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GOMA28

Author:GOMA28
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怪談

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1965年
小林正樹 監督
水木洋子 脚本
小泉八雲 原作
武満徹 音楽
戸田重昌 美術


小泉八雲(ラフカディオハーン)原作の怪談を4話オムニバスで。
どれにも惹き込まれる魅力に満ちている。

長さが全く気にならない。
演劇的(舞台劇的)な形式も見事な臨場感を生んでいる。全てがセットだという。
スモッグとシャワー、風、着色された水、照明、、、。どれもアーティフィシャルでゾクゾクする。
「能」の要素~演出が非常に効いていて、原色~極彩色の鮮やかさ、、、やはり美術が良い。
そして何より武満徹の音楽が絵以上に饒舌に場面を語る。これだけの雄弁な映画音楽を味わったことがない。
古典芸能的VFXである。大変な力作だ。
そして演技の質~キャストの豪華さ(わたしは、彼らは知っていたがこんなに若い姿は初めて見た)。

ロケやCGでは到底味わえない抽象美の世界がこってり堪能できる。
「怪談」というが、人間の性や本質における怖さであって、お化け屋敷的に脅かされる怖さ~ショックではない。


「黒髪」
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新珠三千代、、、妻
渡辺美佐子、、、第二の妻
三国連太郎、、、武士

愛情の本質が描かれる。
想いは時とともに益々濃厚に重くなって行くが、、、
それと同時に、物質は徐々に一方向に滅んでゆく。
肉体は脆いものである。
どんなに美しかった~今も胸の内に美しく光輝いている、姿~身体も朽ち果てる運命なのだ。
屋敷も床が抜け壁が壊れ、何一つ確かなものなどない。

このトマスピンチョンの「エントロピー」よりも説得力ある物語にはその映像~VFX共々圧倒された。
想いに反比例して崩れてゆく事態の象徴美である。
美しい映像だ。

新珠三千代の薄幸の美女のヴィジョンは圧巻である。
滅びの美をこれだけ演じられる~絵になる女優が今いるだろうか、、、
耽美的、、、ウットリする。


「雪女」
kwaidan002.jpg

仲代達矢、、、巳之吉
岸惠子、、、お雪(雪女)
望月優子、、、巳之吉の母

中空に巨大な禍々しい目玉が浮かんでいるのが何ともシンボリック。
監視しているのか。
雪女の秘密が漏れないかどうかと、、、。
(という事は少なくとも雪女の属する高度な種族がわれわれの上空、いや俯瞰的位置に存在することを暗に示すものだ)。
日本古典SFでもあるか。

その下で、何とも純朴で人の好い巳之吉の立ち振る舞い。
お雪も恐らくそんな巳之吉を心底好いていたのだ。
でなければ、3人も子供も出来まい。
子供が出来ても、お雪はいつまで経っても歳をとらず若くて美しいのだ。しかも気立ても良いさぞ自慢の妻であろう。
だが、こともあろうに、絶対に他言するなと釘を刺した「当人」に、10年前の雪山での秘密をペラペラ喋ってしまうのだから、元も子もない。このおっちょこちょいが。
これで終わりよと元の世界に雪女となって戻って行く彼女。
彼女の世界の戒律の重さはきっと絶対的なのだ。
普通、これだけ仲の好い夫婦なら(ハリウッド映画ならきっと)追手~目玉を逃れて逃げましょとかなるだろうに、、、。

もう「お雪」から「雪女」への変身にただ茫然と佇み言葉もなく見るともなく見つめるだけの巳之吉も侘しいが、、、
彼女の侘しさも計り知れまい。
「子供を大切にしてください、、、」
雪女が漆黒の雪嵐のなかに消え去った後、彼女の為に丹精込めて拵えた草履をそっと外に置く巳之吉の姿には思わずこみ上げるものがあった。
この一回性は限りなく切ない。
余りに呆気ない。
しかしこれが宇宙の原理なのかも知れないという気がして来る、、、。


「耳無し芳一」
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中村賀津雄、、、耳無芳一
丹波哲郎、、、甲冑の武士
志村喬、、、住職
林与一、、、源義経
村松英子、、、建礼門院
田中邦衛、、、矢作(寺男)

身体中にお経を書くシーン、そして書き込まれた姿はまさに圧巻であった。
さぞ大変だったと思う。
そして甲冑の武将が芳一を呼びに来たとき、中空に耳だけが浮かんで見えてしまう。
芳一は耳を引き千切られてしまい、住職たちは迂闊だったと悔やむ。芳一だってここがまだなんですけど、くらい言っても良かろうに。これだけやってもらって、申し訳なくて言えなかったのか。

後に、その話がもとで「耳無し芳一」として大ブレイク。
大名から法外な報酬を貰って琵琶を弾いてゆき大金持ちになったということ。

前半の舞台劇そのものといった感じの壇ノ浦の合戦も実に面白かった。
「能」を見る感覚に近い。
平家物語の弾き語りが得意である芳一の演奏もタップリ披露される。
この物語はストーリーの巧みさだけでなく、そういった芸能場面が多く見応えは充分である。
日本の映画は、もっとこのような伝統芸能的な形式を意識すべきではないか、、、。
ハリウッドの力業のVFXに流され過ぎに想える。
想像力の刺激がなく、感覚刺激に慣れ頼り過ぎている。お陰で観た後、何も残らない。


「茶碗の中」
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中村翫右衛門、、、関内(中川佐渡守家臣)
滝沢修、、、作者/ナレーター
杉村春子、、、おかみさん
中村鴈治郎、、、出版元

そりゃ、茶碗の中に頻りに誰かの顔が映って見えれば発狂する。
しかし、こんな感じの不安は誰もがふと抱える可能性はある。
そんな気配に悩まされることは、あるかも知れない。
(不安神経症で片付けられない実存的不安)。
そう思えてくる。
不条理劇でもある。

人~他者の魂を飲んだものはこういうことになるという。
そう、人の顔が茶碗の中に映ったときは、飲まない方がよさそうだ、、、。
周りを見ても誰もいないとかいうレベルでなく、もし誰かの顔が映ったときは、やはり医者に急ぐしかあるまい。
自分が恐らく他者に乗り移られる間際なのか。
アイデンティティの危機であることは間違いない。


この映画が古くなることは、ないと思われる。





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