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マギカ・テフニカ~MAGIKA TECHNIKA

trnky.jpg

イジー・トルンカのパペット・アニメーションを観て。
チェコの絵本作家でありパペット・アニメのパイオニアと呼ばれるトルンカは、日本の人形劇の巨匠川本喜八郎のお師匠でもある人です。ジャン・コクトーにも「子供と詩の王国」と評価され、カンヌ映画祭ではウォルト・ディズニーを抑えて大賞を受賞し絶賛されたそうです。
彼の仕事の中から、それぞれ時間を隔てた4作品が収録されたマギカ・テフニカより。

1.悪魔の水車小屋
民話をもとにトルンカが脚本・美術・監督を行った人形劇。
手回しオルガンのハンドルを交換することで同じ曲なのに全く違う曲想になる不思議なオルガンを使い、水車小屋で悪魔と戦います。
トルンカ初期の作品で1949年のものです。
やはり良い作品は照明に個性がありその場面に的確な質感を与えています。

2.2つの霜
トルンカ脚本・美術・監督
この作品は人形アニメとセル画のアニメが混在する実験的なアニメーションですが、全く違和感なく作品世界に浸って観ることができます。というより、ふたつの形式が統合されることで、より作品に広がりと説得力が生じています。霜の精がふたりで人間を懲らしめようとします。人間は人形で、霜はセルで描かれています。
1954年の作品。

3.電子頭脳おばあさん
イヴァン・クリーマ原作 トルンカ脚本・美術・監督
よくトリュフォーの「華氏451」と比較される作品。
ディテールにこだわった非常に作りこまれた大作で、何度見ても見飽きません。
洗練された極めて完成度の高いSF作品と云えましょう。
おばあさんの家から両親の家に行った少女は、そこで奇妙な椅子型ロボットおばあさんに迎らえ奇想天外の体験をします。
1962年の作品。

4.大天使ガブリエルと鷲鳥婦人
ボッカチオの「デカメロン」より トルンカ脚本・美術・監督
信仰の深い美しい婦人と天使の扮装をして近づこうとする怪しい男とのやりとり。
エロティシズムとデカタンスを濃厚に感じさせるファンタジーとも言えます。
1964年の作品。


どの作品も適度な長さで一気に観ることができます。
また一つ一つが全く作風が異なり技法も違い細やかで豊かな表情をもっています。
さらに人形の持つ抽象性が醸す神秘的な呪術性がことさらに私を引き込んでゆきました。
これを実写で撮ったらどうだろうとも思いましたが、無論雰囲気はかなり変わるでしょうが、この監督であれば素晴らしい作品に仕上げると確信しました。
この照明やディテールの作り込み、カメラワーク(これは他の人ですが)はメディアが変わっても質に影響の出るものではありません。

とても多彩な技法を持っている作家です。また表現する世界も多様です。
シュヴァンクマイエル的なものからブラザーズ・クエイを思わせるところなどありますが、確固たる個性の光る真に創造的な作家であることは間違いありません。



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