ヴァン・ヘルシング

Van Helsing
2004年
アメリカ
スティーヴン・ソマーズ監督・脚本・製作
ヒュー・ジャックマン 、、、ヴァン・ヘルシング(カトリック教会の裏組織に所属するモンスターハンター)
ケイト・ベッキンセイル 、、、アナ王女(ヴァレリアス家の最後の子孫)
リチャード・ロクスバーグ 、、、ドラキュラ伯爵
デヴィッド・ウェンハム 、、、カール(修道僧で科学者、武器製作者、ヘルシングのパートナー)
シュラー・ヘンズリー 、、、フランケンシュタインの怪物
ウィル・ケンプ 、、、ヴェルカン(アナ王女の兄、狼男となる)
エレナ・アナヤ 、、、アリーラ(ドラキュラの花嫁・赤毛)
シルヴィア・コロカ 、、、ヴェローナ(ドラキュラの花嫁・黒毛)
ジョジー・マラン 、、、マリーシュカ((ドラキュラの花嫁・金髪)
ドラキュラ、フランケン、狼男、ジキル・ハイド、、、と勢ぞろいのアクションスペクタクル映画であった。
VFXも実に派手なこと。然程高度ではないが斬新な(ノスタルジックでゴシックな)場面も目立つ。
しかし残念なことに終始、画面が暗かった。
折角の奥行きやディテールの雰囲気が充分に楽しめない。
ヴァン・ヘルシングは例の大学教授ではなく、何とカトリック教会の裏組織に属するモンスター・ハンターである。
しかも前世?はガブリエル=神の左側に座る者であった。
彼こそ、かつてドラキュラを殺した英雄でもあったのだ。
何とも言えないスケールである。
異様なスケール設定だが、内容~ストーリー的には、娯楽アクション平板を滑って行くだけであり、深みの構造は全くない。
それは正解だと思う。監督の狙い通りの映像が仕上がっていると思われる。
ドラキュラが狼男を天敵としていた、(狼男から人に回復できる薬もあり伯爵がそれで制御していることが一つのキイとなる)。
キャストは誰もピッタリであった。
特にドラキュラは如何にもという感じ(ホントに如何にもという怪物界のエリートの風格である)。
ケイト・ベッキンセイルの強気のアクションもなかなかのものだ。
この手の跳ね返り娘役は板についている。(未だにわたしにとっては、「レタッチ」が一番だが)。
3人のドラキュラの花嫁の毒のある美は、いや美しい毒気は魅惑的であった。
顔が美しくなったり怖くなったりの変容が楽しかった。
その絵に惹き付けられ、グイグイと見入ってしまうタイプの映画だ。

フランケンが登場人物のなかで一番優しく、利他的な良い人であった。その分迫力はない。迫力は狼男である。
造形的に継接ぎがどうのという以前にあれではロボットではないか?
こういうアクションヒーローものでは、欠かせない相棒役のカールもひょうきんで臆病な性格で適度にマッチしていたが、もう少し多彩な武器やアイテムを用意しておいても良いのではと思う。光を発するアイテムが偶然役立ったくらいではないか。
過去の文献の解読などはそこそこしているが、それほど働きがない。彼次第でもっと展開に幅が出るのでは?
そして彼ら一行は、ドラキュラ城への侵入にしろ、何にしろ全く行き当たりばったりの無策状態でただ勢いで無防備に乗り込んでゆく。
ここが凄い。
いくら何でも普通、それなりの作戦とか装備~武器を携えて慎重に敵地に赴くではないか。
そのへんがまるでなく、特殊効果の力技でひたすら場面を繋いでゆく映画なのだ。
シチュエーション的には圧倒的に、空を自由自在に飛べ鋭い牙や爪をもつ敵の方が有利に思えるが。
何となく花嫁たちと最後にはドラキュラ伯が負けてしまう。
「お前は利用されている。わたしもかつてはそうだった。自由になるのだ。」
ドラキュラ伯の最後に放つ名台詞にヘルシングはどう思ったか?
ヴァン・ヘルシングが狼男に変身したことが勝因でもあり、それがアナ王女の命を奪う結果ともなる。

最後まで見て思ったことは、ヒュー・ジャックマンが一番、地味ではなかったか、、、特徴がないのだ。
リチャード・ロクスバーグのドラキュラ伯爵の方がずっとキャラが鮮明であった。
この役、デヴィッド・ボウイがやってもピッタリである。
嫁たちも毒々しい美しさでとても良かった。彼女らがいるといないでは、こういう絵を見せる映画だと随分違ってくるはず。
勿論、ケイト・ベッキンセイルもこうした映画のお約束の美女~ヒロインだが(笑。
最後に死ぬのだけは、ちょっと流れから謂って意外であった。
ヴァン・ヘルシングとアナ王女の二人で夕日でも見てハッピーエンドの方が、この映画では似合っていると思うが、、、。

ミイラ男も出てきてよかったような、、、。
そこそこ愉しい映画であった。