ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ

Buena Vista Social Club
1999年
ドイツ、アメリカ合衆国、フランス、キューバ合作
ヴィム・ヴェンダース監督・脚本・製作
ライ・クーダー
ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ
「ベルリン 天使の詩」、「パリ テキサス」は大好きな映画だ。その雰囲気が格別なのだ。
ライクーダーのギターが冴えわたっていたが、ここではバックで支える。
ライ・クーダー製作アルバムの「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」をヴィム・ヴェンダースが映像バージョンにしたといってよいか。
如何にも淡々としたヴィム・ヴェンダースの映像。
間違っても「ストレイト・アウタ・コンプトン」みたいな強烈なメッセージやストーリーなど全くない。
そこに流れるサウンドは生を謳歌する歓びとちょっぴりペーソスも感じさせる愛情に充ちたものだ。
ニンマリとして魅入っていや聴き入ってしまう作品といえよう。
ライクーダーがキューバ音楽の魅力を発見しそれを世界中の人々に紹介しようと、ミュージシャンを引退して埋もれてしまった実力者たちをそこらじゅうから探し出して来てブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブを結成させる。
謂わばライ・クーダーによって実現をみたクラブだ。
キューバ国内でまず驚きをもって迎えられ喝采を浴びるが、レコーディングもしっかりおこないミリオンセラーとなり、その勢いでアメリカまで遠征する。
それをライ・クーダーの古くからの友人であるヴィム・ヴェンダースが素材を生かして映像作品化した。

内容としては、いぶし銀の老練なミュージシャンたちのライブや収録現場、日常それから紹介・来歴を含めたドキュメンタリーフィルムとなっている。
もうかなりの歳の(おじいちゃん)ミュージシャンばかりであるが、皆純朴で若々しくカッコよい。
そして矜持を失わずダンディな人々ばかりだ。
肝心の音楽の情熱も技巧も全く衰えをみせない。
「ライが見てるから頑張らなきゃ」と彼の期待に応えている。
そう、ライ・クーダーの愛情がもっとも熱いモノであったかも知れない。
(ライの彼らを見つめる笑顔がとても素敵なのだ)。
それぞれの楽器(伝統楽器も含め)のエキスパートにより、それは熱気あふれる演奏が繰り広げられる。
こちらも心地よいリズムに気が付くと乗っている(笑。
(歌詞は驚くほど素朴だ(笑)。
ルベン・ゴンサレスのピアノはもっとじっくり聴いてみたい本当に魅力的なものであった。
編集がとても巧みで、街中で演奏していたものがそのままライブに繋がれていったり、流れにぴったりのキューバの街や浜辺の光景に接続されたり、それは申し分ない特上のMVである。
道路でドラム缶をクルクル回している人がいたり、、、。
街の人がそれと気づいて一緒に歌ったり、、、。
ペンキを塗られてカラフルな年季のいった車、、、。
とっても長いMVとしても愉しめるものだ。
最後の締めくくりのカーネギーホールでのライブまでにはたっぷりと彼ら~キューバミュージックの魅力を堪能できる。
「アメリカに一度来てみたかったんだ。まさにラジオシティーじゃ。家族にも見せたいな~」と言って夜の街をあちこち散策したり、無邪気にショーウインドウを覗きこんでいる姿は、ただのお登りおじいちゃんたちであった。

「アメリカに憧れていたんだ。」と、目を細めるクラブの中心的な存在であるヴォーカルのイブラヒム・フェレールの表情が印象に残る。
そのすぐ後に、キューバの街の”Karl Marx”と書かれたボロボロになった看板が映される。
明らかに意図的に、、、。
何とも言えない余韻を残す。
やはりヴィム・ヴェンダースの映画であった。
しかし、、、ここはライ・クーダーの情熱をそのまま受け止めて
ただ「音楽」に浸ればよいものだ。
特につべこべ謂うような映画ではない、、、。
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