レッド・スパロー

Red Sparrow
2018年
アメリカ
フランシス・ローレンス監督
ジャスティン・ヘイス脚本
ジェニファー・ローレンス、、、ドミニカ・エゴロワ
ジョエル・エドガートン、、、ネイト・ナッシュ
マティアス・スーナールツ、、、ワーニャ・エゴロフ(ドミニカの叔父、ロシア情報庁の幹部)
シャーロット・ランプリング、、、監督官
メアリー=ルイーズ・パーカー、、、ステファニー・ブーシェ上院議員
ジェレミー・アイアンズ、、、コルチノイ将軍
キーラン・ハインズ、、、ザハロフ
ジョエリー・リチャードソン、、、ニーナ・エゴロワ(ドミニカの母)
今日は映画ソフトを選ぶ余裕がなく、たまたま手元にあったもので、、、。
ドミニカ・エゴロワというロシアの女スパイがどういう野望を持ちどう出るのかを最後までひたすら追うという映画であった。
ボリショイのプリマバレリーナの道を怪我で絶たれてスパイ(スパロー)養成所に選択の余地なく叔父によって入れられるが、ドミニカはそこで頭角を表す。
「人間の欲求はパズルのようなもの」。
「相手の欠けたピースになれば、容易く操れる」。
所謂、詐欺の手管だ。
病気の母や自宅の確保の件もあり、スパイとなって国家に尽くせば全て面倒見るといった強引な展開から始まるもの。
それでロシアスパイとしてアメリカCIAのモグラを探る任務を与えられるが、どうやら彼女はそれを素直に実行する気はないように窺えるのだ。その不安定感と全体的に暗い場面ばかりの重苦しさが軸となる。素直に叔父の命に従いロシアの為に働くというより、何かロシア~アメリカ間での板挟み状態で動いているように見える。彼女の考えや内面はこちらも超越的に窺う視座は持たない。だが実際そんな感じなのだ。
双方を欺いているようにしか見えない場面があり、それが酷い拷問にかけられたうえで相手を信じ込ませるみたいな痛い手が披露される。何でそこまで、、、素人には受け入れ難い。半ば趣味の内なのかも知れぬが(人によっては)。
スパイの残虐な拷問がともかくきつかったが、その他は特にこれと言ってなく、『アトミック・ブロンド』のようなアクションによる娯楽性などはなかった。ハニートラップなどのお色気実践と呼べるようなところも特になく、かと言って綿密な頭脳戦というのでもない。ミスタービーンみたいなコミカル展開など微塵も入る余地なく、、、ドミニカが何を狙ってどちらに付くのか彼女の真意を見届けようという見方に引きずり込まれる。敢えて謂えば心理戦か、、、。
かなり重苦しく痛い展開の中で、、、。
どちらにどう転ぶのか分かりにくい流れの中で、彼女の決して誰にも屈しない姿勢は貫かれていたことは確かだ。
基本的に自分を支配し利用しようとするものが許せない。プライドは絶対に捨てない。そんな人だ。
だがスパイとは国家権力によいように利用される捨て駒のような存在である。
確固たる自分を持った人がスパイにならざる負えなくなったとき、どう動くかという物語ともとれる。
男目線(男性中心主義)を徹底的に退けていることも顕著。
この映画、フェミニスト受けもよさそうな気がする。
結局、プーチンそっくりの叔父への復讐になって祖国に戻って来て英雄となる、、、。
何ともよくあれで生きて帰れたものだと思うが、ヒロインが死ぬタイプの映画ではない。
だが、相当な傷は負っているはず。
スパイになんてなるものじゃないな~とつくづく思う映画か?
(そもそも、なりたい職業に入ってくる職業か?)
しかし職業としてのスパイとも謂える映画であった。

だがジェニファー・ローレンス、バレリーナもちょっと無理があったぞ。
『ブラックスワン』のナタリー・ポートマンはまさにピッタリのはまり役であったが、ジェニファーは少々重くはないか?
あんなむっちむちでは早晩足腰をやられると思う。
この映画では仕組まれて脚を折られたのであるが。
それにしてもその復讐が情け容赦なく凄まじかった(まだ養成所に入る前の一般人である)。
やはり叔父の言う通り、その資質スパイには向いているのだろう。
またこの映画の売りは、プーチンそっくりのワーニャ氏(ドミニカの叔父)であるか。
叔父でありながらドミニカをスパロー(ハニートラップ)養成所に入れてしまうのである。
その冷酷非道さも含めかなりイメージ的にも迫っていた。
何とも言えないが、ジェニファー・ローレンスの映画で面白いという印象をもったものがあまりない。
この映画では極めてファッショナブルに決めているうえにヌードにもなっているが、シチュエーション的にささくれ立っており絵として和めるものではない。
(ジェニファーのものは、まだ観ていないコメディ映画もあるし、、、)。
「世界にひとつのプレイブック」は近いうちに観たいものだ。

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