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GOMA28

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午後8時の訪問者

La fille inconnue001

La fille inconnue
2017年
ベルギー・フランス

ジャン=ピエール・ダルデンヌ,リュック・ダルデンヌ監督

アデル・エネル、、、ジェニー(医師)
オリビエ・ボノー、、、ジュリアン(研修医)
ジェレミー・レニエ、、、ブリアンの父
ルカ・ミネラ、、、ブリアン(高校生、ジェニーが主治医)


ジェニーをひたすら追うドキュメンタリーフィルムのような質感の映画であった。
ドラマ的な演出が一切ない。というか演技を排除している。
BGMも一切ない。
映画とは一体何なのか。
それを観るとは、いかなる行為なのか、ということが意識に残るような作品であった。


診療時間を一時間超えた頃に誰かの訪れを告げるブザーが鳴ったが、研修医は外を確認しようとするも、ジェニーはそれを止める。こんな時間に何よという具合に。しかしそれは丁度まさに研修医を諭している最中のことで、彼の動きを制したのは権力関係の誇示の結果でもあった。
しかも彼女はその夜、自身のキャリアアップを祝すパーティーに呼ばれていた。
若くして将来を嘱望されている優秀な医者なのだ。

しかし翌日、ブザーを押してどうやら助けを求めて来たらしいその若い女性の死体が見つかる。
(診療所のビデオの検証に警察がやって来てそのことを知る)。
まだ未成年のその女性は司法解剖後に、素っ気なく無縁仏として荒れた共同墓地に葬られる。
ジェニーは彼女のことが脳裏から離れなくなり、昇進を蹴って診療所に留まり、その身元不明のアフリカ系の女性の名前を突き止めようとする。

何故、あの時自分は扉を開けなかったのか。
彼女を迎え入れてさえいれば、死なずに済んだはず。
自責の念とせめて彼女が生きた証または死んだことを知らしめる意味でも墓碑に刻み込む名前だけは突き止めたいという気持ちがジェニーを突き動かす。

La fille inconnue003

それと並行して父親の暴力がトラウマになってそれを見抜けなかった医者への不信感から自ら医者になろうとしていた研修医が医者を断念したことも気遣い、丁寧なフォローと励ましを粘り強く続けて行く。
ジェニーが彼をきつく叱ったことが彼の断念を決意させる引き金ともなっていた。
彼は苦痛にもがく少年に自らの少年期の姿を投影してしまい、適切な処置が行えなかったのだ。

ジェニー自身、変って行く。
時間も関係なく患者の往診に出かけるようになる。
何時に診療所に患者が来ようが受け容れる。
(ある意味、つまらない拘りを捨てたと謂えよう)。
そうしながら、亡くなった少女~娼婦の「名前」を探り出すために手掛かりを追ってゆく。
闇世界に半ば踏み込んでもゆくことで、危険な目にも逢う。


不安も混じる緊張感のある静謐な日常があくまでも淡々と描写されていくのだが、、、
ジェニーが少年の脈拍数から「何か知ってるわね?」と切り出す大変鋭く冷静な所と、独自の捜査を妨害する強面ゴロツキに脅されまともに怯えるもすぐに手掛かりを探り始める姿や、食べ物・飲み物を勧められると何でも貰うわと頂いてしまう面など、彼女のしなやかでブレない強さと率直さ、可愛らしさが自然と浮き彫りとなっている。
元々真面目で直向きな人なのだ。

この見ず知らずのアフリカ系少女の「名前」を求めて、ジェニーが街の迷路をひたすら車で乗り回すシーンは、どこかカフカの小説も連想してしまう。
登場人物のほとんどが、こころに何かを隠し持っていたり、こころを閉ざしていたり、しこりをもって病んでいる。
その中を彼女が突っ切って行き、徐々に彼らを揺さぶり、こころを開いてゆく過程の物語とも謂えるか。

そして、彼女の捜査の成果が実り、少女を直接(事故)死に追いやった相手を自首させるところまで行く。
おざなりな警察の捜査結果が、彼女にこころを開いた少女の姉の登場によって、全くの誤りであることが判るラストがこれまた静かにやってくる。
さらに、彼女の励ましの結果、研修医もこころを開き、再び医者を目指す意欲を取り戻す。
内容的には劇的で、彼女がこころから望むところとは言え、なかなか容易でない結末である、、、。
BGMがないことも関係しているだろうが、どのような場面であっても精緻で静かな映像なのだ。
ハーフトーンの美しい素描を観ている気分である。

La fille inconnue002

また、これはという「映画」と監督に出会ってしまった。
監督は兄弟のようだ。
他の作品にも当ってみたい。






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