エリザベス∞エクスペリメント

ELIZABETH HARVEST
2019年
アメリカ
セバスチャン・グティエレス監督・脚本
ケイル・フィノット撮影
アビー・リー・カーショウ 、、、エリザベス・カレンバーグ(ヘンリーの亡くなった妻のクローン)
キアラン・ハインズ 、、、ヘンリー・カレンバーグ(ノーベル賞受賞の生物学者)
カーラ・グギーノ 、、、クレア(生物学者)
マシュー・ビアード 、、、オリバー(ヘンリーのクローン、盲目の青年)
ディラン・ベイカー 、、、
「エリザベスの報い」か。
アビー・リー・カーショウは「ネオン・デーモン」にサラ役で登場していたスーパーモデルである。
「エクス・マキナ」に近い雰囲気を持つ。だがこちらはクローンである(むこうはロボット)。
細胞から取り出したDNAを含む細胞核を未受精卵に移植することで、はじめてクローンが作成される。
奥さんが23で亡くなったとしたら、その体細胞から奥さんと同じような容貌と体格を持った個体まで育つには単純に、23年以上かかる。その過程が描かれていないうえに、何故かみんな成人なのにカプセルみたいなものに保存されているため、奇妙であった。
後半、カプセルに入れた(戻した)のは病気のせいだとは分かる。
彼女らはクローン人間作りに狂気の情熱を燃やすヘンリーに加担するクレアのつきっきりの研究治療を受けていた。
はじめ6体作成したものが最終的には1体だけ生き残る。
それまでは適合が困難であったり、精神が構成できなかったり?で失敗したり、博士がわざわざこの部屋を覗くなとあたかも覗くような動機付けをしておいて、約束を破って覗いたことに腹を立て殺したりして、数が減って行く。
ただ途中で、博士が徹底的にこの研究をやり尽くすとか、失敗したところで殺すのが快感みたいなことを言い出し、ずっと研究を続行すると力説していたが、6体の後でまた移植を追加したのかどうか定かではないが、あくまで人と同じペースで成長するクローンである。その辺の流れがどうもすっきり伝わってこない。いきなり映画が成体の姿から始まりそれらがカプセルから目覚めたりするものだから、実に変であった。

噺は、妻を若くして病気で失ったマッドサイエンティスト(ノーベル賞の生物学者)がこれまた優秀な女性生物学者クレアの支援を受けながら、妻のクローン作成を延々と続けてゆくというもの。
そのクローンエリザベスに対しては、ヘンリーはかなり年上の夫、クレアは屋敷のメイド、盲目の青年オリバーは召使として接する。
それにしても、見事な豪邸である。
なんでも揃っていて、外に出る必要性を感じない。
わたしなら快適に籠もるはず。
この映画自体、ほぼこのキーの解除できない屋敷の中だけで展開する。
何故、夜になるとクレアとオリバーが邸宅の外に出てゆくのかがいまひとつ分からなかったが。
閑静な郊外というより、人里離れた森みたいなところか。
こういう場所で秘密の実験が行われ、エリザベスのような訳アリの美女が幽閉されているという設定は余りに既視感が強い。
特にSFものには多い。
エクス・マキナは勿論、「ショートウェーブ」とか、探し始めたらかなりありそうだ。
だが、この設定に説得力はある。
(これもSFお伽の城なのだ)。

5代目エリザベスが、ヘンリーとの共同研究を行ったクレアの日記を読んで自分のことやオリバーの出自を知ってしまったことで、彼ら相互の関係性をしっかり把握する。
そこから事態は大きく動いてゆく。
特に目の見えないオリバーは自分の存在について大きな不安を抱えており、エリザベスから日記に何か書かれていないかを執拗に探って来る。自分は本当にヘンリーの息子なのかどうか、疑い続けてきたようだ。
それが、ヘンリーのクローンであったのだ。つまり彼の不安は的中したのだ。
5代目エリザベスが起こしてしまった6代目が何処かに潜伏していて暫くの間姿を見せず、終盤に現れたところで、事態は決定的に行くべきところまで行ってしまう。
5代目は6代目に射殺されるが、彼女の得た認識は6代目に受け継がれる。
(後半、エリザベスにとって正当防衛で、ヘンリーを殺害してしまったあたりから、かなり血生臭い状況に展開してゆく)。
彼女は、病気で入院していたクレアが戻ると、その邸宅を彼女に明け渡し、自らは颯爽と出てゆく。
念願の外の世界に逞しく足を踏み出してゆくのだった。


アビー・リー・カーショウがかなりの演技派であることも分かった。
それぞれ代の異なる(と言っても作成時は同時だが、カプセルからの目覚めの時差がある)それぞれのエリザベスをしっかり演じ分けていた。これは見事である。
ただ、遺伝子が全く同じでほぼ同様の環境で教育や植え付けを受けて来たはずなので、それほどの目立った差異は生じないとは思うが、クレアの彼女らに対するケア~治療が向上していった成果によるものなのだろうか。
段々代が増す毎に、エリザベスは人間らしくなってゆく。
つまり物事に懐疑を抱き、探求心を持ち、それを自ら発見して解決しようとする姿勢が強くなってゆく。
最後のエリザベスは最初の頃のお人形のような頼りなげな彼女とは容貌は一緒なのに別人のように逞しい。
耽美的でもあり、その雰囲気にも酔えるかも。

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