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リップヴァンウィンクルの花嫁

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2016年
岩井俊二 原作・監督・脚本

黒木華、、、皆川 七海
綾野剛、、、安室 行舛
Cocco、、、里中 真白
原日出子、、、鶴岡 カヤ子
地曵豪、、、鶴岡 鉄也
和田聰宏、、、高嶋 優人
佐生有語、、、滑
金田明夫、、、皆川 博徳
毬谷友子、、、皆川 晴海
夏目ナナ、、、恒吉 冴子
りりィ、、、里中 珠代

岩井俊二らしく、ここでは何度もバッハの“G線上のアリア”、“主よ、人の望みの喜びよ”が流れる。
それがとっても繊細でリリカルな情景に合っていた。
3時間であったが妙な重みがない為、長くは感じなかった。

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まず最初からして皆川 七海は、SNSで知り合った相手とすぐに恋人同士になり、結婚する。
同時に、声が小さい為に教員が続けられなくなる。
SNSでは、文字のやり取りだが、現実は声のやり取りである。

極めて希薄な身体性によるコミュニケーションによって、日常が流れてゆく。
だから、確信や信念めいたもの、信じあうとかいった関係性も希薄で脆弱だ。

皆川 七海 は知的だが、芯がなく(わたしもない)、主体性に乏しく優柔不断で全てに受け身で生きている。
しかも、引きこもりの生徒相手にSNSで勉強を教員退職後も教え続けるなど、生真面目な性格であるから巻き込まれやすいことこの上ない。
そこへ、何とも如何わしい(怪し過ぎる)安室が蛇のように絡んで来る。名前がなんせ「アムロユキマス」、、、冗談か?
更に、もうどれ程の闇を抱え持ってしまったのか、という人格の里中 真白が現れる。
強烈な個性の彼らに七海は翻弄され巻き込まれてゆく。
確かに彼らにとって皆川 七海 はよいカモである(となる)。

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日頃からNSN、ネット情報に依存して生きていると、実生活における生の情報の抱える厚み~裏側に対する感覚に疎くなる。
そういった意味で世間知らずな(人の事は謂えないが)七海 は、癖の強い狡猾な安室にはいいように騙され続ける。
その裏を取ることをしないため(そうした習慣がないため)実に簡単に翻弄され疑うこともしない。
ちょっと疑問を抱き質問を向けても、契約ですからそこの部分はお答えできません、などと謂われるとすぐに引いてしまう。
(振り込め詐欺やネット商材等にひっかかり易いタイプだ)。
離婚に持ち込まれる流れなど、完全に受け身であれよあれよという間に飛んでもないドツボに嵌っていた分けだ。
ここでは、一方的に安室を信じてこれに乗ってしまった結果である。
だが、単にはめられたかと謂えば、夫のマザコン度とその母の悪辣さも知って早々に見切りをつける機会でもあった。
(しかし、それも自分で確かめたかと言えば、安室の誘導の上でのことだ。結局、七海は全て安室の仕掛けたフィルターを通してものを観ている)。

現実は、度合いの差はあれ、実に不確かであり、本当だと信じていたことが、全くの嘘であり、何が本当なのか定かでなくなる、そんな場面に遭遇することは少なくない。勿論、立場~言語によって見え方も全く異なって来る。
基本的に現実という幻想は、落とし穴ばかりである。
特に如何わしさ100%といった感の安室みたいな男に目を付けられ流され始めると、全てが「不思議状態」(七海)であろう。
里中 真白の底なしの闇にも、引き込まれたら七海などひとたまりもない。
まさに文字通りいくところまで行ってしまう。
だが、七海の徹底した無垢さ加減が、彼ら安室・真白の策謀や闇をある意味、凌駕してしまう流れでもあった。

ふたりとも、それには呆れていた。
真白は彼女の人の好い一途さに。
安室は、想定通り真白と七海が一緒に死んだと思い込んでいたため、普通に目覚めたときのその狼狽え様には笑える。
(安室のキャラは実に傑出していた)。

そして七海は、ちゃんと着地点を見出している。
声もしっかり出るようになって多少、逞しさが感じられるようになった。
これはきっと真白との生活と別れ、更にその母との出会いが齎したものが大きい。
そして最後まで彼女にとっては謎の「何でも屋さん」安室の不可思議さも結果的には彼女を救っていた。

印象深いのは、代理(疑似)親族のバイトで知り合った疑似家族のメンバーが、真白の葬儀に親族として自主的に参加していたことだ。
そうなのだ。
現実における関係性の希薄さが、あらぬ場所で少しばかり質量を帯びた結びつきを生む。


もう一度、ゆっくり見直したい映画であった。
キャストは、誰も素晴らしい。
特に綾野剛の如何わしさ、黒木華の生真面目な流され易さ(よく分かる)、Coccoの狂気とすれすれの闇の演技は素晴らしかった。
りりィも凄かった、としか言いようがない。



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絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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