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Song for Marion001

Song for Marion
2012年
イギリス

ポール・アンドリュー・ウィリアムズ監督・脚本

テレンス・スタンプ、、、 アーサー(72歳の男)
ヴァネッサ・レッドグレーヴ、、、 マリオン(アーサーの妻)
ジェマ・アータートン、、、 エリザベス(音楽教師、老人合唱団顧問)
クリストファー・エクルストン、、、、 ジェームズ(アーサーの息子)


72歳からでも、愛する伴侶を亡くしてからでも、人生はやり直せる。
愉しい生を求め前を向き、生きることが出来る。
何一つ遅すぎることなどない。
何事にも臆せず真摯に向かい合えさえすれば、新たな生はやってくる。
とても本質的でシリアスな内容をベタに表現するコメディであった。

一組の老夫婦と若い音楽教師の絆を中心にして夫婦愛と親子愛と友愛を描く。
個性的で愉快な合唱団などというコミュニティとの関わりは、わたしも苦手な感じがするが、偏屈な頑固者であるアーサーにとってはもっと億劫で鬱陶しいものであろう。
彼は妻にだけはこころを開き大切に慈しむが、他の人間に対してはとても気難しく融通も利かない。
実の息子とも常にすれ違い、意図的に遠ざけている有様だ。
社交的で明るい妻は、合唱団で歌う事を何よりの愉しみとしていた。
マリオンの送り迎えはアーサーにとって大切なルーチンでもあった。
性格はまるで違うのに本当に仲の良い夫婦なのだ。
しかしその妻は、癌の末期に来ていた。
マリオンは最期までアーサーに送り迎えを頼み、合唱を友人たちと思う存分愉しんで逝った。

時と共に彼は彼女がそこでどのように感じていたのか知りたくなってくる。
彼女の生がどのようなものであったのか、身をもって知りたいと思うのだ。
彼女の生の実質をその片鱗であろうと縋る様に受け止めたい。きっとそんな気持であっただろう。
毛嫌いしていた合唱団にマリオンの代わりに入り、共に歌を歌い始める。
予想以上の個性派揃いであったが、彼は次第にエリザベスとの固い信頼関係を築き、仲間との距離を詰めてゆく。

妻が存命中に合唱団で最後にソロで歌った曲はCyndi Lauper の”True Colors”でありアーサーに向けて歌ったものだ。
(シンディ・ローパー懐かしい。わたしもよく聴いていた)。

 わたしはあなたの本当の色を見ている。
 だからこそ、あなたを愛しているの。
 それを見せることを
 恐れないで
 あなたの本当の色を
 本当の色は美しいわ
 まるで虹のよう

彼はその気持ちを察しながらも、率直に受け止めきれず戸惑っていた。
しかし今は違う。
その返歌としてアーサーはBilly Joelの”Lullabye (Goodnight, My Angel)”を妻が愛した合唱団の全国大会の舞台で歌う。
大変な決意とともに。まさに”Song for Marion”なのだ。
素敵である。
会場の暗闇から孫娘が「がんばれ、おじいちゃん!」と声をかける。その隣には長年上手くいっていない息子が真剣に見つめていた。
アーサーがやっと歌い出すと、嘲笑を漏らしていた会場の空気が一変する。

 お休み 僕のエンジェル もう眠る時間だよ
 でもまだとても多くの事を僕は言いたい
 思い出して 君が僕のために歌った歌をみんな
 あの時僕らは船に乗りに行った エメラルド・ベイに

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 いつの日か 僕らはみんないなくなるだろう
 でも子守唄は続く
 それは決して絶えない そんな風に君と僕も...


その声はとても優しく綺麗であった。
ずっと秘められていた優しさが解き放たれたかのよう。
優しさは時に過激な力を持つ。
人を深く動かす。
皆が自然に立ち上がって「アンコール」を求めていた。
それだけの歌であった。
(わたしも何度も聴きたくなる歌であった。ルー・リードを聴いたときの感覚に近い)。


この映画は昨日の映画と異なり、音楽そのものの凄さとそれを生むための苦悩など「音楽」で魅せるものではなく、音楽を拠り所にしてひととの繋がりを暖かく描こうとしている。
これも見事に成功している。
自然に胸に熱いものの込み上げてくる映画であった。


Song for Marion002






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