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GOMA28

Author:GOMA28
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風が吹くまま

THE WIND WILL CARRY US001

THE WIND WILL CARRY US
1999年
フランス、イラン

アッバス・キアロスタミ監督・脚本・製作

ベーザード・ドーラニー 、、、ベーザード(TVディレクター)
ファルザド・ソラビ、、、ファザード(小学生の男子)
バフマン・ゴバディ、、、先生


イランのテヘランから北700キロにあるシダレという山村が舞台。
物凄い異国情緒を愉しめる。
一面の石と岩の丘。
道案内に大きな木が目印。
漸く着くと少年が待っている。
用を頼むが彼はテストで忙しいと、学校のことばかり気にしている。
一応、客の接待と世話を頼まれているらしいが、学校の勉強とテストのことで頭が一杯らしい。
こんな生活、子供にとっては良いようだ。
電話のない村だ。

岩山を刳り貫いて作った住居。
入り組んだ階段を上ってゆく。頭に注意する必要のある高さの通路もあり、、、。
白い壁に青い窓枠。肌色の模様。
テラスで洗濯物を干したり、赤ん坊のハンモックがあったり、、、
上の段から出来たばかりのスープを下のテラスの住人に手渡したり、踊り場みたいなところで膝の上でスープを飲んでいたり、、、。
ちゃんと紅茶を出すカフェもある。良い雰囲気だ。
そこの女店主と旦那が口喧嘩するが、内容は何ら日本と変わらない。

THE WIND WILL CARRY US004

飲み物は、紅茶と牛乳ばかりが出て来た。
ヤギの乳もあったか、、、どうか。
もう、この光景だけで魅了される。

噺はまた面白い。
TVディレクターとそのスタッフ一行がシダレの村独特の葬式のロケのために、車で道に迷いながらやっとのことでやって来る。
当初、3日で撮影、取材を済ませて帰る予定であったのだが、危篤のおばあちゃんがいつまで経っても亡くならない。
ディレクターが暇を持て余してイライラしながら時を過ごすだけの映画だ。
彼と一緒にこちらも只管待つためともかく長い。
BGMもなく、上司からの電話に言い訳をして何とか滞在を引き延ばすのを観ているうちに知らず眠ってしまい慌てて起きる。
これの繰り返し。
面白かったのは、野原をのんびり散歩していた陸亀に八つ当たりして靴で亀をひっくり返して車に乗って帰って行くところがあったが、その後亀が自分で起き上がって歩き始めたので安心した。
同じようなシチュエーションで、ふんころがしが一生懸命働いているところにやけくそディレクターの視線がロックされたとき、何をしでかすつもりかと、ちょっと気になったものだが、ちょうどそこに会社からの例のお小言の電話が来たので助かった(ふんころがしは)。

村では彼のことを技師さんと呼んでおり、葬式の番組を撮りに来たと知っているのは、知的な風貌の小学校の先生くらいだ。
葬式を撮りたい等と言うと、如何にもおばあさんが早く死ぬのを待ちわびているように受け取られるため伏せている。
とても友好的な関係が結べており、パンやミルクを分けてもらったりしている。
そして一たび携帯が鳴ると、いつも慌てて車に飛び乗り高台まで走って登ってから通話する、と言っても上司の文句を何とか宥めるといった対応ばかりだが、いちいちそんなに電波を気遣って電話をするなら普通の固定電話の方がよっぽど便利だ(笑。
まあ、電話のない村だから仕方ないが、真剣に電話している分、笑える。
村人との会話も真面目なのだが、ユーモアがあって愉しめるものだ。
なかなか雰囲気の良い村で、いつか滞在してみたい。
というよりも、この長回しのうえに、正面からの接写が多いが、俯瞰した景色も絶景のこの映画を堪能するうち、自分もこういう映画を撮ってみたいという気持ちが湧いてくる。
不思議な魅力の映画だ。

THE WIND WILL CARRY US002

とても長く感じるがこれがディレクターの焦燥感に同期するもので、われわれは生理的にその引き延ばされた空虚感を彼と共に味わうことになる。この長さは映画の意味~内容そのものだ。
全般にわたり、とても物質感があってリアルである。

特徴的な部分は、ディレクターが独りであくせく暇を持て余して車ともどもオーバーヒートしているのだが、、、
同行したはずの他の撮影クルーは何をしているのか一切画面には出てこない。会話はあるが声だけであり姿を見せない。
この姿を見せない~不在なのがミソであり、危篤のおばあちゃんも全く画面には出てこない。
都会から見舞いに来ていた息子が帰っても、体調が戻ったから帰ったという説と再度会社に休暇を申請しに戻ったという説が入り乱れる。薬の面倒をみる家族も回復してきたと言う人もいれば、もうダメだという医者もいる。
家族や医者以外は部屋には入れないようで、ディレクターは彼らの言説に踊らされるばかり。
しょっちゅう確認の電話をよこす上司にも対応に窮するが、取り敢えず「順調です」と応え取材の延長の申請を出す。
「待つしかない」待たせるしかない(爆、のだ。
彼がいつも電話の際に登る墓のある丘の上で只管穴を掘る男も一度だって顔は見せない。
ディレクターと会話はするが、いつも穴の底からなのだ。
オマケに穴掘り男にミルクが欲しいことを伝えると俺の彼女に貰えと言われ名前だけ教えてもらう。村に戻ってその名を伝えるとその娘はまだ16歳で、何と家の地下室の暗闇にいて顔も見せない。
暗闇で娘が乳絞りをしている間、ディレクターは彼女に(彼氏に対してと同様に)語りかけ、詩を暗唱して聴かせる。
面白い。これがイランという国か。
ちなみに、ミルクを入れるポットは他の家で貸してくれたものだ。
器をもって中身を貰いに行くというのもなんとも風情があり趣き深い。

医者のバイクの後ろにも乗せてもらうが、そんなときも医者が詩を暗唱する。
「うん、いい詩だ」と後ろで感心する。
こんなに美しい自然が鑑賞できるんだから死ぬ気にはなれない、みたいなことを語り合う。
彼らの走る飛んでもない景色は、まさに異景とでも呼ぶしかない。
(単に美しいというものではなく)。

THE WIND WILL CARRY US003

荷物をまとめて車で帰るときに葬式があげられ喪服の女たちの列に遭遇する。彼は彼女らの写真を撮る。
ディレクターは拾ってずっと持っていた人骨を川に投げ捨てる。
骨は川の流れのままに流されてゆく。
彼も風が吹くまま身を任せるしかない、、、。
という感じで、どう終わったのか記憶はない。
そんな映画だ。


映画というものが何なのかを、睡魔のなかで感じさせる作品だ。



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