テルマエ・ロマエ

THERMAE ROMAE
2012年
武内英樹 監督
武藤将吾 脚本
ヤマザキマリ 原作
住友紀人 音楽
ラッセル・ワトソン 主題曲「誰も寝てはならぬ」
阿部寛、、、ルシウス(古代ローマ帝国の浴場設計技師)
上戸彩、、、山越真実(漫画家志望の派遣社員)
北村一輝、、、ケイオニウス(次期皇帝候補)
市村正親、、、ハドリアヌス (第14代ローマ皇帝)
宍戸開、、、アントニヌス(次期皇帝候補)
笹野高史、、、山越修造(真実の父)
BSで入っていたので、観た。
”トゥーランドット”(プッチーニ)がとても良い感じで何度も聴ける。
何故か知らぬが感動してしまった?
音楽の演出力は大きい。
楽しいコメディであった。
着想からして面白い。
お風呂でこれだけのスケールを語ろうと言うのはよく考えたと思う。
確かに風呂は大事だ。
考えてみればわたしも生活は風呂中心だ。
これも大ヒットした漫画の実写だそうだ。
このパタン実に多い。
(ヒットしているのだから原作・原案としてはよいだろうが、実写化はかえってリスキーな場合が多い)。
原作は全く見ていないが、これ自体は面白かった。
特に音楽が上手く絡んでいた。映画ならではの形式がよく活かされていたと思う。
そのうえ、現代日本とハドリアヌス帝時代のローマ(これが軽めのキッチュなローマ)を行ったり来たりするところのテンポが良く映像として弛むことがない。
日本の風呂の作りと小物や環境(借景)との関係などにいちいち驚き、内心で呟く所も笑える。

古代ローマ人が日本の銭湯にいきなりテレポートしたら、そりゃ驚くに違いない。
その驚きのネタは幾らでも想像できるし、噺も作り易い面はあろう。
また、ローマ人役の日本人キャストがとても合っていた。やはりこの人か、という感じで(笑。
それに対して日本人側のキャストは、如何にも日本人であった。
何しろ「平たい顔族」である(爆。
「平たい顔族」のお風呂文化はかなりのものだ。
実際、風呂好きな古代ローマ人なら絶対に喜ぶはず。

日本の風呂文化を移入して大いに株をあげるルシウス。
遂にハドリアヌス帝から直々に声がかかり斬新な風呂事業を任される。
風呂~浴場がこれ程重要な政治的な要素であるのなら、古代ローマと謂う場所はかなり愉しいではないか。
ルシウスは依頼された新規事業に悩むと、決まって水に溺れて出てきたところは日本の風呂である。
そこでまた大きなヒントや着想を得る。
するとまた水に誘い込まれて溺れ、上がったところは古代ローマとなる。
取り入れたアイデアや技術が人々から称賛され、ハドリアヌス帝からの信頼も絶大なものとなる。
その連続で面白可笑しく見せてゆく。
このパタンが結構快感となっている(笑。

ルシウスが一方的に日本に来るばかりではなく、真実も古代ローマに行ってしまう。
ルシウスと山越真実が何故、何度も出逢うことになるのか、単なる邂逅ではないはずだが、その理由は明かされなかった。
(こんなに特定の個人と何度も逢うということは、それなりの設定理由は欲しい)。
涙を流すと2000年後の日本の銭湯(温泉などの水場)に来てしまう荒唐無稽な設定を基本にして話が進むので、こんなことに疑問を挟む必然性もないか?

出逢いを契機に自分のやるべき仕事~漫画家を頑張ろうという気持ちはわかるが、あんなに早くラテン語をマスターしたのなら、この人の適性は語学にあるのでは、、、そっちの方向に進んだ方がよいかも。
結局、真実がローマに行ってしまったことで歴史が変わることを何とか防ぎ、ローマは救うことが出来たが~そうしないと後の世界の歴史も激変してしまう~真実の実家の方は救えたのかどうか?
見る限りそっちは何も変わっていないようだ。旅館は潰れてしまうのか?
真実の漫画は採用されたのか?
(派遣社員も漫画家アシスタントも首になっている)。
彼女の状況がどうなったのかはいまひとつ不明であった。
2人の別れの場面は、他の邦画でも似た場面があり、既視感は拭えなかった。
まあ、不自然さは感じなかったが。

最後にまたルシウスが真実の前に水の中から姿を現す。
これのⅡがあるそうなので、そちらも観てみたい。
こうしたお気楽に観られる映画も貴重である。
原作コミック全6巻
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