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GOMA28

Author:GOMA28
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君の膵臓をたべたい

minami001.jpeg
2017年
同名のライトノベルが原作。
月川翔 監督
住野よる 原作

浜辺美波、、、山内桜良
北村匠海(高校時代)、小栗旬(現在、教師)、、、僕
大友花恋(高校時代)、北川景子(現在、花屋さん)、、、恭子(桜良の親友)


この映画を観る前にわたしは原作本を買っていた。
ライトノベル自体初めて買ったが、本棚のコーナーもかなり大きく場を占め、客層も違って浮いてしまう。
その膨大な冊数から、、、この分野の需要の高さは実感する。
主にそこ居合わせた中高生対象であろうが、彼らはまだ本を読むのか、、、というのも新鮮であった。
(いや読む人は読むはずだが)。

次女が、話題だからそのうち読みたいと言っていたので手元に置いておいたものだ。
(女子会でも話のネタにするつもりだったか)。
が、未だに読む気配はない。
暇なときはパソコンゲームに興じており、本の事はすでに忘れている感もある。
わたしも最初の方を読んでみたが、漢字の読みをいちいち訊ねられるのも厄介なため、余り家にあることを宣伝していない。
(それでは意味がないのだが)。

なんでも「キミスイ」と言って女子の間では(巷では)ひところ話題の種であったそうな。
もうブームは去ったのか?この系の更新速度はかなり速そうであるし。


その原作による映画実写版を観てみた。
ドラマタッチで、観易くリリカルな雰囲気もあるが、やはりどうにも距離感は覚える。
しかし主演の浜辺美波の圧倒的存在感と演技力(元々の資質からくるものか)で一気に乗せてしまう作品ではあった。
この女優は、小松菜奈と共にこれからの活躍・可能性が楽しみだ。
minami003.jpg


まず前提として「思春期もの」である。
それ特有の(ある意味制度的)文体でライトに流されていることは否めない。
とは言え、間近に迫りくる「死」という絶対的な観念の下、生という関係性について不安と恐怖のなか、考えることを強いられた高校生の男女の健気な精一杯が描かれている。

山内桜良は余命一年を宣告された膵臓病の、謂わば薄命の美少女である。
しかしそのことは家族以外の誰にもひた隠し、学校では明るく朗らかに振舞う誰からも愛される人気者で通っていた。
それは死の恐怖に怯える気持ちと裏腹のものでもある。
そんな気持ちの共有など、特に親友の恭子とは考えられないヘビーなものであり、「共病文庫」を独り綴ることで完結しようとしていたのだが、病院の待合室に置き忘れたことで「僕」にその内容~不治の病を知られてしまう。
誰からも距離を置き、自分の時間を確保し読書に没頭していた他の人たちとはちがう身体性の「僕」に、彼女は半ば無理やりその後の自らの日常を託す。

その後は、「僕」は一方的に何かと関わって来る美少女に翻弄されっぱなしとなるが、重大で切迫した秘密の共有から彼女と時間を共に過ごすことが拒否できない事態に巻き込まれてゆく。この辺の展開はラブコメ少女コミック臭が立ち込め、かなりわたしにはキツイものだが。
そして「僕」は彼女に心を開くことで生きることの実感を徐々に瑞々しく深めてゆき、彼女への思いが深まる自分を知る。
彼女も自分にない強さを「僕」に認め、自分の選択の正しさを実感する。
「君がくれる日常がわたしにとっての宝物なんだ。」

「真実か、挑戦か」などのカード勝負でお互いに通常では聞けない思いを聴きとろうとする(関係を濃密にしようとする)ところなど如何にも高校生っぽく、一生懸命だがスケールは小さい。
学園空間モノに留まる(九州旅行をしたにせよ)。
だが存在~関係についての認識を僅かな持ち札で研ぎ澄ましてゆこうとする過程には、とても共感する。


その直向きに懸命に生きようとする彼女らの姿に、ライトだがしらじらしさやわざとらしさや安っぽさは感じられない。
しかしこの女優でなかったら、かなりコケていた可能性はある。
そうそう相手役の男子もそれなりに良い味を出していた。
主演キャストは良かった。

kimisui004.jpg


君の膵臓を食べたい、、、表現では無くこの感覚に辿り着くまでの高まりはなかった。
これは相当な強度の愛がなければまず無理だろう。
「僕は君になれるだろうか?」という自問はあったが。

しかしそれが単なる親愛の情の表現レベルであったら趣味は悪い。
食べてくれた人の中で生き続けたい、、、しかしそれはある意味エイリアンに身体に入り込まれた不気味さと等しい。
桜良は、僕や親友に死後にいろいろと気付く仕掛けをしていたが、自分の死後も相手を拘束することが本意なのであろうか。
ちょっと余計なことに思える。

周囲の人間(遺族)にとっては、死は意識の上では、葬儀・お焼香において区切りをつけることになろう。
(「僕」もお焼香に行ってから、大泣きして区切りをつけている)。
そこで、「死者」としてその魂をこの世の生活空間~「此岸」から切断することが順当に思える。
またそれが如何に肝心なことかは、これまで葬儀の儀式のない文明は存在したことのない例からも分かる。
死者は忘れられなければならない。

しかし桜良の語る「自分の意思が全てを選択している」
このくだりの、偶然などないという関係の絶対性は、かの高名な哲学者の言説を思い起こす。
わたしはこの場面では泣けた。
そして相互補完的に桜良と「僕」がお互いの存在の重みを知る。
それがふたりの生をより豊かにしてゆく。
そう、いつ中断されるか分からぬ生を、今を、如何に豊かに生きるか、、、を噛みしめる。

それを現在、桜良の一言で教師となった僕の視点から振り返って行く。
実際、桜良は膵臓病により生が潰えたのではなく、通り魔に刺されて亡くなってしまう。
(この中断は皮肉であるが、われわれ存在の在り方として物語~寓意的には秀逸な設定であった)。


概ね肯定的に観ようとしてみてきたのだが、、、
桜良が綴って来た「共病文庫」は、当初から(友人でも恋人でもない僕たちふたりの共通の秘密であり)とても重要なアイテムで、物語の流れに潜在しつつ彼女の深い思いが死の直前まで書きつくされているはずのモノである。
そして彼女の死後、「僕」だけに読む(明かされる)ことの許された手記であって、そこからドラマチックで秘められた大きな展開がまた生み出されると思っていたのに、それがほとんどなく~とても小さく、図書室に埋もれた「星の王子様」の本に挟まれた手紙であのように大袈裟に締めくくられてゆくというのはどういうことか?
手紙の内容も全く大したものではない。いまさらなんだというレベルのモノだ。これが果たせなかったサクラを見に行こうという旅行の約束~「サクラの花の芽のサプライズ」に当たるというのか?余計なこじつけではないか?
かなり期待外れのコケる部分である。しかももっとも肝心なところではないか?
ここはストーリーの根幹に関わる大きな疑問箇所ではある。
他の部分には目をつぶるとして。

ミスチルは好きな方だが、この曲でエンディングはいただけない。
静かなオーケストラで終わりにしたい。岩井俊二ならベストチョイスするはず。

最後にクラス委員長であるが、終始可憐で穏やかな浜辺美波から、しつこいとあれほど毛嫌いされ拒絶されてしまっては、「僕」よりも立ち直りが困難であろうに、、、(南無~。
この映画でもっとも教訓的メッセージであったのは、「しつこいのは嫌われる」か!

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浜辺美波、恐るべし。小松菜奈と共にこれからの活躍・可能性が楽しみだってさっき書いた気がする。
どうか国外の映画界にもどんどん進出して行って欲しい。
(日本映画はどうもアニメ以外は今一つなのだ)。


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