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シェイプ・オブ・ウォーター

The Shape of Water001

The Shape of Water
2018年
アメリカ

ギレルモ・デル・トロ監督・脚本・原案・製作
アレクサンドル・デスプラ音楽
ダン・ローストセン撮影

サリー・ホーキンス 、、、イライザ(掃除婦、口が利けない)
マイケル・シャノン 、、、ストリックランド(エリート軍人)
リチャード・ジェンキンス 、、、ジャイルズ(孤独な絵描き、イライザの理解者)
ダグ・ジョーンズ 、、、不思議な生きもの
マイケル・スタールバーグ 、、、ホフステトラー博士(生物学者、ソ連スパイ)
オクタヴィア・スペンサー 、、、ゼルダ(掃除婦、イライザの親友)
デヴィッド・ヒューレット 、、、フレミング(研究所上司)
ニック・サーシー 、、、ホイト元帥(ストリックランドの上司)


「パンズ・ラビリンス」の系譜であるファンタジー映画と謂えよう。
この監督のファンタジーは過酷な現実社会の影に息づく暗黒ファンタジーである。
スプラッシュ」のような能天気なファンタジーとは違う暗い闇と血生臭い湿り気がある。(わたしはスプラッシュも好きな映画である)。

舞台は米ソ冷戦時代のアメリカ政府の極秘研究所である。
ちょっと魅惑的な地下研究所という雰囲気で、わたしもこんなところなら行ってみたい気がする。
何故か基本的にどこも緑(ピーコックブルー)に染まっている。
そして対比的に禍々しい赤に染まる場面が何度か現れる。
そこには、幼い頃首を絞められことばを喋れない孤児として育ったイライザと黒人のゼルダが清掃の仕事に携わっていた。
The Shape of Water003

或る時清掃の合間に、イライザはアマゾンの奥地で原住民に神と崇められていた生き物に遭遇する。
彼は猛獣のような扱いで捕らえられていた(かなり手荒な虐待を受けている様子が窺えた)。
見た目は半魚人で知性が感じられ(ことばや音楽に独自の反応を示す)コミュニケーションの可能性が窺える。
なかでも瞼のリアルな動きにはビックリさせられた。
水槽のガラス越しに手を合わせて相手を確認するふたり、、、。
双方の孤独が一瞬のうちに引き寄せたか、お互いに惹かれ合うようになってゆく。
声の無い者と物として扱われる生き物との恋が生まれる。
究極的な恋愛物語となろうか。
どうやら彼はゆで卵が好物のようであった。

The Shape of Water005

マジョリティの代表みたいな家庭生活を営むストリックランドがホイト元帥の命に従い、不思議な生きものの生体解剖を断行することとなる(彼は研究所の基調を成す緑を嫌うが、触手の向いたキャデラックが緑ではなく「ティール」であることに安堵して購入する)。
彼にとってはその生き物は、単に軍事的な意味を持つ物に過ぎない。

しかしその生き物を担当するホフステトラー博士は、生き物の魅力に気づき、生きた彼を研究したい熱意を持つ。
当然、死体の解剖に反対する。
生体の観察と解剖学的な機能分析は相容れない。特に対象が知性~創造性を持ち得る場合。
彼はストリックランドからも当局からも睨まれ板挟みとなる。
だがすでにその生き物に恋するイライザに彼も協力し研究所からそれを逃がすことに成功する。
生き物はイライザの家の浴槽に一時退避することとなる。

こうしてその生き物と彼を守ろうとする声のないイライザ、ゲイの画家ジャイルズ、高度な生命体としての接触を望むホフステトラー博士、イライザの親友の黒人ゼルダたちに、その生き物を敵国に渡すまいとする(渡る前に殺害しようとする)ソ連・米国の権力の牙が迫って来る。特に立ちはだかるのはサディスティックなストリックランドのタフな上昇主義者振りである。
その生き物はそれぞれの政府にとって、宇宙に飛ばすことに利用価値が見込まれているようであった。
(主に宇宙線の関係からであろう)。

イライザたちの住居の階下が映画館なのだ。
猫を喰って脱走した半魚人が突っ立ってそこで銀幕を一心に見ていた。
意外と早く見つかるものだ。
動く抽象的な画像が鑑賞できるのだ。概念的思考に達していると思われる。
(思わず猫を喰ってしまった後の反省を見ても)。

The Shape of Water006

不思議な生き物の造形は素晴らしい。
隙がない。特に顔が見事。
アマゾンで捕まった生物とのこと。
タンパク質はともかく、塩分をあんなに与えてよかったか?
アマゾンは淡水ではないのか?

脇を固めるキャストもいう事なしであるが、ストリックランド役のマイケル・シャノンの怪演はなかなかの印象を残した。
後味もよくないくらい(笑。
思いの外、暴力や性描写があり、全体として生々しい生態を感じた。

The Shape of Water002
The Shape of Water004


結局、これに尽きる御話であった。
”Unable to perceive the shape of you, I find you all around me. Your presence fills my eyes with your love. It humbles my heart, for you are everywhere.”
一回死んだので水中で蘇生できたのだろうか?彼の力で。
何れにせよ、もう向こう側の噺である。
青い靄のような深い水の中にふたりは消えてゆくのだ。
素敵なエンディングであった。


デル・トロ監督作品では「パシフィックリム」、「パンズ・ラビリンス」の次によい。



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