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GOMA28

Author:GOMA28
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ヒューゴの不思議な発明

Hugo001.png

Hugo
2011年
イギリス、アメリカ

マーティン・スコセッシ監督
ジョン・ローガン脚本
ブライアン・ セルズニック原作『ユゴーの不思議な発明』
ハワード・ショア音楽
ロバート・リチャードソン撮影

エイサ・バターフィールド 、、、ヒューゴ・カプレ(孤児)
クロエ・グレース・モレッツ 、、、イザベル(ジョルジュの養女)
ベン・キングズレー 、、、パパ・ジョルジュ(メリエス)
ジュード・ロウ 、、、ヒューゴのお父さん(時計職人)
ヘレン・マックロリー 、、、ママ・ジャンヌ(ジョルジュの妻)
レイ・ウィンストン 、、、クロードおじさん
エミリー・モーティマー 、、、リゼット
クリストファー・リー 、、、ムッシュ・ラビス(図書館長)
サシャ・バロン・コーエン 、、、鉄道公安官
マイケル・スタールバーグ 、、、ルネ・タバール(博士)
フランシス・デ・ラ・トゥーア 、、、マダム・エミール
リチャード・グリフィス 、、、ムッシュ・フリック

Hugo003.jpg


モンパルナス駅が舞台。
孤児となったヒューゴは駅構内に住み大時計のネジを巻きメンテナンスを毎日怠らない。
駅で売られるパンや牛乳を盗んで独りで暮らしている。
機械人形の修理を亡き父から引き継ぎ、そのメカパーツの調達を父のノートを頼りに続けることが彼のライフワークであった。
その機械人形に関わることが、自分は独りではないことの実感にも繋がっていた。

パリの夜景が実に美しい。
機械人形の孤独な表情とその歯車の連動が魅惑的に煌めく。
そして突然現れるイザベルが浮世離れしていて可憐である。
ヒューゴの感じる通り、モンパルナス駅だけでなく時計台の上から臨むパリ全体が機械仕掛けの模型世界のようにも一望できる。
このオートマタのアーティフィシャル感覚が全体に染み渡っているところが心地よい。

ヒューゴはジョルジュが営んでいる玩具屋からパーツの歯車等を盗もうとしたところを逆に捕まってしまう。
そのとき何よりも大切にしていた父のノートも取り上げられる。
ヒューゴはノートの返却だけは食い下がって頼み込む。
ジョルジュに取りすがり家にまでついて行ったときに彼は養女のイザベルに出会う。
彼女は読書家であるが、映画を養父から禁じられていた。
本の中にあるような「冒険」を夢見る少女である。
それ以降、ヒューゴとイザベルは、彼のノート奪回を軸に「冒険」を楽しくスリリングに経験することになる。
親友以上恋人未満と謂えるような、微妙で抽象的な関係であり、これもまたオートマタ的と謂えるか。

今こそ駅構内の一介のおもちゃ屋であるが、彼こそかのジョルジュ・メリエスその人であった。
リュミエール兄弟の発明した映画技術に瞠目し、それまでやっていた手品と機械人形制作を放り出し、映画の可能性をどこまでも追及したSFX(特撮)の創始者でもある。
映画界に及ぼしたその影響力の大きさは計り知れない。
しかし、彼のファンタジーは戦争突入によって見向きもされなくなり、戦火や劣化からほとんどのフィルムも消失してしまう。
その為の酷い傷心が現在の彼の状況を作っていた。
特に、ジョルジュのヒューゴに見せる頑なな拒絶反応は何であるのか。

イザベルのネックレスのハートの鍵が、最後に見つからないでいた機械人形のパーツであったことから事態は進展する。
これは何を意味するのか、、、。
謂わば、映画は少年の機械人形の懸命な修理から、メリエスの封印した映画人生(映画作り)の物語に展開する。

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機械人形が鍵によって正常に作動した結果、ヒューゴとイザベルの見守るなか、何と月の片目にロケットが突き刺さる、ヒューゴの父が初めて観た映画のシーンでもあり、イザベルの養父メリエスの代表作の一つに数えられる『月世界旅行』の一場面を、ペンでさらさらと描き出し、おしまいにメリエスのサインまでしてしまったのだ。
機械人形はメリエスの最後まで作っていながら放棄して博物館に流れたものであり、それが捨てられた際にヒューゴの父が引き取りメンテナンスを続ける半ば火事で命を落とし、孤児になったヒューゴがその後を継いできた数奇なモノであった。
ノートを見たジョルジュがそれに気づいていない訳はなかったのだ。

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ヒューゴとイザベルが図書館で出逢った映画研究家ルネ・タバール氏が『月世界旅行』のフィルムを保存していることが分かり、三人でそれをメリエス夫妻に見せることで、ジョルジュのこころも和らいでくる。
彼自身から映画への関わり、その製作方法、特撮技術の発明と工夫そしてそれを観る人々の熱狂などが語られてゆく。
そこでヒューゴが直した機械人形を彼に見せようと駅に取りに行くが途中で鉄道公安官に捕まってしまう。
どうにか鉄道公安官からは逃げるも、振り切る際に機械人形を線路に落として壊してしまう。
(この公安官はヒューゴの機械人形と対比的な機械人形に見える)。
ここでヒューゴは大ピンチに陥るが、ジョルジュとイザベルが彼を迎えにやって来る。
「その子はわたしの子である」と言い放ち、終盤のルネ・タバール主催のメリエスのフィルム上映会へと繋ってゆく。
ここでわれわれは貴重なメリエスの映画の幾つものカットを見ることが出来る。
まさにメリエスに対するスコセッシ監督のオマージュが窺えるところだ。


ともかく、雰囲気が良い。
間違いなく、素敵な気持ちの好い映画であった。
映像、音楽、撮影、美術、そして何よりキャストが優れていた。
マーティン・スコセッシ監督はこんな映画も撮るのか、、、。

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