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GOMA28

Author:GOMA28
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バリー・リンドン

BARRY LYNDON001

BARRY LYNDON
1975年
イギリス

スタンリー・キューブリック監督・脚本
ウィリアム・メイクピース・サッカレー原作
ロイ・ウォーカー美術
ミレーナ・カノネロ、ウルラ=ブリット・ショダールンド衣装・デザイン
レナード・ローゼンマン音楽

ライアン・オニール 、、、レドモンド・バリー~バリー・リンドン
マリサ・ベレンソン 、、、レディー・リンドン
パトリック・マギー 、、、シュヴァリエ・ド・バリバリ
ゲイ・ハミルトン 、、、 ノラ(従姉)
レオン・ヴィタリ 、、、ブリンドン子爵
ドミニク・サヴェージ 、、、ブリンドン子爵(子供時代)
マーレイ・メルヴィン 、、、サミュエル・ラント牧師
ハーディ・クリューガー 、、、ポツドルフ大尉
レナード・ロシター 、、、ジョン・クイン大尉
デイビット・モーリー 、、、ブライアン・パトリック・リンドン(バリー・リンドンの子)
マリー・キーン 、、、 バリー・リンドンの母


映像と音楽がこれ程高度に融合した映画を他に知らない。
この映画はまず、それである。
いきなりヘンデルの「サラバンド」である。この荘厳な出だしでもう惹き込まれるしかない。
そしてシューベルトでエモーショナルに静かな美しい盛り上がりを見せる。
(シューベルトだけはバロックではないが)。
音楽でも18世紀の再現に成功している。選曲が見事だ。

更に蝋燭の光で映像を魅せる。
当時の夜の室内空間は蝋燭の灯だ。
その明るさの再現に徹底して拘る。
ラ・トゥールの世界を想わせる演出~撮影を見た。
技術的にはさぞ工夫が凝らされたであろう。
何よりレンズの選択が大変だったはず。

そして「アイリッシュ」である。
このアイリッシュはまだまだわたしにとって神秘の異郷である。
感覚的にも、とても興味深い。

BARRY LYNDON004

内容的には金と地位を如何にものにするかという形振り構わぬ欲望丸出しの主人公の話であり、そこに必ず決闘が関わる。
初めは純愛の要素もあったが、世間に揉まれるうちに打算しかなくなる。
そして粗暴な性格はより強まる。
それにしても銃による決闘は痛い。
ピストルは一度喰らったらそれまでである。
運試しだとしても余りに過激で危険すぎる賭けだ。
ギャンブルをこの上なく愛する主人公ならではとは言え、せめて剣にしておく方が無難だろうに。
(剣による決闘もしていた。剣の腕もたつ。喧嘩も強いが)。


物語は二部に分かれる。

第一部:レドモンド・バリーが如何様にしてバリー・リンドンの暮しと称号をわがものとするに至ったか

BARRY LYNDON002

18世紀半ば、アイルランドから物語は始まる。
バリー・リンドンの父は馬の売買の商談が拗れ決闘で殺害される。
彼は母の女手一つで育てられる。
自分も従妹ノラを慕って彼女の婚約者に決闘を申し込み、勝利を得るが村を追い出される羽目となる。
親戚は皆、相手のクイン大尉の年俸を期待しており、バリーを厄介払いするため彼のピストルには麻玉が仕込まれており、倒れた一時間後に大尉は息を吹き返し無事にノラと結婚した。

村を出てダブリンに向かうバリーであったが追剥に所持金と父の形見の剣と銃と馬を奪われたり、イギリス軍の補充兵となり7年戦争に従軍したり、グローガン大尉の下でミンデンの戦いに加わるが、大尉の戦士と共に軍から離れる決意をし脱走する。
将校の服と身分証を盗み(軍においてはそれが日常茶飯事であり、彼もそれに対し無感覚となっており)同盟国のプロイセンに上手く入り込む(途中、夫が戦争に出てひとり家を守るプロイセンの女性に食住の面倒を見てもらうが、この時期には女性を上手く利用するコツも手中に収めている)。
嘘を適当に並べプロイセンに侵入し接待を受けるが、ポツドルフ大尉に脱走兵であることを観抜かれ彼の兵卒にさせられる。
しかし武勲を認められ警察の下で働くことになり、スパイの嫌疑がかけられたシュバリエ・ド・バリバリと名乗る賭博師に近づき彼の行動を詳細に警察に報告することとなる。
だがバリーはシュバリエが自分と同郷であったことから二重スパイの形でシュバリエ側に付く。
シュバリエがいかさま賭博にケチをつけた貴族に対して決闘を申し込むと騒いだことから彼は国外追放となるが、その時バリーも一緒に逃げることに成功する。そしてヨーロッパの社交界をふたりで巡り、いかさまで大儲けをする。
そんななか、彼が素晴らしい条件を備えたチャールズ・リンドン卿の妻レディー・リンドンを見初める。


第二部:バリー・リンドンの身にふりかかりし不幸と災難の数々

BARRY LYNDON003

バリー・リンドンは、チャールズ・リンドン卿の病死の後にレディー・リンドンと結婚し莫大な財産を好きなように使える身分となる。
端から妻の存在をないがしろにして豪遊し放題であった。
彼女は前夫チャールズとの間に男の子を儲けていたが、彼はバリーの本質を見抜き、最初から嫌っていた。
バリーはレドモンド・バリーからいつしかバリー・リンドンに改名している。
更に貴族の称号を手に入れるため彼は周りの貴族に大盤振る舞いをして法外な値段で絵を買い取るなどでリンドン家の財産を蕩尽してゆく。

BARRY LYNDON005

奥方が全ての財産の権限を握っていることから、彼女が亡くなるとかすれば財産はブリンドン子爵に移譲されてしまい、自分は路頭に迷うことになる。彼女は全ての請求書に気前よくサインをしてくれるが、彼女のサインなしにはことは一切運ばないのだ。
しかしバリーの母を軽んじた放蕩振りと身勝手な散財にブリンドン子爵は激しく抗議しバリーを憎む。
(バリーがブリンドン子爵に過酷な体罰を続けていたことも大きい)。
そしてパーティーの最中、ブリンドン子爵の挑発に乗りバリーは激しい暴力を彼に加えてしまう。
その為、彼は有力者たちはもとより誰からも敬遠される身となり貴族の称号など露と消える。
バリーと妻との間に生まれた溺愛するブライアンは、落馬事故で8歳で死んでしまう。
悲しみに暮れる夫妻であったが、ブリンドン子爵の怒りは頂点に達していた。
バリーとその母が好き勝手な振る舞いを続けてきたのだが、レディーリンドンの精神的な支えとなっていたラント牧師を解雇したことで、ついにリンドン邸を出ていたブリンドン子爵は確固たる態度に出る。
彼はバリーに決闘を申し込んだ。

バリーは相手に対し温情の姿勢を見せたことが仇となりブリンドン子爵の銃弾で足を砕かれ片足を切断することになる。

松葉杖をついて力なく馬車に乗り込み、アイルランドへと追い返される。
当然の報いであろう。としか言いようもないが、その後の足取りは知られていない。
また賭博師に戻ったという噂であるという。

主役は全くヒーローでも何でもないが、この殺伐とした人生模様が高密度な18世紀の再現のなかで実に精緻に描かれていた。
その物語絵巻に圧倒されたとでも謂うべきか。











参考までにサウンドトラック
引用:

1. Sarabande-Main Title (2:43)
 サラバンド=メイン・タイトル
 George Frederick Handel / Leonard Rosenman, National Philharmonic Orchestra

2. Women Of Ireland (4:12)
 愛のテーマ(アイルランドの女)
 Sean O Riada / The Chieftains

3. Piper's Maggot Jig (1:43)
 パイパーズ・マゴット・ジグ
 Traditional / The Chieftains

4. The Sea-Maiden (2:06)
 海の乙女
 Traditional / The Chieftains

5. Tin Whistles (3:45)
 ティン・ホイッスルズ
 Sean O Riada / Paddy Moloney And Sean Potts

6. British Grenadiers (2:15)
 イギリスの擲弾兵
 Traditional / Fife and Drum Ensemble

7. Hohenfriedberger March (1:17)
 フレデリック大王=ホーヘンフリードベルゲル行進曲
 Frederick the Great / Leonard Rosenman, National Philharmonic Orchestra

8. Lilliburlero (1:09)
 リリブレロ
 Traditional / Fife and Drum Ensemble

9. Women Of Ireland (0:56)
 愛のテーマ(アイルランドの女)
 Sean O Riada / Derek Bell

10. March, from Idomeneo (1:33)
 イドメネオより「行進」
 Wolfgang Amadeus Mozart / Colin Davis, Royal Philharmonic Orchestra

11. Sarabande-Duel (3:15)
 サラバンド―決闘
 George Frederick Handel / Leonard Rosenman, National Philharmonic Orchestra

12. Lilliburlero (0:55)
 リリブレロ
 Traditional / Leslie Pearson

13. German Dance No. 1 in C Major (2:18)
 ドイツ舞曲第一ハ長調
 Franz Schubert / Leonard Rosenman, National Philharmonic Orchestra

14. Sarabande-Duel2 (0:52)
 サラバンド―決闘
 George Frederick Handel / Leonard Rosenman, National Philharmonic Orchestra

15. Cavatina from "Il Barbiere di Siviglia" (4:32)
 セヴィリアの理髪師
 Giovanni Paisiello / Leonard Rosenman, National Philharmonic Orchestra

16. Cello Concerto E minor (3rd movement) (3:53)
 チェロ・コンチェルト・ホ短調(ヴィヴァルディ)
 Antonio Vivaldi / Pierre Fournier; Rudolf Baurngartner; Cello Festival Strings Lucerne

17. Bach: Adagio, from Concerto for Two Harpsichords and Orchestra in C minor (5:17)
 アダジオ―二台のハープシコードのための協奏曲から
 Johann Sebastian Bach / Karl Richter and Hedwig Bilgram, Munich Bach Orchestra

18. Piano Trio in E flat Major, Op. 100 (2nd movement) (4:18)
 ピアノ三奏曲ホ短調作品100より
 Franz Schubert / Holmes-Welsh-Goldstone Trio

19. Handel: Sarabande-End Title (4:09)
 サラバンド=メイン・タイトル
 George Frederick Handel / Leonard Rosenman, National Philharmonic Orchestra


全曲レナド・ローゼンマンのアレンジによる。
18のみ、18世紀の楽曲ではない。シューベルトによる美しくエモーショナルな曲。
選曲が映像に余りに見事に溶け込んでいた。

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