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GOMA28

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ナチスが愛したフェルメール

Een echte Vermeer001

Een echte Vermeer

2016年
オランダ・ベルギー・ルクセンブルク

ルドルフ・バン・デン・ベルグ監督・脚本

ユルン・スピッツエンベルハー、、、ハン・ファン・メーヘレン
リゼ・フェリン、、、ヨーランカ
ルーラント・フェルンハウト、、、テオ


わたしの大好きなフェルメール映画は言うまでもなく「真珠の耳飾りの少女」である。スカーレット・ヨハンソンの最高の仕事に思える。

さて、こちらはフェルメールの贋作画家で金儲けと自己顕示欲と屈折した名誉心(自分を認めなかった美術界への復讐心)を充たそうとしたというハン・ファン・メーヘレンの噺である。
腕は良いそうだが、志と思想に決定的な問題がある。
少なくとも彼は芸術家ではない。
あるはずがない。

こんな男がフェルメールに近づけるはずもない。
だいたい自尊心と名誉心だけで何を描きたいのかも自分で分かっていない。
多くの芸術家は、自分の描きたいものをひたすら描き続けている。
それを描かざるを得ないために死ぬまで描き続ける。
それしかできないからそうするだけだ。

幸運にも生きている間に認められる画家もいれば、200年後に発見される画家やそのまま忘れ去られるヒトも数多い。
そういうものだ。
だが、それを気にする画家は実は少ない。表現自体は自己完結性を持つ。
自分のなかでよく出来たかどうかは分かるし、尺度も自分のなかにしかない。
逆に外部の評価は大方的外れで、当人にとっては煩わしいだけだ。
時に大々的に認められたことが迷惑でしかないこともある。
勿論食っていくために売れないと困るという面はある。
そのために自分のライフワークと切り離してクライアント用に売り絵を描いたりもする。
だがそれはどうでもよい別の責任に過ぎない(家族のためとか)。
ともかく、画家は自分のやりたいことを知っており、それを如何に描き切るかにかけている。
(勿論、主題はその時々の自分の問題意識に従い変化してゆくにしても)

この男は、まずもって前提となるそれが欠けている。
テクだけあって、それを何に使うかを知らない。
これで人に感銘を与える作品など作れようか。
修復師だって無理なはず。


そもそも若いうちに賞を得たりして認められているではないか。
その力量を活かし自分の描くべきものを探りその制作を弛まずに続けてゆくのが本来のはず。
何を捻くれてああなったのか。変な姦計を巡らしフェルメールの空白期に描いた絵だなんて、、、よくそんなでっち上げが通ったものである。
ヨーランカの夫である評論家でハンのパトロンにもなりそうだった男が彼を酷評したのは、妻にちょっかいを出された嫉妬からである。

Een echte Vermeer002

それは自業自得だ。それでへこんで酒に溺れてどうする。
たいそうイケメンの役者が悲劇の破滅的な天才画家みたいに熱演するものだから、こちらもついつい同情的に見守ってしまいがちになるが、少し距離を持って冷静に見れば単なるアホである。
政府も反ナチスのプロパガンダ的に利用しているのが見え見えだし、マスコミもその線で動いており、ハン・ファン・メーヘレンが国の宝であるフェルメールの絵をゲーリングに売って海外に流失させたことで国賊呼ばわりし、世間もそれを真に受けて踊らされていたが、一転、全ての絵はハン自身が描いた贋作だとカミングアウトしX線検査などでそれが証明されると、ナチスを愚弄した国の英雄扱いをし、絵をナチスに売った件では無罪、詐欺罪として懲役1年の求刑でおさまるのには呆気にとられる。
しかし、絵を売った金は返すことになる。
ハンにとってはフェルメールと同じ絵なのに何故、わたしの描いたものには値が付かないのかと、、、。
この失意・落胆とアルコール中毒が祟ったのか、実は恩赦が言い渡されるはずであったそうだが、それも待たずに彼は死去する。

わたしにはどう見てもそれがフェルメールには到底見えないが、それとは関係ない彼の絵として最初から発表していればそれなりの評価は得られていただろう。実際に美術館に彼の名で今では作品が飾られているそうだし。ほかの画家も、彼が目の敵にしていたピカソのように前衛画家ばかりではない。バルチュスみたいな古典的な(宗教的)画家もいて崇拝されていた。
ハンも時代に取り残された分けではない。自分のやるべきことを(贋作ではなく)成せばよいのだ。それを好む人は何処かにいる。
何をか勘違いした腕だけある絵描きのドタバタ劇であった。

Een echte Vermeer003

ヨーランカという女性~ミューズは単に思わせぶりなオマケみたいなものだった。
(画家たちの近辺には必ずこうしたミューズは現れるようだが、キキは特に有名である。絵描きであり同時に自身がそれでもあったのがタマラ・ド・レンピッカである。蛇足であるが)。


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