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スラム砦の伝説

THE LEGEND OF THE SURAM FORTRESS002

THE LEGEND OF THE SURAM FORTRESS
1984年

セルゲイ・パラジャーノフ ダヴィッド・アバシーゼ監督


前作「ざくろの色」が完成したのが1968年であるから16年ぶりの製作であった。
その間、彼はソ連当局によって投獄されていたのだ。
そうしたこともありダヴィッド・アバシーゼ監督がサポートで入っているらしい。

基本的にパラジャーノフの映画作品には言葉を失う。
この映画を観て、ペラペラ感想など語れるものではない。
そのまま暫くの間、胸中で発酵を待つような藝術である。


しかし観終わってみて敢えて謂えば、、、この作品は大人しくなってしまっている。
それでも象徴性を湛えた芳醇な画像に屡々ハッとさせられるが、「ざくろの色」の奇想天外なイメージの畳みかけはほとんど影を潜め、御噺として不思議に分かり易い線状的な構造をとっている。
「ざくろの色」は、そのような時間制は弱く、その推移は章に分けることで表していた。
宗教性も「ざくろの色」程強くはない。
(向こうは度し難い程の熱気と共にあった)。
音楽も噺から溢出する凶暴さはなく、演出効果のうちに心地よく流れるものであった。

噺の内容は、、、
解放された奴隷ドゥルミシハンが恋人ヴァルドーを残し独り旅立つ。金を儲けて必ず迎えに来ると言い残し。
しかし彼は戻らず、金持ちとなるが他の女と結婚し男子をもうけてしまう。
ヴァルドーは彼を諦め、占い師となっていた。
或る日彼女の下をグルジア皇帝の配下の者が訪ね、幾たび建立しても崩壊を繰り返す「スラム砦」を何としても堅牢なものにしたい皇帝の悲願を伝える。祖国を敵の侵入から守るトビリシの南門の砦であり民族の命運の掛かった事業であった。
何とその兵士の中にズラブという(彼女が恋人に子供が出来たらその名にしたいと望んでいたその名を持つ)若い者がいるのだ。
恐らく彼女はそのことに気付いたのだろう。
彼女はその兵士一人その場に残し、若く美しい青い目をした若者を城壁に埋め込み人柱にすれば「スラム砦」は崩壊から免れると密かに答える。
その若者ズラブは、夜自らその城壁に入り込み人柱となる、、、如何にもという古典的な(神話のような)物語である。

THE LEGEND OF THE SURAM FORTRESS003

「ざくろの色」のような詩人のめくるめく濃厚で象徴的な世界ではない。
しかしとても豊かな詩情を秘めた、シンプルな噺である。
相変わらずの役者を正面から(固定カメラで)撮る、、、そのまま舞台劇に移行できるような様式美に貫かれた。
シンメトリーを基本とした平面性、、、。
パラジャーノフ以外の誰のものでもない独自の世界であることは間違いない。

THE LEGEND OF THE SURAM FORTRESS004

この映画も傑作であることは言うに及ばない。
だが「ざくろの色」があまりにも圧倒的過ぎた。
「ざくろの色」からそのまま地続きでイメージの奔流に任せていたら、どれ程の傑作~を越えたものが出来ていただろうと思う。
16年のブランク(創造行為の断絶)の及ぼす影響がどれほどのものか想像すら出来ない。
心身に与えたものがどれだけのものか、、、。

とても印象に残ったバグパイプの先生のセリフがある。
「苦痛に打ちひしがれるプロメテウスが鎖を解いたとき、グルジアは解放されるのだ。」
(自身の解放とも重ねているのか、、、)。
流石はタルコフスキーの盟友である。
設定が凄い。

映画としてとても観易く見応えのある(あくまでも「ざくろの色」より)ドラマチックな、美しい作品となっていた。

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