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エゴン・シーレ 死と乙女

EGON SCHIELE002

EGON SCHIELE: TOD UND MaDCHEN/EGON SCHIELE
2016年
オーストリア、ルクセンブルク

ディーター・ベルナー監督・脚本
ヒルデ・ベルガー脚本
アンドレ・ジェジュク音楽


ノア・サーベトラ、、、エゴン・シーレ
マレシ・リーグナー、、、ゲルティ・シーレ(妹、モデル)
ファレリエ・ペヒナー、、、、ヴァリ・ノイツェル(愛人、モデル)
ラリッサ・アイミー・ブレイドバッハ、、、モア・マンドゥ(愛人、ダンサー、モデル)
マリー・ユンク、、、エディット・ハルムス(妻、モデル)

人物画~ヌードを主に描く画家であることから、モデルは肝心である。
この映画を観たところ、彼にとっては気に入った女性は、気に入ったモデルでありミューズのようだ。
しかし恋愛の対象ではない。
妹もそのなかの1人でもあったわけだし。
どうやら余り人間的な関係に興味はないようで、基本的に淡白である。
だから、一人に固執しない。
何人いても良い。皆ヌードモデルとなりそこから傑作が生まれている。
この辺は兄貴分のクリムトにも似ている。
だが、一番のお気に入りがクリムトから紹介された、ヴァリであったようだ。
ヴァリも彼を大変深く愛していたことが分かるが、その為に離れ離れとなり悲惨な結末を迎えることにもなる。

EGON SCHIELE004


エゴン・シーレはわたしの周りでは好きな人が多く、絵を観る機会もあった方だが、居間に飾るタイプの絵ではないところでも評判が良かったような気がする。
だが、わたしにはエロティシズムにおける死の比重が大き過ぎて、痛々しくも陰惨なひりつきばかりが感じられた。
クリムトのエロティシズムには隣に死神が控えていても、芳醇な官能と喜びもあり、居間に飾っても抵抗などない。
退廃的な文学性はあっても装飾的で見栄えも良いので、派手好きなお客にも喜ばれる(笑。
「死」を色濃く纏うものは、余り居間、というより普通の部屋に飾る気は起らないものだ。
しかし画集などで書棚から取り出し、そっと観るその時間性を愉しむ絵であると想える。
だが、わたしにはエロスというよりタナトスの特異な美を享受する面が大きい。

EGON SCHIELE003

たまたま描いた娘が歳が若すぎて警察に拘置されたりするが、彼は若い娘に特に惹かれるものがあった。
(クリムトは老若男女何でもござれであったが)。
純粋で無垢な生命力の湛える美(余計に死は際立つ)を描きたかったのだろうか。
だが、それはクリムトも警告していたように芸術家としての立場を危険に晒すことでもあった。
若さとは無軌道であり、無分別でもあり、無思慮で思い込みも激しいものだ。
結局、弁護士に助けられ無罪とはなるが、道徳的な罪を問われる。
ここでは裁判官の馬鹿ぶりが露呈するが、もとより芸術論で立ち向かえる場ではない。
不毛である。

女性との問題も皆、規範との闘いとなってしまう。
(法ではなく規範である。いや法的にもほぼ重婚ではないかと思われる提案をヴァリとエディットにした為、それを最後にヴァリは彼のもとを去る)。
これはいくら対幻想と言ってもキツイ。
彼らの家を通りすがりに怪訝な顔つきで覗いて行く人々(子供たち)の描写も印象的だ。
彼自身が自分の芸術表現に確信を持っている分、隠し立てしないお陰で共同体との軋轢は強まるばかり。

EGON SCHIELE001

そこで止まって、と言ってすぐにスケッチ~ドローイングに入る。
ちょっと微妙に捻じれ曲がったポーズと彼ならではの強烈な個性としか言えない描線。
さらに表現主義的な彩色。
その全体を観ると、やはりフォルムのささくれたような美しさにとても痛みを覚える。

他の画家で謂えばクリムトより、ベルナール・ビュッフェに近いものを感じてしまう。
詩人ではトラークルを連想する部分もある。

彼は28で病死するが、その看病は若くしてした結婚をずっと兄から認められなかった妹が必死でする。
妹との絆の深さを感じるものだ。

最後は形見分けとなるが、どの作品にも機械的に値が付けられ手際よく整理されてゆく。
随分淡々とした最後だと思ったが、エゴンの関係者も身近で親密な者はすでに亡くなっている。
最後は事務処理的に財産処分であるか。
戦地に赴くであろうエゴンを想い、別れたヴァリも従軍看護婦として戦地に入り猩紅熱で没してしまう。
妻エディットもエゴンと同じ熱病で先に死んでいる。
最初に彼のヌードモデルをしていた妹だけが健在であった。


本物もイケメンであるが、エゴン役の俳優も大したイケメンであり雰囲気は充分に再現していたのではないか。





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GOMA28

Author:GOMA28
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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