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ざくろの色

THE COLOR OF POMEGRANATES001

THE COLOR OF POMEGRANATES
1971年
ソ連

セルゲイ・パラジャーノフ監督
(セルゲイ・ユトケーヴィチ監督再編集版)


中世アルメニアの詩人サヤト・ノヴァの生涯を描く。
(まさにアルメニア文化のルーツであるか)
わたしにとっては大変エキゾチックな事象である。
それは、、、
一言で謂えば途轍もなく美しい詩に身を委ねるような体験か。
息を呑む色彩とシンプル(しかもユーモラス)だが途轍もなく厳密な(宗教的な)構図と構成。
そして全編に反復しつつ分厚く溢れる魔術的な民族音楽。
前衛MVである。
まさに。

購入した頃はほぼ3分の1くらいのところで安らかに入眠していた。
余りに気持ちが良いのだ。
不眠症の人には特にお薦めである。

やはり「赤」が鮮烈と謂えるが、何もかもが鮮烈なのだ。
しかしそれは決して神経を逆撫でしない。
かえってこころの深層に共鳴する静けさを本質的に湛えている。
音楽の影響も極めて大きいと謂えるが。
(これが内容もなくただ過剰なショックを与えようとする最近の映画との違いである)。

THE COLOR OF POMEGRANATES005

映画製作後、当局にフィルムを没収され、75分ほど残った部分で構成されたものだが、それでも彼の最高傑作の誉れ高い作品である。
よく旧作のデジタルリマスターとかBlu-ray高画質版などというが、それ以前の完全な形でのフィルムの修復は望めないのだろうか。
切り取られた部分というかオリジナルが廃棄されていたらもう永遠にそれまでの噺である。
完全版がどれほどのものであっただろうかと、恐ろしささえ感じるものだ。
ただ、この不完全版でもわれわれを呑み込む呪力は充分にもっている。

THE COLOR OF POMEGRANATES002

個性というより独自性(独創)と呼びたい形式である。
パラジャーノフ以外の誰のものでもない生々しい様式美~そのシンメトリックな構図と強烈な色彩の織りなすプリミティブで陶酔的なめくるめく感触。
後は、眠ってしまうか、その世界にのめり込んでゆくか、、、である。
少し距離を置いてみると、どのカットもそのままスチール写真としても一つの作品~いやイコンとして成り立つものであることに気付く。

それぞれのカットがジョルジュ・メリエスの映画みたいな編集手法で手品みたいにポンと変わる。
トランジションを特に入れずに変るところが面白い。
これは、場合によっては切り取られたフィルムのせいであるかも知れぬが、基本的にメリエスと同じ手法であると想われる。

THE COLOR OF POMEGRANATES006

この監督、余りの前衛さにより20年もの間投獄され、大きな作品は4作?しか撮らずに病に倒れて66歳で亡くなってしまう。
タルコフスキーは亡命するが、どちらにせよ時代に翻弄されたではすまされない、、、残酷なことであり、われわれにとっての途轍もない損失である。

タルコフスキーに並ぶ圧倒的な孤高の才能だと思うが、その宗教性(神学的性質)についても同様に尋常ではない。
映像~ビビットな色彩と過剰に象徴的で芳醇な絵~その構図・構成には終始、目を瞠るばかりであるが、それ以上にやはり音楽であった。まさに映像に溶け込みさらに深みに引き釣り込む強度に充ちた音楽なのだ。サウンドトラックを別に欲しくなるような圧倒的な魅力である。
パラジャーノフのタルコフスキーとの大きな違いは、その空間を埋め尽くす音楽にある。
(タルコフスキーの場合、それが風や雨や火の音に代わる)。

THE COLOR OF POMEGRANATES004

如何せんVHS(しかも随分長い間寝かしておいたメディアで)画質も今一つで、何か滲んだ風合いがあったりする。
暗いところなど潰れが目立ち、はっきり言ってよく見えない。
全体に細部のぼんやりさ加減が気になり雰囲気で受け取るしかない部分も多い。
だが、映像の塊の力はずっしりと伝わって来る。
「、、、世の中から滅ぶものなどないのだ。」(パラジャーノフ)

THE COLOR OF POMEGRANATES007

このような作家の作品は、本当に夢を想わせる形象があからさまに現れ唖然とすることがある。
タルコフスキーしかり、ベルイマンしかり、、、テオ・アンゲロプロス、、、など。
だが、もっとも独自なプリミティブな形でそれが露出してくるのが、このパラジャーノフ監督のものに想える。
それが民族音楽と宗教性の深さ(寧ろ原始的な宗教性)によってとても芳醇な香りすら漂ってきて、、、また眠くなるのだった、、、。
眠らないでは見ることが出来ない映画なのか。

THE COLOR OF POMEGRANATES003


1992年にダゲレオ出版から出され、一度も最後まで見れずに入眠していたVHSビデオをやっとおしまいまで観た。
とは言え、詩人の一生が8章に分かれて描かれた香り高い映画であったとしか謂えない。
少年時代、青年時代、壮年時代、老年時代とその死まで、それぞれの詩人といい、恋した王妃といい、キャストや衣装が皆エキゾチックで素敵であった。儀式や様々な所作、振舞いも(鶏の捌かれてゆくところなど)全てとても非日常的で、至る所に様式美を感じたものだ。

わたしは、当時これと「アシク・ケリブ」と「スラム砦の伝説」を合わせて買った。どれも観終わらなかった。
1本が8755円である。今からしてみれば、かなり高い。
今ではDVD映画ソフトが安いモノなら1000円で買える。

そう謂えばロックミュージシャンのMVビデオも10000円以上のものが幾つも出ていて、とてもありがたい気持ちで購入していたものだ。そういう価値なのだと思っていたのだ。商品とは須らくそうしたものだ。
当時と今でもっとも価格の変わったものはそうしたメディア類とパソコンである。
パソコンも普通に100万していた。
でも買っていた。(今なら子供のおもちゃレベルのスペックだ)。

ケイトブッシュなどもVHSが出るなりすぐに買った。
VHSビデオは、観たら巻き戻して保管・管理が鉄則だが、わたしは大概観たところで止めておいた。
その為、1万円以上のケイトたちのMVは直ぐに傷んでしまったものだ。
パラジャーノフのソフトにも少し痛みのノイズが入っていた。
他の2作も、今のうち最後まで観ておこう。


これからは、物凄く溜まっているVHSのリソースから面白そうなものを掘り出し、見れるうちに観ておきたい。



ついにBlu-ray版が発売された。この色彩は是非、Blu-rayで観たい。




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絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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