バンク・ジョブ

The Bank Job
2008年
イギリス
ロジャー・ドナルドソン監督
ディック・クレメント、イアン・ラ・フレネ脚本
ジェイソン・ステイサム 、、、テリー・レザー
サフロン・バロウズ 、、、マルティーヌ
リチャード・リンターン 、、、ティム・エヴェレット
スティーヴン・キャンベル・ムーア 、、、ケヴィン
ダニエル・メイズ 、、、デイヴ
ピーター・ボウルズ 、、、マイルズ・アークハート
キーリー・ホーズ 、、、ウェンディ・レザー
コリン・サーモン 、、、ハキム
ピーター・デ・ジャージー 、、、マイケルX

王室SEXスキャンダル(マーガレット王女)などを堂々と取り上げているところが、日本では考えられない。
”貸金庫”というものの怪しさ・面白さも実感できる。
おおっぴらにできない金だけでなく、表に出したら一大事の品(写真など)の秘密の隠し場所~温床なのだ。
(だから被害届も出せない。闇の力で当の情報を力づくで回収・処理を行わなければならない)。
全編、闇~疚しさに溢れている。そこをついたこの犯罪ではあるがそれも策略によって(操られて)起きたものだった。
それぞれ目的の違う様々な闇の勢力が絡み縺れて展開する。
これが実話ベースの噺というのも、またすごい。いや事件の綿密な取材によってできているというではないか。
この大仕事を騙されて手を付けたと言っても、素人に毛が生えたくらいの子悪党グループで行うのだ。
一般市民の無線マニアの傍受と通報によって彼らが追い詰められるところなどもリアルである。
警察は銀行を特定できず、それに頼り切りというのも不甲斐なくも、これまた真実味があってよい。
何せ「ウォーキートーキー」(トランシーバー)で連絡取り合っている貸金庫破りのグループなのだ(それでウォーキートーキー事件と呼ばれてもいる)。
よくある地下を掘り進んで銀行の金庫の床をつき破るものだが、かつてペストによって死んだ夥しい死体を葬った墓~地下空間に偶然突き当り、そこが丁度銀行の真下というのも、妙にリアルであった。本当にそうだったのだろう。
彼らはテリーの機転で、MIー5(007みたいなものか?)の追跡をまいて、まんまと逃げおうせてしまう。
だが面倒なのは彼らにとっては金だけが目当てなのだが、それ以外の危険極まりない”お宝”も一緒に盗んでしまっていたのだ。
その間、その貸金庫の盗みの情報は一般警察~マスコミベースで世間に広まってしまう。
慌てたのは、その金庫に依存する怪しい上流階級と王室諜報部であった。
金などより遥かに大事な衆目に晒されたら命取りになる情報を守らなければならない。
「D通告」という国防機密報道禁止令が物々しくしかれる。
これには、犯人たちも驚く。急に自分たちに関する報道が立ち消えるのだ。かえって不安が募る。
政府側ではスキャンダルのもみ消ししかない。
彼らが結局、警察(汚職警官含む)・強盗グループ・マフィア・MIー5、6(王室の諜報部)・ポルノ王(娼館)、黒人(革命家)麻薬組織、、などを敵に回し、命がけの「取引」に出るしかなくなる。
この追い詰められ感はかなりのもの。
まさに絶対絶命である。
分け前を分配した後、グループのメンバーも何人も殺害されてしまう。
しかし犠牲者は出したが、テリーたち3人は金と自由を勝ち取って解放されるのは、かなり爽快感を覚える。
その取引は、警察に対しては汚職警官のリストを渡し、諜報部には「マーガレット王女の例の写真」と引き替えに政府高官レベルで身の安全を保証させる。凶暴なマフィアは警察に任せて捕まえてもらう。
、、、という線で見事に危なっかしくも切り抜ける。
最後は豪華クルージングで釣りを楽しむテリー一家の笑顔である。
資金繰りに苦しんでいた中古車ディーラーから一転、豊かな生活をその後も送ったのか、、、。
多分そうであろう。
ジェイソン・ステイサムとしてはほとんどアクションなどなく、地味な映画なように思うが、面白い噺ではあった。
特に後半の畳みかけは目を離せない。
ミックジャガーがチョイ役で出ていると謂われているが気付かなかった。
ジョンとヨーコもどきがマイケルXといっしょにいたシーンはあったが、、、。
(別にどうでもよいが(笑)。
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