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Otto e mezzo
1963年
イタリア・フランス

フェデリコ・フェリーニ監督・脚本

マルチェロ・マストロヤンニ 、、、グイド・アンセルミ
アヌーク・エーメ 、、、ルイーズ・アンセルミ
クラウディア・カルディナーレ 、、、クラウディア
サンドラ・ミーロ 、、、カーラ
バーバラ・スティール 、、、バーバラ


「われわれは窒息させられている
無用な言葉や音や映像に」

全くその通り!

プロジューサー、批評家、記者、女優、愛人、妻、友人、、、の入り乱れる、新作の構想と療養を兼ねてやって来た温泉施設。
唐突に「ヴァルキューレの騎行」である。「地獄の黙示録」か、、、である。
静かに湧き出る鉱水を飲む広場において。
一つの遠近法的空間に収まっているように想えても、こころは多様な世界を同時に生きている。

それにしても凄まじいセリフの量だ。
このなかでコミュニケーションの成り立っていることばはない、というのが凄い、状況だ。
みてみると、別にグイドだけでなく、誰もが孤立しているのが分かる。
そして誰もが語り話し喋ることをやめない。
このセリフの全量がやがて無秩序に行き着く。
いや現実的な会話だけではない。
グイドの回想、妄想、想像、、、も含めた、、、
エントロピー最大。

つまり、フェリーニは沈黙をこのようなやり方で実現した。
「芸術家の名に値する人間なら”沈黙への忠誠を誓え”」

ちょっとタルコフスキーの「サクリファイス」を想わせる。、、、ああ、また見たい。


それにしても白・黒の対比も美しい映画である。
意識の様々な様態の切り替わりも鮮やかで美しい。
われわれの意識も常に幾つもの時間流を行き来するが、哀しいかな映画のように鮮やかで明瞭な過去や未来の画像を見ることは叶わない。これが映画という形式~文法なのだと再認させられる。
ともかく、映画の為の映画なのだ。
アルタードステイツにおいては、こんな風に意識流を明瞭な画像として見れるのかも知れない。
そう、あの白装束で浜辺を歩む人々もトワイライトゾーンの風のそよぎのなかにいた、、、。
他にも両親との関係やカトリックとの確執などを巡る回想にハーレムで鞭を振るう破れかぶれな妄想も美しくも面白い。
しかし一向に仕事は進展しないまま、、、。
何故か枢機卿にまで逢って悩みを相談するが、全く解決しない。


70mまで組み上げたロケット発射台がとりわけ素敵だ。
ここから地球を脱出する人々(と謂っても少数だが)などのことを描くSFらしい。
まあ、グイドの心情そのままの設定なのかも知れない。
もううんざり!というところか。
非常に無駄な大金を使って建てられたというこの塔がとても郷愁を感じさせ美しい。
だが、ここまでセットが進んで来ていても、彼に「本」は出来ていないのだ。
あらすじさえも語れない。

そして最後に、白いドレスのクラウディアに縋って救いを求めるが、それは叶わない。
彼女もまた他の女性と変わらなかった。ここで彼は次作はもう終わったことにする。
しかし彼の取り巻きがすぐさま押し寄せ、新作発表の段取りとなる。
翌日プレス向けの会見の席が発射台の傍に設けられるが、彼は何も語らず逃げてしまう。

彼に対しとても辛口の批評家が語る
「君のしたことは正しい。もうこれ以上、世の混乱を招く必要はない。君の醜い足跡をわざわざ後世に残すことはあるまい。君の過ちの集大成を見て誰が歓ぶ。」
だがそれを静かに聴いていたグイドであるが、急に嬉しくなって力が湧いて来るのだ。
製作中止となって多大な損失を出した後で、突然吹っ切れたのか。
確かにこういう事はあると思う。
(自分にもそれ程の大事ではないが、過去そんなケースがあった気がする)。
、、、塔が取り壊されてゆく。


「混乱したぼくの人生はぼく自身の反映だったんだ。理想とは違うがもう混乱は怖くない。
求めるものはまだ見つからないが、君の目を真直ぐに見てこう言える。
~人生は祭りだ、共に生きよう~」

愛人の件で揉めていた妻とのよりも戻す。

混乱を極めた先に全てを投げ出して、新たに始まって行くというのは、理にかなっているように思う。
それは、これまでにグイドが人生で関わって来た全キャストとの手をとっての踊りに繋がって行く。
ただ唖然とするが凄いブーツストラップである。

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