ライオンは今夜死ぬ

LE LION EST MORT CE SOIR
2017年
フランス、日本
諏訪敦彦 監督・脚本
トム・アラリ撮影
ジャン=ピエール・レオ、、、ジャン
ポーリーヌ・エチエンヌ、、、ジュリエット(死んだジャンの恋人)
モード・ワイラー、、、ジュールの母親
アルチュール・アラリ、、、フィリップ(映写技師)
イザベル・ベンガルテン、、、マリー
ルイ=ド・ドゥ・ランクザン,,,映画監督
「ライオンは寝ている」という曲は初めて知った。
多くの歌手に歌い継がれてきた曲だそうだ。
肝心のセリフもそこからきており、この曲から着想を得たものなのか、、、。
南フランスのラ・シオタを舞台に、「大人は判ってくれない」のジャン=ピエール・レオが「死」を演じる初老の俳優として出演。
目を15秒閉じてセリフを語りまた15秒目を閉じる。
目を閉じたらそれっきりかも知れない危うさしっかり感じさせてくれる。
「わしは疲れたから眠るよ」とよく眠っていた。
親近感を持つ。
わたしも睡魔との闘いであった。
共演女優が部屋に閉じ篭り出てこないため撮影が進まず、彼はその地にあるかつての恋人の家を訪ねる。
所謂、我儘な大女優というやつか、、、。
そこで彼は、バカンス気分に。
(こういう時に出来た空白の時間がもっとも自由で贅沢に思える)。

屋敷に着くと彼はうら若きジュリエットに出逢う。
彼女の霊に遭ったのか、彼の白昼夢のなかのかつての彼女なのか。
しかしそれはどちらであっても彼にとってはどうでもよい。
きっと彼にとっての理想の彼女の姿であって、他の人に彼女は見えないことでは同じ。
南仏の光と闇のなかで、、、
生死~現と夢の間が曖昧になってゆく。
そんな時空間に映画ごっこをして遊ぶ幼い子供たちが入り込んでくる。
一緒に映画遊びをしたいと言う。
彼らがシナリオを書き、ジャンも役者として入ることになる。
恐怖の館というホラー映画を子供たちに撮られた。
その合間に、彼はジュリエットと語り合う。
そしてよく昼寝もした。

このこどもたちとのやりとりは、恐らくほとんどがアドリブではないか。
スカスカでとても無理のない自然なものであった。
子供たちが皆、楽しそうで、まさに遊んであるではないか。
こんな場所だと、映画遊びなどとてもよく馴染む。
ジャンの謂うように、死もまた出逢いのひとつならば、、、
彼の美しい恋人との再会や映画を作る子供たちとの遭遇が、彼の死と生を一際煌めかせる場~時空となったと謂える。


南仏は憧れの場所だ。
ライオンが歩いていてもおかしくない。

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