続・荒野の1ドル銀貨

Il ritorno di Ringo/The Return of Ringo
1965年
イタリア、スペイン
ドゥッチョ・テッサリ監督・脚本
エンニオ・モリコーネ音楽
モンゴメリー・ウッド(ジュリアーノ・ジェンマ) 、、、モンゴメリー・ブラウン(リンゴ)
ジョージ・マーティン 、、、パコ・フエンテス (メキシコの悪党)
ロレッラ・デ・ルーカ 、、、ハリー・ブラウン(妻)
アントニオ・カザス 、、、保安官
フェルナンド・サンチョ 、、、エステバン・フエンテス (メキシコの悪党)
マヌエル・ムニス 、、、花屋
リンゴは故郷へと帰ってきたって、、、昨日の「荒野の1ドル銀貨」とは何にも関係ないではないか!
紛らわしい、と謂うより出鱈目な邦題付けるな!
1ドル銀貨など何処にも出て来ない。
噺は全く別物。
ジュリアーノ・ジェンマが出てくれば、どれも続編にする気か?
この節操のなさには、ホント呆れる。
街には干し草がずっと舞っている(マカロニのロケ地はスペインが多いという)。
この雰囲気は不穏な感じがする。
髭面のジェンマがメキシコ人に成り済ましポンチョを着て歩く姿は、その街の風に合ってた。
時折、神経症的に顔面を引きつらせ、ハードボイルド感も匂わせる?
彼は南北戦争で活躍した、北軍大尉のモンゴメリー・ブラウンであるが、戻った故郷ではすでに戦死者とされており、彼の留守中、砂金に目を付けたメキシコ人フエンテス兄弟に街は乗っ取られてしまっていた。
おまけに彼の美しい妻ハリーはパコの愛人に収まっている始末。
このままには、しておけない。だがたった独りではどうにもできない、、、

という設定で、妻と街を奪還すべくモンゴメリー・ブラウンが奮闘をするという噺である。
彼は周りが敵ばかりの環境で不用意な動きや不注意が目に付く。
何かに気を取られると夢中になって周囲が見えなくなるタイプなのか。
だがそれでは戦争には向かない気がする。
どうにも甘く優しい雰囲気の人である。
自分の家で想い出の品に現を抜かしている内に泥棒にされ、利き腕をナイフで刺されるところは、こちらも痛い!
(行動を見てると結構、痛い人にも思える)。
エステバンの愛人で占い師の美女に何度も誘われるが、全く動かない、その点での隙は全く無い。
中盤から髭を剃り、青い北軍の制服を着て出てきてしまうと、品行方正なガンマンにしか見えなくなる。
あまり、西部劇に対抗して出て来たマカロニウエスタンのアウトローでニヒルなガンマンという感じからは遠く、独自路線のマカロニスタイルを作っているのか、、、。

だが、拳銃の腕は凄いのだ。
利き腕は潰されてしまっているが、逆の腕で百発百中の早撃ちである。
恐らくそれまでにも二丁拳銃などで、両腕で撃って来たのではないか、と想像できる。
フエンテス兄弟の沢山の手下を次々と撃ち殺してゆく。
(おっつけ刃で、この実践は無理であろう)。
ダイナマイトを鉢植えに仕込むが、それがまともに利用されたのはほぼ一回で、もう少し有効に使えば良いのに、とは思われた。
街の男たちを奮い立たせての最後の決戦に、ダイナマイト以外で、どういう作戦を立てたのかと思ったが、これと言って目立ったものが見られなかった、、、。ただ百姓一揆みたいに街の男が正面から攻めてマシンガンの餌食になっていたが。
相手もマシンガンの威力は凄そうであったが、それを封じれば何とかなりそうに思えるものであった。
何故かインディアンも来ていてリンゴたちに加勢していた。彼は薬草を無料でリンゴの為に提供してくれた人であったが、どういう絡みか?
占いの女がリンゴ~花屋を裏切り、折角捕らえたエステバンを牢屋から脱獄させ、立ち直って勇敢に悪に立ち向かおうとしていた保安官が彼に撃たれてしまう。
保安官の死体を見て皆が愕然としているところで「わたしのせいなの」と女が言うと、何とこともあろうにリンゴは笑顔で「誰にも間違いはある」と明るく言い放ちその場を後にする。これは単なる間違いではないことは歴然としている。
ここに来て、このマカロニガンマンは、ソフトイメージだが、かなり特異な感性~感覚の持ち主であることが分かる。

占い女はいつも、にやっと笑みを浮かべ、ここでも余裕綽々にサッサと馬に乗って何処かに去って行く。
ミステリアスな美女という設定なのだろうが、妙な美女にしか見えない。
ヒロイン(奥さん)も際立って綺麗な人ではあったが、固くて平板な印象である。
結局、所々間延びしながら、テンポも然程よくなく、何とか相手をやっつけるが、、、
必要以上に手古摺ってダラダラ乱闘を引き延ばしたり、闘いの最中に娘とかなりの時間をゆったりと過ごしていたり、、、
何か緊張感が続かない演出~本なのだ。このジェンマの表情にも起因している。ソフトなスマイルとは、ちょっと違うものだ。
結局、奥さんと幼い娘との幸せを取り戻したという光景でしめる。
全般に人物描写が大雑把で、闘いの流れも今ひとつしっくりこないし高揚もない。
感情移入など無理である。別に必要ないが。

今日のマカロニは、面白いというところまでは、いかない作品であった。
もうこのジャンルは、いいかな、、、。
飽きて来た。