長女のお友達が来た

次女は女子会と銘打って大量に友達を連れてきてドンチャラ騒ぎを時折やるが、日頃ほとんど自分から声をかけない長女が初めてお友達をひとり家に連れてきた。
ピアノ友達で、今年度の合同音楽祭で同じ曲の伴奏者に名乗りを上げ、長女がその役に、お友達の彼女は他のステージを借りて行う音楽発表会の伴奏者になった仲である。何度も学校の休み時間に一緒にピアノ練習する機会があり、徐々に親しくなったらしい。
しかし聞くと幼稚園でも同級生の時があって、それまでもお互いに知らない相手ではなかった。
その子はピアノの上手な優等生で人気者とのこと。
実際に会うとまさにそういう子で、受け答えもハキハキしてしっかりしている。
お互いにピアノを弾いて、お菓子やジュースでお喋りをそこそこ(ぎこちなく)愉しみ、ゲームをひっそりやって、次女も加わりわたしの勧めで迷惑な振りも見せず律義に花の写生もして、最後は書庫で暗い空間にランタンを灯し次女お得意の怖い話をフ~ンといって聞いて帰って行った(お疲れ様。
次女開催の女子会の際は、わたしは部屋に籠り、絶対に部屋には来ないように次女に伝えて一切関知しない。
それでも騒ぎは響き渡り、階段をドカドカ上り下りする様子も手に取るように分かる。おまけに開けないようにと言われた部屋ほど気になるようで(それは人情である)、そおっとふたりの子の目がドアの隙間から覗いていたりする。
こちらと目が合うと「ぴ~っ」(キャーではない)と声をあげてまたドカドカ下りて行ったりする。
まあ、こちらとしてはモノを壊さぬ範囲でやってくれたらよいという構えである。
しかし今回の長女の会?は、余りに無音でわたしも心配になり、ついつい下に様子を確認しに行ってしまう。、
静かにハーブティを入れているところだ。それはよいが茶道ではない。ちょっとは、お喋りなどしながらでもよかろうに。
わたしの方からピアノのことやら何やら幾つか質問などして、入っていったついでに、自分で食べようと確保していたお菓子やジュースなどを幾つか提供する。
そしてまた部屋に戻るが、まだ下がお通夜のように無音なのだ。
また気になり、今度は絵は好きかどうか確認し、長女の絵を冊子や本に印刷されたのを見せたり、ついでにわたしの教科書の絵や社会教育課からの依頼で描いた絵を画集で見せたりすると興味は結構もったようなので、帰り際に絵をひとつ描いてみることにした。
来ていきなり絵では絵画教室のお試しみたいで趣旨が違うため、まずはピアノを弾き合うことを勧めた。
やはり彼女はキータッチがしっかりしていて、音が確実でリズムもブレない。
(うちの娘は、ペダルに少し酔っている)。
それでふたりは気持ちもほぐれたか、ボソボソ会話らしきものもあったが、、、すぐに途切れる。
ゲームはどう?と(ホントは任せればよいのだがお節介に)聞くと、かなり好きそうな返事が返ったので、「ゼルダ伝説」を勧める。
長女もそれで背を押されたようでニコニコしながらふたりでゲームを始めた。
するとゲームの気配を察して次女が何処からともなく普通に入って来るのだ。
いつもなら自分が主体になって騒ぎながらやる次女だが、今回は静かにふたりがやるのを眺めている。
とても静かな淡々とした新鮮なゲームの光景があった。
(最近の子はゲームは手馴れている)。
暫く自室に戻り片付け事をしているが、次女もいるのにやけに静かで気になり、また声をかけにゆく。
随分介入してくる保護者だなとは思われたはず(爆。
今度はアイスクリームを差し出し、そろそろ絵でも描くか聞いてみる。
ちょっとめんどくさそうな感じも受けたが、シュタイナー・シューレで使う蜂蜜で練ったクレヨンを渡すと彼女は描く気が盛り上がったみたいで、次女を交え黄色い菊二鉢をモチーフに描いてみることにした。
長女と次女は種類の違うパステルを使う。日頃勿体ないので使わせなかった画材を今日は奮発した。
その分(かどうかはともかく)活気が出て、ようやく適度に騒がしくもなってきた(主に次女のお喋りだが)。
正直、三者三様の個性の光る、思いのほか面白い絵が出来た。
お友達の彼女は、少し硬くまだ来たばかりのお家で本領発揮まではいかないだろうが、終盤なかなか思い切った表現にトライしてきて、描き進めると面白いことになる期待値が高まった。
うちのふたりはいつもの作風だが、持ち味がスムーズに出ており独自の世界が芽生えてきている。
やはり描けば描いただけのことはある。描かせるべきだ。
そしてそろそろ帰る時間30分前のところで、次女主催の怖い話コーナーとなる。
最近物置状態と化している手狭な書庫で、暗いままでランタンと「野田屋電気」で購入したランプも灯して行われたようだ。
わたしは、そこからはもう部屋に戻って自分の仕事を進めていた。
携帯で呼ばれた家の方が迎えに来て「また遊ぼうね」と言って彼女は帰ったという。
後で、怖い話はどうだったと長女に聞くと、お友達は「ふ~ん」と聞いていたそうだ。
とてもよくわかる、その突き放したような反応。充分光景が目に浮かぶ。
大概話している本人だけ凄いノリノリなのだ(笑。
次に遊びに来てくれた時に、長女は「美女と野獣」を弾いて聴かせる約束をしていた。
かなり前の、ピアノ教室のステージ発表演目である。もうすっかり忘れて弾けない状態のようだ。
ちなみに、お友達はヤマハ音楽教室で、うちはカワイ音楽教室である。
(実はわたしもカワイ音楽教室でフルートを習っていた。もう10年以上吹いていないし、触ってさえもいないが)。
わたしもまた何かやりたくなった。
彼女らも創造意欲が増したみたいだ。
次女はその後、パソコンで自分の作った怖い話を書き込んでいた。
友達関係がその方向で活きれば申し分ない。