間からシェアしてもらっているからだ。
4つのグループから支援を受けているシャチもいた。極めて高度な支援体制ではないか。
自分の共同体の成員でなくても、生きることに支障のある者は助けるというシステムが出来ているのだ。
苦労して獲った獲物を仲間にそのまま渡したりもする。
きっとそうする必然性があったのだろう。
シャチには高い知性だけでなく、感情が備わっていることも分かっている。
(脳に人と同じ感情を生む細胞が見つけられているそうだ)。

最後にシャチは人間に似ているとある女性科学者が述べていたが、それはどうか?
出来れば似ていないことを祈る。
(似ていたなら、ロクなものではない。少なくとも差別や支配を始めることは間違いない)。
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