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GOMA28

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オリーブの林をぬけて

THROUGH THE OLIVE TREES004

ZIR-E DERAKHTAN-E ZEYTOON  THROUGH THE OLIVE TREES
1994年
イラン

アッバス・キアロスタミ監督・脚本・製作

ホセイン・レザイ 、、、ホセイン(夫役、撮影キャンプの雑用係)
モハマッド・アリ・シャバーズ 、、、監督
タヘレ・ラダニアン、、、タヘレ(妻役)
ザリフェ・シヴァ、、、シヴァ(助監督)
ファルハッド・ケラドマンド、、、前作からの監督役


ホセイン・レザイとタヘレ・ラダニアンは前作「そして人生はつづく」で震災の翌日に結婚した若夫婦を演じている。
(そこでは、タヘレは二階のベランダにおり、姿は見せず声~セリフだけの演技であった)。

実生活において少し以前から、ホセインはタヘレを見初めて、求婚し続けているのだが、彼女の祖母にはきつく断られ、彼女には無視されている始末(両親は先の震災で亡くなる)。何度も心の内を訴え、熱烈な求愛をしているのだが、一向に相手にされないで悶々とした日々を送っている状況である。彼は自分が文盲で家を持っていないことが彼女(特に祖母)の意に沿えない理由と受け取っている。
しかし、彼の理屈では、両者が読み書き出来ることも二人とも家を持っている必要もなく、お互いに補い合い協力し合って生活することこそが大切であり、持てる者同士が一緒になることより尊いことだという。
確かに一理あると、監督も頷く。
何れにせよ、彼としては彼女自身の口からハッキリと返答を聴きたいのだ。
さもないと気が済まない。諦めもつかない。確かにそういうものだろう。
彼らのやりとり、、、必死の説得と完全無視の対応の模様がたっぷりと見られる、、、。

THROUGH THE OLIVE TREES003

映画キャンプの雑用係であったホセインが代役でタヘレと新婚夫婦を演じることになり(結果は「そして人生はつづく」である)、暫く会うことも出来なかったのだが、これを機にお互いに話す機会が得られた。
これはホセインにとっては願ってもない好機であった。
「そして人生はつづく」で4分ほどの尺に過ぎなかったシーンが役者自身の日常生活の背景にまで拡張され極めて個人的な心の内まで晒され「オリーブの林をぬけて」という映画になってしまった、と言ってよいか。
所謂、スピンオフものだ、、、。
(これも入れ子状に全て作ってあるようにも思われるのだが)。

実際、靴下はどこだと言いながら階段から降りてきて一言二言交わすシーンをこんなに撮り直しするかどうかはともかく、降りるまでの上での待ちの時間を利用しホセインは彼女に対し饒舌に彼の結婚観を披露する。
彼女は、押し黙ってひたすら本を読んでいる。
聴いているかどうかも分からないが、濃密な二人だけの時間には違いない。

そしてタヘレがどうしても監督の指示に従わず、何度takeを重ねても、ホセインにトマトの入った袋を手渡す際に、彼を「さん」付けで呼ぼうとしない。
彼はタヘレを擁護し、最近の女性は夫をさん付けでは呼びませんよと監督を必死に懐柔しようとする。
そのまま撮影は終了となり、彼女は学校の勉強(試験)もあり、これでトラックに乗ってめいめいの家に帰ればそれっきりということとなる。

THROUGH THE OLIVE TREES001

そんな折、トラックに乗れる空間とメンバーの数がどうにも合わず、誰がどう乗るのかで喧々囂々となり、なかなか現場を出発できない。
業を煮やしたタヘレが自分の用意した鉢植えを手に持って、さっさとシートから降り、徒歩で家に向かってゆく。
それを見て焦っているホセインに、監督が君も若いんだから歩いて帰りなさいと、暗に彼女と帰るように促す。
(この辺、監督は人が良いのか悪いのか、よく分からないところである)。

当然、最後のロングショット狙いであるのは分かる。
もう、わくわくする大詰めになる(爆。

彼女の脚は思いの他速い。彼より脚も長い。
雑用係の荷物を下げながら、君の気持を聞かせてくれ~。
僕は君じゃなければダメなんだ。
おばあちゃんの意見はいいから、君の気持はどうなんだ。
何で答えないんだ、、、美しいことを鼻にかけているのか、、、などと言っている間に距離を開けられてしまう。

脚が速いでけでなく、地理に明るい。
林の中を、近道を選びどんどん進む。
ちょっと気を抜くと遥か前方にいるではないか、、、これは上手だ(わたしはそう感じた(笑)。
僕のことが好きならそう言ってくれ!
これだけ言っても君は何も喋らないのか?
君の心は氷なのか、、、とかなんとか、、、色々まくしたてるが、全く相手にしていないのは歴然としていた。

THROUGH THE OLIVE TREES002

そして待ってました。壮大なロングショット!
遥か遠くの彼女の元に林の中をちょこちょこ必死に追いすがるホセインの姿。
必死に動くパックマンみたいだ。
うんと近傍まで接近し、懸命に何をか訴えたのだろうか、その後のこちらを振り向く視線~その表情は、、、。
しかしその視線は、どこに向けられていたのか、かなり上空である。まさにわたし~視聴者にである。
そっと見守るなんていう監督ではない。そして彼も彼女も共犯か?!


、、、物語上、彼はどうなったのか。
わたしは目が悪いのでよくそれを読み取れなかったのだが、「ムンクの叫び」にはなっていなかったか?

走って荷物を両手に抱えて戻って来る彼の姿を確認して終わる。
ペーソスを味わいつつ宙吊りにされるわたし。
出来過ぎの物語にも当惑しつつ、、、。


物語の上で、基本的なところであるが、ホセインがいくら純愛を説いたところで、彼の話している最中にあてつけがましく本を読んでいるようなキツイ女性である。こんな女性と結婚を無理やりしても、わたしは彼が幸せになれるとは考え難い。
どうなったのか分からないが、いずれにせよ上手くはゆくまい。
(彼の考えでは両親が読み書き出来ないと子供の宿題が見てやれないから、片方は出来なければ駄目だと言う。しかしこれは家とは別問題に思える。家は彼の言うように同時に二つに住めないから片方の家に二人で住めば済むことだろう。だが文字の読み書きはそれ自体に留まらず、認識そのものに関与すること。文字を持たない者と持つ者の違いは家や金を持つ、持たないとは質的に異なってズレてくると思う)。


やはり最後にやってくれる監督である。





シヴァという女性の助監督の仕事ぶりが目を惹いた。
イランの出来る女性の姿を見た思いである。
車の運転もクールであった。

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