トラピスト1に寄せて

TRAPPIST-1
みずがめ座の方角にある直径が太陽の10分の1ほどの赤色矮星である。
その惑星が7つも見つかり何れも地球とほぼ同じ大きさ~つまり岩石惑星であることがわかる。
確か2017の2月の事だ。
あの4光年先に見つかったプロキシマ・ケンタウリbが2016年のことであった。
この辺から皆、色めきだったと思う。
それにしても何故これ程、他の惑星の生命に拘るのだろう、、、。
丁度、エドワード・シザーハンズを面白がりたいのと同じ心境か。
究極的には、他者に対する根源的な畏敬の念~神の希求が無意識にあるのか?
第二の地球などという言い方からすると、自分に都合の良い対象を求めるだけの単なる自我の拡張意識からくるものか?
本当にそこに「他者」~エイリアンがいたらどうするつもりなのか?!
生存欲に根差す覇権主義、、、移住を狙っての、、、やはり「新天地」が一番のウエイトか。
、、、個人的な富と名誉と権力欲も絡み、資源をまたも枯渇させて増殖してゆく侵略者たち、、、、
ケプラー宇宙望遠鏡が星のひしめいている明るい場所を捜索している時、見つかった惑星は4000以上、、、と言ってもスーパーアースがほとんどで、大きさが微妙に大きく岩石か氷か分からない惑星ばかりであった。本当に地球型(岩石惑星)と思われるものは20程と謂われている。生命を考えるとまずは岩石惑星が基準となった。しかもそれは3000光年先であったり、500光年先(2014年)であったり、1200光年先(2015年)であったり、でおよそ現実的な範囲のものではなかった。遠すぎて詳細も掴めない場所にあるのだ。
しかし、、、
ケプラー宇宙望遠鏡の姿勢制御機構に故障が生じ、偶然天の川の暗い場所を捜索することになった時に、それは見つかった。
見つかってしまった、、、これはなんにしてもはっきり一つの段階が進んだものだと言えよう。
これまで宇宙の4分の3を占める(多数派の)赤色矮星に照準を合わせることが無かったため、このような好条件の惑星が発見されなかったようだ。赤色矮星は小さく暗いが、その前を惑星が過るとその明るさの変化はとても大きい。波長の異なる光の変化も掴みやすい。つまり酸素があるかどうかの光の波長の詳細も掴める(トランジット法)。生命を考えるなら、この酸素の波長が決め手になる(酸素を生成する生物の存在が推定できる)。
これが太陽大の恒星の前を地球大の惑星が過っても光の変化は微々たるものであり、そのせいからこれまでよくってスーパーアース(地球の数倍、天王星のような氷惑星よりは小さいもの)までしか見つけにくかったのかも知れない。
そもそも惑星そのものは観測は出来ない。
光るものの影でその存在を推し量ることが出来る。
そう、われわれ自体、電磁波と重力の賜物であった。
プロキシマ・ケンタウリbは4光年先でうっかり現実性を感じてしまう距離だが、如何せん地球から見ると恒星の前を通過しない(横切らない)惑星なのだ。
であるから、公転する惑星の重力により生じる恒星の揺れでその存在を推し量ることになる(ドップラー偏移)。
影も掴めないのだ。(それなのにNASAのHPを見ると行って来たかのような凄いイラストが描かれているではないか)。
だがそこから分かることは、大まかな大きさと公転周期くらいであり、詳細を知るには観測機を実際に飛ばすしかない。
そうなると、4光年先であっても詳細情報を得るまでに少なくとも44年を要することになる(もっとかかる可能性は高い)。
これがスターショット計画”Breakthrough Starshot”(ホーキング博士お墨付きプロジェクト)である。
(ホーキング博士は以前から、人類は他の星に移住するべきであると主張しておられる)。
お金はロシアの大富豪が持ってくれるらしい。ほんとに移住可能な星ならその富豪の孫の代には飛んでもない大富豪と化していよう。
地球からのレーザー光線で推進する超小型探査船である。
切手大のチップに様々な機能が乗っている(ナノテクノロジー)。それを1m程の帆にとり付け高速の20%を実現するという。
一度に一杯飛ばすようだ。沢山飛ばして精度を高めるのだ。
だが現在はプロジェクトを立ち上げた段階で、技術開発に入ったばかりだという、、、娘にどうなったかあちらで聞くことにしよう(爆。その探査船そのものは魅力的である。

そうなると恒星の前を揃って通過するトラピスト1惑星系の方が詳細判明は遥かに早い。
ちょっと忘れていた頃にNASAが大発見ニュースを報じるはず。
b~hまでの7つの地球大惑星が小さく暗い赤色惑星のすぐ近くに密集して公転しているのだが、そのうちのefgがハビタブルゾーンに当たるという。単に水が液体であるだけでなく、恒星の活発なフレアの影響をどう対処する機構を生命(いたとしたなら)が身に付けているか、環境がそのフレア、X線、宇宙線を良い形に転嫁できているか(オゾン層の生成とか)も大きい要素だと思う。
一番遠いhの公転周期が20日という近さの内に彼ら(彼女ら)はひしめく。
太陽系では最も内側の水星が88日だ。
しかし恒星に対し余りに近い為、潮汐ロックがかかっている。(地球に対する月のように)。
永遠に昼の部分と裏側の夜の部分に分かれる。しかし、水が液体として存在する環境であれば、大気があり雲も生成され、海(海流による)対流があり、その循環によって裏側もそれほど寒くはならない。
温暖な気候が保持されている可能性はある。
世界も赤の感度を基本にした豊かな色彩世界~その表象により成り立つのだろう。
地球人は知っての通り黄色の感度を元にした色彩世界に生きて、藝術を育んだり語ったりしている。
基本、彼らが(いたとしても)共通感覚は期待できない他者である。基本(究極のパラダイム)が違うのだから。
しかし、かなり安定した(落ち着いた)世界を想う。
地球のように公転と自転をもつ環境は変化が激しい。朝から昼、夜と一日だけでも大きく移り変わる。
知性をもつにしても観念~概念の差は大きいはず(度合いの問題ではないか)。
但しefgの何れにも生命が誕生し進化を遂げているのならば、星同士お互いに知り合う知性は備えているだろう。
赤色矮星の寿命は長く、時間は充分に与えられている(太陽は100億年。赤色矮星は核融合がゆっくりだから1兆年~10兆年をゆうに超えたりする。質量によるが、これは面白い。宇宙の誕生から現在までの時間より遥かに永いのだから、まだ死んだ赤色矮星はひとつもないのかも知れぬではないか。不慮の事故?とかなければ)。

すでにお互いに差別し合い(生存と存続に排他性がどれほどの基本的属性であるかであるが)、泥沼の闘いに至っていたなら、地球人の移住どころの噺ではなくなる。
その悪魔の侵略者に対し3つの星が結束する契機を提供することになるか。
地球でも移民問題は大きい。決して彼らもわざわざリスキーな外者を受け容れようとはしないだろう。
どう考えても受け容れて得はない。特に地球人である。のこのこやってくる頃には事前調査の済んでいる可能性は高い。
恐らく、巨大宇宙船などで近づいたところでたちどころに総攻撃に出喰わすはず。
まあ、侵略者が滅びて和平がしかれるならそれに越したことはない。
面白いが他人ごとである。
どうでもよい妄想に浸っていてもしかたないが(笑、
まだまだ、地球の表面でも分からないことだらけであるし、地球の過去についても謎だらけである。
ヒトにおいても、、、。まさにそうだ。
これまでに生命は幾度も滅亡と隆盛を繰り返して来た。
地球が滅亡するのならそれに最適化されて生かされてきたわれわれも運命を共にするのではいけないのか。
その辺は、科学や哲学の役割だけでなく、まずはSF映画などが人々に対し果敢な仮説を提示していってもよいはず。
ジュールベルヌみたいに、、、。
