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ベティ・ブルー

Betty Blue001

37°2 le matin  ・  Betty Blue
1986年
フランス

ジャン=ジャック・ベネックス監督
フィリップ・ジャン脚本・原作
ガブリエル・ヤレド音楽


ベアトリス・ダル、、、ベティ
ジャン=ユーグ・アングラード、、、ゾルグ
ジェラール・ダルモン、、、エディ
コンスエロ・デ・ハヴィランド、、、リサ


白い猫が殊の外、凛として美しい。
わたしもこのような白猫と住んでいたので、とても懐かしい。
賢い猫だった。
この猫はベティの生まれ変わりと見ても良い。
猫とはそうしたものだ。

「37度2分・朝」
3時間の尺も長くは感じなかった。

ディーバ」の方が好きだが、この映画の質感も心地よい。

愛し合う男女の噺だ。
それ以外に謂い様がない。
相手に深くのめり込み激しく揺れ動く。
ユーモアも随所にちりばめられた大変ドラマチックな恋愛映画と謂える。
映像も美しく音楽もよくマッチしていた。

珍しい程の純度の高い相思相愛なのだろうが、、、
他者としての精神的距離をもっての愛情とは言い難い。
そして、ふたりともタガが端から外れている。
基本女の方は素直で邪心はないとは言え激情型で衝動的。男は受容的で献身的ではあるが規範意識に縛られない。
ふたりは一緒にいられることをもっとも大事にしている。
それは正しい。

しかし、一見、彼の膨大な原稿を徹夜で読み込み、それを何日もかけてタイプライターで清書し直し出版社に送り付ける行為が健気で微笑ましい内助の功みたいに思えても少し度が過ぎる。
女は自分の過剰な幻想を彼に投影し、現実の反応に憤りを爆発させる。
妊娠にしても陽性反応が出なかったという事だけで、酷く絶望し奇行に走り出す。
物に当たり、人を傷つけ、精神を崩壊させ取り返しのつかない自傷行為にまで及ぶ。
男にしても、彼女を喜ばせるためなら、女装も強盗も躊躇なくやってしまう。
このふたり距離感と時間感覚が異常である。短絡的で性急というレベルも超えている。
若いと謂うより、自立していないのか。
共依存の関係が強すぎるのだ。

Betty Blue002

また、とても奇妙に感じたのが、男が明らかに犯罪(法に触れる)行為に走った時に、必ず彼に同情~共感する人間が現れ、その行為自体を半ば正当化しうやむやにしてしまうところだ。
しかしそれは男にとってラッキーというより、後でツケを払うことにならないか。
少なくともずっとそれで乗り切ってしまうのだから、後が怖い。

ふたりが特にこれといった問題もなくピアノ店をやっていくことは不可能であろう。
ふたりで離れてピアノを弾き合っているシーンなどとても素敵で、ハーモニーも取り敢えず成立していたが、それも一時である。
そう、瞬間においては極めて高純度な愛の昇まりを魅せるのだが、またその経験がある為、離れられないのだろうが、たちまち女の破滅的衝動がやって来て男が狼狽え女を自分に引き戻す(正気に戻す)為に手段を選ばない行動をとる。
お互いに自立した関係で深く愛し合うのとは異質のものである。
愛されるためには、何でもしてしまおうとする。
その目的は自分の思い込んだ幻想に過ぎないのであるが。
作家として成功させ世間に認めさせたい、ふたりの子供を産みたい、彼女の為なら何でもしたい。
この願い自体は何ら突飛なものではない、もっともな願いであるが、それを叶える過程が極めて性急で破滅的で無軌道な形をとるのだ。
じっと現実に堪えて相手の気持ちをしっかり汲みつつ互いに努力を重ね実現させる、ことが本来の在り様であろう。
(ただし、それでは「激しくも悲しい愛のドラマ」にはならないか)。

女のその都度の爆発と精神の変調の増大、それをただ包み込み誤魔化す形で対応し続ける男のスタンス。
依存度~距離のなさ、が悲劇を呼ぶ。
これが行くところまで行ってしまった。
最期は、「カッコウの巣の上で」を思い起こすものである。

Betty Blue003


このタイミングで、彼女のお陰とも謂える、原稿が本として出版されることが決まる。
本当ならこの知らせに、ふたりで喜び燥いでパーティーをするところであったのだ。
彼は第二作目を白く美しい猫~彼女と共に書き始める。
勿論、彼女の半生を描くものだ。





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COMMENT

No title

気性の激しい思春期(ちょっと越えてたかな?)に
この映画を観た友人から
『花音てベティみたいだよね』
と言われて、うっそーん!と思ったのを思い出しました。
まぁ確かに昔は喜怒哀楽が振り切れた性格だったので
人から見るとあんな感じだったのかしら(^^;)
あのまま成長してベティと同じ運命を保てよ辿らなくて良かったです(>。<)

そうなんですか!

> 『花音てベティみたいだよね』
ホントですか?
意外です。

> まぁ確かに昔は喜怒哀楽が振り切れた性格だったので
怒ると窓からモノをどんどん投げたりして、、、?
家を破壊まではしないとは思いますが。

> 人から見るとあんな感じだったのかしら(^^;)
その時分に今の御主人と結婚されたのですか?
なかなかファンキーな生活を想いうかべます。
でもお料理はその頃から凝りまくっていたのでしょうね。
美食家は変わらないものでしょう。

> あのまま成長してベティと同じ運命を保てよ辿らなくて良かったです(>。<)
全くです。
ホントに。

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絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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