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アシク・ケリブ

ASHIK KERIB001

ASHIK KERIB
1988年


セルゲイ・パラジャーノフ監督 (ダヴィッド・アバシーゼ監督)
ミハイル・レールモントフ原作


〜タルコフスキーに捧ぐ〜

盟友である亡きアンドレイ・タルコフスキーに捧げられた作品である。
この作品がパラジャーノフ監督の遺作ともなった。
(ゴルバチョフのもとペネストロイカによりはじめて映画を自由に作れる身となる。が、これが最後で次作に取り掛かろうとした矢先に、病に倒れ帰らぬ人となる)。

ボーカリゼーションと激しい踊りが全編にわたり響き渡り、「ざくろの色」に近い感覚がある。特に高音のボーカリゼーションと打楽器の融合したうねりが精神の高揚を呼ぶ。
ちょっと民族音楽のミュージカルみたいな趣もある。
吟遊詩人アシク・ケリブの恋物語であり、ミュージカルは合うと思う。
実際、音楽主体の映画に感じた。
(「ザクロの色」とはまた趣きが異なる、、、あちらは音に負けず映像も飛んでもなかった)。

ASHIK KERIB003

噺は見ているうちにどんな話だったか忘れてしまう(どうでもよくなる)ものであるが、吟遊詩人が確か大金持ちの娘に恋をするがその父親(品性下劣な男)に金もないのに何を生意気なという感じで断られてしまう。
吟遊詩人は相手の女性と母に1000日修行をして詩人として身を立てて帰って来ると言い旅立つ。
彼は旅を共にしようと持ち掛けられた男に河を渡る際、衣服を持ち逃げされ、その男は帰るとアシク・ケリブは溺れ死んだと吹聴し、これが証拠だと皆にその服を見せ、母と恋人を深く落胆させる。母は悲嘆の内に絶望から目が見えなくなる。恋人は何であろうが1000日は待ち続ける決心をする。
旅の先々でアシク・ケリブも幾多の苦難に遭遇する~パラジャーノフ自身のように、さらにタルコフスキーのように~それは実際に取り戻せない痛手になってしまうことも多い。

ASHIK KERIB006

如何にもお伽噺が下敷きになっているという話の運びである。
目の不自由な人の婚姻で詩を詠み歌を詠うのだ。
耳の不自由な人の婚姻で詩を詠み歌を詠うのだ。
そして将軍の徳を湛える詩を詠み歌を詠うのだ。
戦争の好きな王の為、甲冑を着て楽器を奏で詠うのだ。
、、、といったパタンである。

ASHIK KERIB002

シンプルな民族衣装なのか象徴的表現なのか分かりにくいところも多々ある。
これは所作、習慣的に見える行いにしても役者の日常的な感情表現にしても。
恐らくほとんどすべては形を作っているのだと思われるが。
兎も角、エキゾチックなのだ。
夢のように。

ASHIK KERIB005

悪役は途轍もない悪役面である。
夢に出てきそうな元型的な顔をしている。
このデフォルメは本質力がある。
日本の能にも通じるものを感じる。
クリムトにも接続する装飾的な象徴性も勿論のこと、、、。

ASHIK KERIB004

とても解放感のある喜びの表現が印象的であった。
特に女性の解放的な喜びの表情と踊りはこころに響く。
この監督の映画の登場人物は、所謂絵に描いたような美しい造形の役者ばかりである。
パラジャーノフ監督の様式美の拘りの内なのだろう。

最後にこのような境地に彼も辿り着けたなら、、、こちらも少し安堵できる。


ユーチューブでDVD映像が流れていたのを観たが、随分VHSビデオより画質が良いことに驚いた。
ヴィデオより安いし、これは購入して損はないと思われる。
また、音楽だけ別に聴きたい欲求に駆られるものである。
基本はイランの音だと思う。
しかしインドそのものといった演奏もあり、イラン、中央アジア、そしてコーカサスのアマルガム的なサウンドなのか。
わたしは、このへんの音楽はロックを通して僅かに接して来たに過ぎず、この強烈なエネルギー、その強度は下手なロックなど吹き飛ばすエキサイティングなものである。はっきりワクワクしてくる。

プログレッシブロックのもっとも自覚的な音を出しているアーティストのサウンドにも触れるところが多い。
(このレベルの音に達しているアーティストはごく稀であるが。ロックグループがそのまま演奏して成り立つものもあった)。


善や悪、古さや新しさの彼岸にある作品だ。





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