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獄門島

gokumon001.jpg

1977年

市川崑 監督・脚本
横溝正史 原作

石坂浩二 、、、金田一耕助
司葉子 、、、勝野
大原麗子 、、、早苗
佐分利信 、、、了然和尚
草笛光子 、、、お小夜(三姉妹の母、鬼頭与三松の妾)
東野英治郎 、、、鬼頭嘉右衛門(本鬼頭家先代)
浅野ゆう子 、、、鬼頭月代(三姉妹)
中村七枝子 、、、鬼頭雪枝(三姉妹)
一ノ瀬康子 、、、鬼頭花子(三姉妹)
加藤武 、、、等々力警部
大滝秀治 、、、、鬼頭儀兵衛
上條恒彦 、、、清水巡査
松村達雄 、、、漢方医幸庵
稲葉義男 、、、荒木村長
辻萬長 、、、阪東刑事
小林昭二 、、、竹蔵(鬼頭家の使用人)
ピーター 、、、鵜飼章三(分鬼頭巴に囲われている)
太地喜和子 、、、分鬼頭巴(儀兵衛の後妻)
大滝秀治 、、、分鬼頭儀兵衛
三木のり平 、、、床屋の清十郎
坂口良子 、、、お七(清十郎の娘)
内藤武敏 、、、鬼頭与三松(本鬼頭家先代の息子、発狂し座敷牢にいる)
武田洋和 、、、鬼頭千万太(与三松の息子、帰還中に病死)

これまでに市川崑監督のものは、「犬神家の一族」と「悪魔の手毬唄」と「野火」を観たが、これも大分以前に見ていたことに気付いた。(今日BSに入って来たのでチェックがてらそのままズルズルと観てしまった)。
3姉妹が出てきたところで思い出した。
それぞれかなりの死にっぷりである。いや殺されぷりである。特に雪枝は死んでいるにも拘らず鐘に挟まれ首まで宙に飛ぶ。その後の木々や海の波の騒めき、、、ここが特異な場所~共同体であることを思い知らせるものだ。

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これなら覚えていておかしくない。
趣向を凝らしている。
俳句に合わせてそれぞれ殺害するという様式美に拘ったものだ。
何と謂うかムラという異様な呪縛装置の理屈では説明できないおどろおどろしい悲劇を描いたものか、、、?

獄門島の網元である鬼頭家の跡取りの千万太が死んだ(戦争で戦死した)場合、分家の一に継がせるために、本家の三姉妹を殺せと当主の鬼頭嘉右衛門が死の間際に和尚と村長と医者に頼んだという。
理由は他所から流れて来て息子をたぶらかした女が生んだ3姉妹に本家を継がせてはならぬ、ということらしい。
如何にも「ムラ」~呪縛の構造である。よそ者を排除する、家系を何より重視するのは分かるが、余りに極端ではないか。

ならば、その三姉妹には継がせぬと遺言でも残して死ねばよいではないか。
とても大きな権力を持った男のようだし、実際その男の言ったことが実行に移されているのである
従う方も呆れた腑抜けだが、それだけのカリスマ性があるなら、跡継ぎは誰と指定するだけで事足りる。
遺言が無く、殺人を頼まれていたにせよ、後から何とでもなろう。
実際、三人とも家を継ぐ適正を持った人ではない(頼んだ時点では三姉妹の資質まで分からないにしても)。
わざわざ、俳句に見立てて殺すという厄介で手の込んだ仕事をわざわざする必要があるのか、、、。
お前はギャングか?和尚じゃないのか?イタリアマフィアならやるだろうが。
前提からして理解に苦しむ。

ともかく、何にしてもどうでもよい他人の都合でいちいち殺されていてはたまらない(爆。
運命に翻弄された悲劇の人たちとして和尚や勝野たちをドラマチックに描いているが、一番の被害者は三人姉妹に他ならない。
扱いからして可哀そうでならない。
この噺では彼女らはただの厄介者みたいだ。
鵜飼章三を三姉妹の誰かと結婚させ家を乗っ取ろうとする分鬼頭巴の策略などもあったが、いずれにせよ駒でありモノに過ぎない。
早苗が金田一に外の世界に連れ出して、というのも分かる(わたしが一番共感したところだ)。

何より異様なのは、人を殺しておいて被害者ぶって自らの運命?を嘆いている和尚である。
彼は約束を守る律義な人扱いなのだ。やはり村人全員が狂っている(等々力警部の言う通り)。
不遇の人生を歩み和尚に助けられた勝野も自分たちの身を憐れみ、殺した娘たちなど何とも思っていない。
このムラ(鬼頭嘉右衛門)の呪縛に苦しんだ悲劇の主人公みたいに和尚と一緒に海に投身自殺する(心中か)。
単なる身勝手な殺人犯ペア以外の何ものでもないのだが、、、。

それからこういう映画に必ずつきものの出生の秘密のドロドロ感。
外から流れ着いて下働きをして過ごして来た勝野が早苗の実の母であった。
しかも、嘉右衛門との間の子であったことは早苗にとり名状し難い複雑な嫌悪感を抱かせるものであろう。
系図のドロドロ感とオドロオドロしい殺人、暗い風景に芝居小屋、鐘と特異な地形、、、効果音、、、獄門島イメージは充分であった。

金田一耕助が仕事を終え船で島を離れるときに、早苗が高みから鐘を突く姿でエンディング。
終わってみるとなかなか良い映画だった気がする。
キャストが魅せていたせいだ(大変な豪華キャストに違いない)。

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大原麗子は、今の大味な女優にはない、とても瑞々しく、繊細でしっとりした演技の出来る人だと思う。
司葉子も勿論そうだ。彼女らを見るともう、、、学芸会映画は観れない、、、。

役者は皆よかったが、加藤武のワンパタン演技が決まっていた。
うん。よし。分かった(手をパン!)。
それを見る石坂浩二の困惑の表情(笑。
三木のり平の床屋そっちのけで俳句ばかりやっている味のあるおやじさんも際立つ存在である。
小林昭二は仮面ライダーのおやっさんであるが、ここでも良い仕事をしていた。

特筆したいのはピーターである。
こういう呪詛された規範のムラのなかにいる特異な他者とも謂える微妙な存在を見事に演じていた。
ナヨっとした色白の中性的な女たらしの男がこのようなムラで居場所~バランスを保持している面白さである。


佐分利信はやはり小津映画で原節子と出ている方が良い。
そっちの人だと思う(笑。



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