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GOMA28

Author:GOMA28
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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北大路魯山人

kiki.jpg
NHKの日曜美術館で樹木希林の解説で「北大路魯山人」をやっていた。
「北大路魯山人」が樹木希林のナヴィで語られると、北大路魯山人というより樹木希林の人生が浮かび上がってきた面白いものだった。
どちらも、凄い人である。
このTVで語られた内容の範囲のみで何か書いておきたい。

出て来てのっけから、わたしは本物なんかに興味はないとくる。
流石だ。
最初から突き放して来て、司会者ふたりをドギマギさせていた(笑。

偽物でも面白い。
そう、それそのものよりも、あてがわれた美というものがあるのだ。あつらえられた美である。
これをそのまま日常でも実践しているところで彼女と魯山人は重なる。
謂わば、「用の美」として。
そのエピソードがやたら面白く、終わりの方で紹介したい。


魯山人も「焼きもの知らず」と評されながら、罅や書き損じなどの所謂「失敗」をチャンスとして利用し、彼独特の美学を追求している。
「当意即妙よ」と樹木希林の述べるまさにそれであろう。
計画や作為をもたない、刻々と生じる事態を謂わば編集する作業と謂えるか。
ジョン・ケージのチャンス・オペレーションにも通じる。

「創造には破れ目がなければつまらないわよ」
確かにわたしも陶芸で、焼いた後で罅の入った部分に新たに粘土を流し込み、二度焼きしたものの焼き上がりに、見蕩れたことがある。最初から計画してとても出来る代物ではないのだ。

「不揃いの美に気迫が籠っている」
とても熱気もあり、破天荒な独自の形体の追及をしていることが感じられる。

彼は北大路という社家に生まれながら、里子に出され、学校にもろくに通えず転々として育ったという。
印刷と看板の仕事で生計を立てていたが、ある時料亭で出された器に衝撃を受け、仕事を辞め陶芸家を目指す。
だが、生来の型に嵌められるのを嫌う性格から、特定の師を持たず、独学で陶芸を学び研究して行く。

パトロンが出来、赤坂に料亭を出し、料理を引き立てる器~脇の小さなもの~の追及が始まる。
それは「美食」の追及であり「用の美」を極めんとする創作活動であった。
如何に優れた脇役を創るかということであり、樹木希林が溜息交じりに独白するには、「近頃主役やる子はいくらでもいるんだけど、力量のある脇を張れる子がとっても少ないのよね~」ということである。まさに彼女こそ超ド級の脇役であるが、確かに主役は脇にしっかり固められてはじめて輝く。これはわたしも多少映画を観始めて痛感することだ。
料理~主役との構成美の追及である。

更に使ってこそモノは活きる。
確かにしまっておいては、何のためのものか分からないし、意味もない。
またそれを使うことで、美意識が磨かれる。
又はその当人の美意識が試される場ともなるだろう。
魯山人は、客であろうが、一切妥協しなかった。
であるから、予約に遅れてくる客など、言語道断となる。
客や料亭スタッフとも激しくぶつかったようだ。
その為、オーナーに自分の店から解雇されてしまう。

そういうことは充分に想定される。
彼は美意識を日常の隅々にまで徹底して張り巡らせた。
厳格な美意識のもと妥協を許さない姿勢が周囲との軋轢を生む。
これは必然でもある。
自分が非常に可愛がっていた彫刻家のイサム・ノグチを暫く家に住まわせたが、洗濯物を干したかどで大激怒したことは、有名である。
彼は風呂場も全て自分で造っていた。
彼の価値観にそぐわぬものは、同居不可能であり、彼は孤絶した。
「彼の美意識に拮抗し共感できる客はいなかったでしょうね~」
「伝わる人には伝わるし、伝わらない人には決して伝わらないのよ。伝えて変わるもんじゃないのよ」
「わたしも若いころ老人役をやったけど、何も変える必要なんてないと気づいたの。バーさんになったって、欲張りで見栄っ張りの人は絶対に変わらないし、そのままで良いのよ。年齢設定なんてすることないの」
全く激しく同感である!

魯山人は料亭を解かれた後、自分の工房に籠りひたすら創作を続けた。
自分の目指す美に拘り続けた人である。
「この世を少しでも美しいものにしたいと歩んだ」と魯山人は晩年を結んだ。
「家系のDNAもあるだろうけど、彼は美によって神の存在に近づこうとしたのでしょう」
司会者から「でも最後に分かってくれみたいな文を書かせてしまうなんて、可哀そうにも思いますね」と向けられると、「期待する方がおかしいわよ。孤独を受け容れてやっていくしかないでしょ」まるで彼女自身のこころの内を謂っているようだ。
自分に向けられ「わたしは何にも執着はない。自分のなかの綻びを繕いながら生きていると謂えるかな」

最後に彼女なら魯山人を理解出来たのではと向けられ「そうね。結婚した後、ずっと別居でやってけそうね」と少女みたいに笑っていた。
彼女の「用の美」というか、「当意即妙」振りも只者ではない。
秋篠宮 文仁親王と親王妃に拝謁する日に、ホテルで支度をし留袖を着ている時に帯締めがない事に気づいたそうだ。
普通なら、そこでパニックになりマネージャーに無理を言って用意させたり、少し前話題となった議員であれば秘書を怒鳴りつけて何とかさせるところであろう。しかし彼女は数学的な「合同」に囚われない。
彼女が冷静にしたことは、電気ポットのコードを抜いて帯締めにあつらえたことだ。
それで何食わぬ顔をして拝謁したそうだが、紀子妃は怪訝な顔をしてそこを屡々眺めていたそうだ(笑。

樹木希林ならきっと彼とも上手くやっていけると思われる。


これはどう見ても北大路魯山人を肴に樹木希林を語った番組であった(爆。






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