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告白小説 その結末

Based on a True Story001

D'après une histoire vraie  Based on a True Story
2017年
フランス・ベルギー・ポーランド

ロマン・ポランスキー監督・脚本
オリヴィエ・アサヤス脚本
デルフィーヌ・ドゥ・ヴィガン『デルフィーヌの友情』原作
レクサンドル・デスプラ音楽

エマニュエル・セニエ、、、デルフィーヌ(小説家)
エヴァ・グリーン、、、エル
ヴァンサン・ペレーズ、、、デルフィーヌの夫


作家が作品を創造する過程の内的葛藤をサイコサスペンス調に描いた作品。
その内面を二人の女性作家同士の対峙の形で現す手並みを堪能する映画であろう。

デルフィーヌが生み出した幻想のペルソナ(人格)であるエル~彼女は、デルフィーヌの無意識であり罪悪感であり、スランプ状態を打ち砕く創造的なリビドーでもあろう。
エルというデルフィーヌに対する忌憚ない意見を吐きつつ献身をみせるエヴァ・グリーンの大変ビビッドな姿で描かれるため、ふたりの作家の間の危うく激しい創造的なやりとりとして可視化されるが、実際籠って悶々として破滅的な幻想の世界を生きているかと思うとぞっとする。

Based on a True Story003

やはり家族の不幸や問題をネタにした小説で大人気作家になってしまったことが、無意識的に余程の負い目となってしまったものなのか。
通常の人格から乖離した批判的でヒステリックな人格を知らず(疲労混迷する意識に)立ち上がらせてしまったのだ。
(まずは彼女の意識に、とても話の分かるファンであり信頼に足る助言者のような存在として現れ)。
だがその分、不安と自己批判も高まる。
そんななか何より大事な4冊の創作ノートがなくなる。
(わたしも時折、大事なものをどうやら知らぬうちに処分してしまっていることに気づくことがある)。
共同生活をエルと始めるが、自分の過去や秘密を彼女に探られていることに慄く。
更にエルから貰った(恐らく新たに買った)ノートも影の人格であるエルが破り捨てている。
不安と猜疑心と恐怖と命の危険も覚えるのだが、、、

肝心のデルフィーヌの意識レベルでは、エルはどうにもならない他者であり続ける。
(自分の中の他者は誰にも存在し得るが)。
これがこのような心的状態での危うさとその手強さともいえるか。

Based on a True Story002

デルフィーヌのエルに対する無防備さパソコンのパスワードからメールその他何もかも突然現れた女性にすべて任せてしまうこと自体、彼女が本当の他者ではない証左である。(一体どこの誰が他者に自分のパソコンの中身を見せ、メールの返事までお任せにするか?)果ては替え玉講演まであっさり頼んでしまう。この度を越した依存ぶりは半ば彼女が自分自身、または自分の影の分身であることを前提として知っていると受け取る方が合理的だ。
映画のシーンに一度でもエルが第三者と何らかの接触ややり取りを持っている描写はない。
終盤、ガソリンスタンドで出逢った講演を頼んだ高校の司書が、デルフィーヌがすっぽかしたことを怒り激しく非難する場面があった。
エルは替え玉で講演などしていなかったことがはっきりする。
デルフィーヌが毒を飲まされ雨の夜に外に脱し、そのまま道端に倒れ気を失うが、彼女を追うこともなくエルが消えていることも合わせ、エルが幻想の産物であることを如実に示している。つまりここが終盤での種明かしだ。

Based on a True Story004

母親の自殺を元に家庭を晒しものにしてベストセラー作家になった事実に圧し潰されそうになって、自分への非難メールやフェイスブック炎上の自作自演やついには自ら食事に毒を混入させるところまでエスカレートする。
アパルトメントの階段を落ちたのもわざとやった感がありありであった。
創造の影の部分~ダークサイド・オブ・ザ・ムーンが鮮やかに描かれた映画と謂えよう。


最後はちゃっかり、またヒット作が生まれて大ファンの行列が出来てスッキリした表情でサイン会を行っている。
この作品はまさにこの映画そのものを描いた小説であろうか。
またいつエルが現れることか、、、。
こうしてみると、作家の創造の場の極限的な危うさを扱ったものであることは分かるが、透明化したエルを通してなんともあっさり新作が出来てしまったのにはちょっと拍子抜けするところでもあった。
だが、そんなものだろう。
この作品はエルの側が書いたのだ。




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